ニューノーマルの働き方
withコロナの多様な働き方。リモートワークとオフィスワークを融合したミクシィの「マーブルワークスタイル」
2020.10.01
ミクシィは、リモートワークとオフィスワークを融合した「マーブルワークスタイル」の試験運用を7月から開始した。オフィスでの出社を基本としながら、週3日までリモートワークが可能な働き方で、生産性の向上を目指す。
緊急事態宣言の解除後、一部の企業ではフルリモートでの勤務制度を導入し、オフィスの規模を縮小するなど、新しい働き方へシフトする流れがある。ミクシィは、社会的な経済活動再開に合わせ、感染防止対策を意識したうえで、「新たな働き方として多様な生活スタイル・価値観の従業員が高い生産性を実現する」(同社)ことを目的に、「マーブルワークスタイル」の導入を決めた。同社の人事本部長・柳本修平氏へ「マーブルワークスタイル」の取り組みについてテキスト取材で聞いた。
※回答内容は7月31日時点のもの。「マーブルワークスタイル」は当初、7〜9⽉の3カ間をテスト期間として運用し、10⽉以降に新しい働き⽅を再整備していく予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染再拡⼤による⾏政からの要請に対応するため、8・9⽉は「週4回のリモートワーク推奨」の働き⽅に切り替えていた。10⽉からは東京都の経済活動が再び活発になっていることを受け、「マーブルワークスタイル」の試験運⽤再開を決めている。
【関連記事】ミクシィに学ぶオンライン面接で成果を上げる方法
「マーブルワークスタイル」の取り組み
―導入後の社員の働き方がどう変わったのかを教えてください。
マーブルワークスタイルの考えに則って、約9割の従業員が週2回以上出社しています。
当社は週3回までのリモートワークの活用を可能としています。6割の部署では週2回の出社する曜日を固定してコミュニケーションをとりやすくし、ほかの曜日は個々でリモート/出社のどちらか働きやすい環境を選択している状況です。
―7月時点の利用状況に特徴や傾向があれば教えてください。
リリース間近のプロジェクトや、新たに入社するメンバーがいる部署では、必要に応じて出社日を増やしています。また、エンジニアやデザイナーの場合、自宅に作業環境を構築し、週4回は自宅で働き、会議などといったコミュニケーション中心の業務として週1回の出社を行うケースもあります。
当社では、週3回までのリモートワークを原則としていますが、部室長の判断でそれを超えてリモートワークすることも現時点では許容しています。
このように、それぞれの部門のプロジェクトフェーズや業務内容によって最適なリモート/出社の割合を模索しているところです。
―コアタイム短縮について従業員からの反響があれば教えてください。
・残業時間抑制について
75%の社員が効果を実感と回答
・業務効率化について
73%の社員が効果を実感と回答
・働きやすさについて
86%の社員が効果を実感と回答
(※自社で実施の4/1~6/30コアタイム変更テスト_アンケート結果と今後の進め方 7月前半取得のアンケート集計より)
―マーブルワークスタイルに移行した7月以降は、それまで実施していた「環境構築支援施策」や、リモート環境維持のための手当、特別賞与(リモートワーク慰労)の支援策、制度運用状況はどうなっているのか教えてください。
マーブルワークスタイルは、社員自身が働く場所を選ぶことができる制度です。
そのため、会社から手当を出してリモートワークを推奨する施策はとっておりません。
※「環境構築支援施策」「リモート環境維持手当」「特別賞与(リモートワーク慰労)」は、新型コロナウィルス感染拡大防止への対応として、同社がリモートワークを推奨するにあたり、支給していた制度。
―リモートワークを併用することになったことで、通勤交通費の扱いはどのように行っているのかを教えてください。
通勤費に関しては、出社日数に関わらず、定期代を全額支給しております。
―マーブルワークスタイルを運用開始後に変更した点があれば教えてください。
7月26日に西村経済再生担当大臣の要請を受け、8月1日からはリモートワークを週4日取得することを推奨しております(交通費は出社時に都度精算、リモート環境維持手当として8000円/月支給に変更となりました)。
新型コロナの感染拡大状況、行政からの要請にあわせて、今後も働き方については柔軟に対応をしてまいります。
マーブルワークスタイルについては、新型コロナ後の働き方としても引き続き有効な制度になるよう、様々なパターンで検証を進めていく予定です。
―ありがとうございました。
【写真】「ミクシィは、新しい働き方を模索し続けます」より引用
以下、同社提供の報道用資料(2020年7月)より抜粋して紹介する。
マーブルワークスタイルとは?
当社ではリモートワークのメンバーとオフィスワークのメンバーが混ざり合う状況を「マーブルワークスタイル」と呼び、運用を開始しました。この名称は、ミックスして混ぜ合わさるのではなく、マーブル(marble)模様のようにそれぞれの持ち味を活かしながらうまく融合する働き方を目指す、という気持ちが込められています。
① オフィスでの就業を基本とし、週3日までリモートワークを活用
新しい働き方「マーブルワークスタイル」は、オフィスでの就業を基本としつつ、週3日までリモートワークの活用を可能としています※。これにより、顔を合わせてミーティングを行う日や、自宅で業務をする日など、業務内容によってリモート/出社のどちらが最適なのか整理する機会になり、より効率的に働くための一助になると考えています。
※業務上必要な場合、また新型コロナウイルス感染時の重篤化リスクがある従業員や子どもの自宅保育が必要な従業員などは一定の条件の下、週5日のリモートワークも可能
フルリモートにしない理由
当社はコミュニケーションをキーワードにしたサービスを多く扱っており、サービスを作るうえで作り手たちが密にコミュニケーションをとりながら、顔を合わせて仕事をするのはとても重要という考えが根付いています。
また、リモートワーク期間中にマネージャー職以上を対象としたアンケート(2020年5月下旬集計、回答者109名)を実施したところ、約73%が「週1~3回」のリモートワークを希望する結果が出ました(左図※参照)。異動や採用による新メンバーの定着や、オフィスで偶発的な出会いから発生していた取り組みの減少などの懸念もあり、組織の生産性からみたリモートワークの適正回数として、「週3回」までに設定しました。
※「ミクシィは、新しい働き方を模索し続けます」より引用
② コアタイムの短縮
フレックスタイム制のコアタイムは、新型コロナウイルス感染拡大前は10時~15時に設定していましたが、12時~15時と短縮しました。これにより、子どものいる家庭は幼稚園や学校に送ってから出社できるようになったり、朝のピークタイムに混み合う沿線に住んでいる従業員がピークを避けて出社できるようになったりと、より生活と仕事のバランスを取りながら出社しやすくなりました。
③ マーブルワークスタイル6カ条
マーブルワークスタイルの考えを基に、「マーブルワークスタイル6カ条」というガイドラインを設けました。このガイドラインに則りながら、新たなワークスタイルの確立を目指します。
マーブルワークスタイル6カ条
コミュニケーションの溝を埋める
① その場にいない人に配慮したコミュニケーションをとる
② テキストメッセージは相手の心証に配慮する
健康管理を心がける
③ ONとOFFのメリハリを付ける
④ しっかりとした睡眠をとり適度な運動をする
多様な働き方を通じて成果を出す
⑤ リモートワークでできない仕事は出社する
⑥ リモートワークは成果を出す働き方の一つと捉える
<人事本部長 柳本よりコメント>
リモートワークへの取り組みはまだ始まったばかりです。この1〜2ヶ月は、まだリモートを始めて間もないため適度な緊張感もあり、生産性は上がったといえます。ですが、長期的になった時にその緊張感は維持されるのか、生産性は変わらないのか、などは注視し続ける必要があると思っています。
リモートワークで行った方がよい業務、顔を合わせて行った方がよい業務、それぞれのメリットをうまく活用しながら役立てていければ、と思います。時代の流れ的にもリモートワークを取り入れる流れは加速しているので、時代に合わせて柔軟に変化をしながら、これからも生産性と働きやすさの両方を保っていけるような働き方を模索していきたいと思います。
【関連情報】ミクシィの取り組みを取材した記事
【編集部より】緊急事態宣言解除後の各社の新たな働き方改革関連記事はこちら
- GMOインターネットグループがwithコロナの勤務体制やガイドラインを策定。「新しいビジネス様式 byGMO」へ移行
- 日立製作所が在宅勤務を基軸とした働き方改革を推進 ジョブ型人財マネジメントへの転換を加速
- オプトグループが「新しい生活様式」に対応したワークスタイル方針を策定。6月1日から従業員の出社は週2日以内、訪問は原則禁止
- LIFULLが6月1日から勤務ルールを変更。9月30日まで原則週2日在宅勤務に
- 日清食品ホールディングスが6月1日から原則出社率25%を上限とする「予約出社制」へ移行
- クラウドワークスが新たな勤務体制へ移行。ニューノーマルに対応した出社ガイドラインを公開
- GMOペパボが全従業員対象テレワークへ移行。削減するオフィスコストをテレワーク用の補助金・手当として従業員へ還元
- ギャプライズがワークスタイル改革。Withコロナに対応した自己決定感と幸福感が高い組織へ
- カヤックの鎌倉オフィスが6月から「NO密オフィス」に改装。新型コロナに対応した働き方へ
- リモートワークでも「孤立しない」。CIがバーチャルオフィスを活用した新しい働き方を開始
- noteが7月1日から全従業員対象の在宅勤務をベースとした「フレキシブル出社制度」を導入
- カルビーが7月からオフィス勤務者約800人を対象に原則「モバイルワーク」へ移行
- KDDIが正社員約11,000名を対象に「社内副業制度」を導入。就業時間の約2割を目安
- グロービスが社員の声を反映させたニューノーマルの働き方「ワークスタイル・ウェイ」を導入
- ヤフーが2020年10月1日から“無制限リモートワーク”を導入。フレックス勤務のコアタイムも廃止へ
- KDDIが8月から独自のジョブ型人事制度を導入。21年4月入社社員から一律の初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体系も導入
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
企画
with/afterコロナ時代に有効な採用手法
ミクシィに学ぶオンライン面接で成果を上げる方法
コロナウイルスの感染拡大の影響により、採用活動にオンラインを取り入れる企業が増え続けている。特に2021年卒採用の現場では、手探りの中でオンライン面接を実施した企業が多く、現場から...
2020.10.06
-
会員限定特集
超急成長企業の採用戦略/Vol.3 株式会社ミクシィ編
SNSの先駆者「ミクシィ」は新卒採用もコミュニケーション重視
SNS「mixi」、スマートフォンゲームアプリ「モンスターストライク」と人気コンテンツを生み出してきたミクシィ(東京・渋谷)。同社の人事部が2020年卒新卒採用で「大変革」を起こし...
2019.05.27
-
企画
人事のキャリア【第10回】
会社と就活生をつなぐ「学生人事」の挑戦(ミクシィ・江藤かなさん)
さまざまな会社の人事担当者に、仕事のやりがいや想いを聞く連載企画「人事のキャリア」。今回登場するのは、株式会社ミクシィ人事の江藤かなさん。就活生に向けた情報発信に取り組む江藤さんは...
2017.10.10
-
ニュース・トレンド
育休取得における対象者と上司の意識調査:江崎グリコ株式会社
育休対象者の4割が申請にためらい。上司側は約5割が「育休・産休のフォローに不安がある」
江崎グリコ(大阪市)は11月14日、育休経験者及び育休取得予定者250名と育休の申請を受けた経験のある上司250名を対象に実施した「育休取得における対象者と上司の意識調査」の結果を...
2024.11.22
-
ニュース・トレンド
ビズリーチ WorkTech研究所
直近1年での退職者が増加傾向。大企業では7割超が「退職者が増えている」と回答
ビズリーチ(東京・渋谷)が運営する、働く人の活躍を支えるテクノロジー“WorkTech”に関する研究機関「ビズリーチ WorkTech研究所」は10月22日、ビズリーチまたはHRM...
2024.10.24
-
ニュース・トレンド
KDDI株式会社
社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的に「ジョブ図鑑」を公開
KDDI(東京・千代田)は10月21日、社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的として、社員向けに「ジョブ図鑑」を公開した。【TOP写真はジョブ図鑑のイメージ(リリースよ...
2024.10.22
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?