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特集

企業ブランドと人材戦略のカギを握るCHRO(最高人事責任者)【第2回】


「理念の共有力」が「採用力」へつながり、業績アップが始まる

2017.05.31

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CHRO特集第2回は、採用こそがブランディングの第一歩であるとし、採用活動を独自の視点から支援する「株式会社むすび」代表の深澤了氏に話を聞いた。「ブランディング」という言葉が一人歩きし、そもそも企業理念が浸透していない現状をCHROがどう解決していくのか、分かりやすく解説する。
前回の記事>>第1回「すべてのベースにあるのは「対話」であって「交渉」ではない」

深澤 了(ふかざわ・りょう)

むすび株式会社代表取締役の深澤了氏⓵

むすび株式会社 代表取締役
企業や商品、採用市場におけるブランディングから、スローガン、ブランドブック、HPなど企業やブランドのコミュニケーション上に発生する制作物全般のクリエイティブディレクションおよびコピーライティングを行ないつつ、キュレーションサイト「BRAND THINKING」を運営。
HP:http://www.musubi-inc.co.jp/

 

目次
  1. 経営理念が浸透していると、「顧客への価値」思考になる
  2. 大企業志向やアベノミクスは無関係、純粋な「採用力」が勝負
  3. 営業力だけで勝負できるのは長くて10年
  4. CHROを生み出せない、構造的な課題が存在する
  5. 人事採用成果に対する評価基準を近視眼的にしない

経営理念が浸透していると、「顧客への価値」思考になる

私は以前から、採用というのは「ブランディングの入口」であるという定義をしていて、CEOと一緒になって人材の分野から「理念経営」を推し進めるのが、CHROであるという認識です。理念経営とは、理念が確実に社内に浸透していて、社長も社員も判断軸のすべてが企業理念にあって、普段の業務から大きな経営判断まですべて理念が基軸になっているという状態を指しています。

この理念が浸透していない会社は、やはり「売上至上主義」に陥りやすい。逆に浸透していると、先に議論されるのは「顧客にどのような価値をもたらすべきか」になり、その結果として売上につながるという好循環が生まれています。

採用に限っていえば、理念が浸透している場合、採用の場面に社員たちが喜んで協力するという現象もみられます。最近注目されている「リファラル採用」もこのひとつです。反対に浸透していないと、「なぜ自分が協力しないといけないのか」という意識が先に立ち、人事が孤軍奮闘することになり、結果として採用がうまくいかない。このスパイラルがずっと続くことになります。

大企業志向やアベノミクスは無関係、純粋な「採用力」が勝負

むすび株式会社代表取締役の深澤了氏②

こういう視点からすると、やはりどうしても「中小企業ほど採用できない」という構図がすでに内側から出来上がってしまっているという危惧があります。

「売上至上主義」に走るあまり人事が空回りし、結果として良い人が入ってこない、そして売上も落ちる、という構図です。

大企業志向というよりも、理念がしっかりとあり、それを貫いている企業に人は惹きつけられているという見方ができると考えています。アベノミクスがどうこうではなく、企業の規模でもなく、純粋に「採用力」の差なのです。

以上から、企業ブランドにおけるブランディングマネージャーは、実はCHROだと捉えています。なぜなら、その企業の理念を体現できる社員が増えれば、企業ブランドは高まるはずで、理念が腑に落ちて行動へ反映されていれば、誰がマーケテイングしても、営業しても、経理を担当しても、組織に一貫性が生まれるからです。
すでに「リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所」が、著作「日本の持続的成長企業」の中で紹介していますが、理念の共有力から業績アップが始まることは明確で、ここの相関関係は無視できないということです。

営業力だけで勝負できるのは長くて10年

5年10年のスパンであれば「売上至上主義」の会社が勝つかもしれないが、30年以上の長いスパンで見たときにはやはり理念を強く押し出している会社が圧倒的に強いということを稲盛和夫さんも以前おっしゃっていました。
結局は「急がば回れ」なのだと思いますが、やはり採用の段階で理念共感の強い人を採用できなければ、理念中心に企業活動を行うことも難しいわけで、採用はブランディングに対して大きなインパクトがあると考えています。

営業職上がりの社長が経営する会社だったりすると、理念よりも先に営業力に重点をもちろん置くことになり、当然ながら営業力も高まり短期的には売り上げもガツンと上がる可能性が高いのですが、この段階で社長が理念の重要性に気付くことができれば、間違いなく最強の会社に成長していくことができます。
当初は営業力100%でガンガンやっていたものの、途中から理念中心にシフトして、さらに盤石になったという有名企業はいくつもあります。ただ私は、これに気付いている人はとても少ないという見方をしています。ブランド構築のメカニズム

【図:むすび株式会社プレゼンテーション資料より(経営の三角形)】
(図について)経営のタテの一貫性を出すためには社員の採用から理念・戦略を理解して入社してもらう必要があり、だからこそ現場レベルでの一貫性を出しやすくなる。それを経営者や人事責任者が理解して、採用活動を行う必要がある。従来、企業ブランドと商品ブランドしかなかったブランドの構成要素に、採用が加わり、相互に連関することで、結果として企業ブランドの影響力が増していく。

CHROを生み出せない、構造的な課題が存在する

しかしながら課題もあり、CHROの二大ミッションである「採用」と「教育」に対して、非常に近視眼的になっているという危惧があります。

「採用」も「教育」も、非常にその道に長けた企業が数多くあり、これらに頼っているうちはどうしても「手法に着目する」方向に進み、俯瞰的に見ることができなくなる構造ができあがってしまっている。私たちが定義するCHROとはどんどん程遠くなってしまっています。
つまり、CHROを生み出さない、育成できない構造的な問題が横たわっているのです。

人事部門の評価基準が「採用コストに対してどれだけ採れたか」という部分しか見ないものになっているので、単純に、採用エージェントに対して合い見積もりをさせて、そこから値切って、というようなところに力を入れてしまっているのです。
「良い人が入ってくれたか」ではなく「一人あたりいくらで採用できるか」という視点ですね。これでは、理念も何もあったものではないです。離職率が下がるはずもない。

人事採用成果に対する評価基準を近視眼的にしない

人事採用に対するKPIの立て方がそもそも間違っています。
KPIの中心に据える数値として「理念共感度の高い人材を何人確保できたのか」を入れる必要があると考えています。近視眼的な採用から一刻も早く脱却する必要があるためです。

ではまず、企業は何から手を付けるべきかといえば、繰り返しになりますが、まずは理念をしっかりと打ち出し、これを言語化し、社内外へ強く発信することが必須です。これがなければ共感してくれるCHROも現れませんし、何より欲しい人材が集まってきません。こう言ってしまうとシンプルですが、実は非常に難しいことかもしれません。

経営者は何も考えずにその企業を興したはずもなく、どんな形であれ強い想いは今も持ち続けているはずですが、「日々の会社運営に追われ、ゆっくり見つめなおす時間も取れない」という状況が現実としてあります。特に中小ではこの傾向が強いですね。社長がコミットしている会社は採用も強い。これは間違いありませんね。

私はこの理念の言語化や、採用時のブランドイメージをどう押し出すかなどの具体化をサービスとしてやっています。一見同じような理念に見えても、その背景は一社一社まったく違いますので、そこをどう拾ってどう社会へ見せたらいいのかを一緒に考えさせていただければ嬉しいです。

執筆者紹介

高井 直樹(たかい・なおき)(株式会社スキマタイズ 代表) 「感動」「驚き」「満足」「発見」「喜び」の5感覚で伝達力を強化し、エンジニア出身ならではの論理的課題解決をコンテンツメイクで実現する、ドキュメンテーションアートディレクター。徹底した取材と言語化翻訳、映像、Webとメディアを問わず"表現代行"を生業とし、車とゲームと電子楽器をこよなく愛する無類の速いモノ好き。

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