レポート 「CHRO×BRANDING -tokyo branding labo vol.4-」
既存の「人事部」からの脱却。CHROの確立が企業の経営戦略を推進する
2017.03.29

パーソナルベンチャーキャピタル(代表:チカイケ秀夫氏)主催による、CHROとブランディングをテーマとしたイベントが開催された。既存の「人事部」的思考から脱却し、CHRO(人事最高責任者)にフォーカスした、CEO視点での一貫した企業のヒューマンリソース責任者の確立と育成の必要性と、企業ブランドとの密接な関係性を探ることを趣旨としている。
チカイケ氏を中心とし、CHROの必要性を訴求する深澤了氏(株式会社むすび代表)、大槻貴志氏(企画経営アカデミー株式会社代表)らを交えて開催してきた「tokyo branding labo」の開催はこの日で第4回(写真)。当日は、ゲストに株式会社SANBOW代表の堀尾司氏を迎え、採用マネジメントにおいて重視すべきポイントやCHROの概念について、豊富な事例とともに紹介した。
Data——————————————————————————————
2017年2月16日(木) 19:30 ~ 22:30
主催:パーソナルベンチャーキャピタル
ゲスト: 株式会社SANBOW CEO 堀尾 司 (企業人事コンサルタント)
むすび株式会社 CEO 深澤 了(採用ブランディング)
企画経営アカデミー株式会社 CEO 大槻 貴志(新規事業支援×組織開発支援)
場所:株式会社シンクスマイル(東京都五反田)
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「一流の人事は、経営課題を予測し、人事戦略を実践する人事」-第一部 堀尾司氏(SANBOW代表)
最初に登壇したのはSANBOWの堀尾氏。リクルートで顧客への採用支援業務にて経験を積んだ後、自身で起業後も多額の負債を抱え失敗、その後ソフトバンクの孫社長やグリーの田中社長など、名だたる大企業のトップのもとで人事戦略を担当。多様かつ高難易度な人事経験を経て、経営者独特の思考とそれに応える人事とは何かを文字通り体得してきた。
正解のない人事だからこそ、今日明日のことではなく、10年先20年先を見てジャッジすべきだと堀尾氏は訴える。単に事業と人、組織をつなぐだけの人事は三流であり、一流の人事は「経営課題を予測し、人事戦略を実践する人事」であると。 リクルート出身の堀尾氏ならではの持論は、採用時よりも退職時に予算を割くべきであるということ。大手に限らずベンチャーでも「人は必ず辞める」前提で採用をすべきであり、退職という行為に対ししっかりマネジメントすることでその企業は成長できるし、現にこれを徹底している企業は確実に成長しているとの話には、全員が身を乗り出して聞き入っていた。
CHROとは、現状に対して仮説で話をするのではなく、すべてファクトとフレームワークで解決にあたる必要があり、定性的な判断ではなく数値(KPI)で評価すべきだという点も、多くの経験から得られた確信とのこと。これは、CFOやCTO、CMOと同じく経営的視点に立ち、人事に対する責任を果たすという意味でも、過去の「人事部長」とはまったく領域も異なる、非常に経営に直結するポジションであるとの話だった。
「進化の極意」として、”脳がちぎれるほど考える“、”志を共にするものを集める”、“義と利なら義を選べ”など、堀尾氏独特のまとめに続き、CHROに対しては、「価値創造型であれ」「未来から逆算した課題を」「誰よりも会社が主語の未来」など、人事の第一線で多くの苦難を乗り越えてきた氏ならではの、人事関係者には胸に刺さるキーワードがいくつも出てくるセッションとなった。
「採用活動そのものもブランドの一端である」-第二部 大槻貴志氏(企画経営アカデミー代表)、深澤了氏(むすび代表)
チカイケ氏とともにCHRO定着推進を一事業とする、大槻氏(写真上)と深澤氏(同下)の自社でのCHROへの取り組みに関するプレゼンが行われ、目指すところは同じでも、そのアプローチの違いに驚かされることになった。
大槻氏は心理学的アプローチから「人と対話する」ことで、経営者からもその社員からもその本心を探り、目指す方向をブレないようにさせる取り組み。深澤氏はあくまでブランディングを中心に据え、採用活動そのものもブランドの一端であるという前提から、さまざまなアプローチを試みている。
「現場の声は経営者に届いていない」-第三部 対談形式でのワークショップ(深澤氏×大槻氏×堀尾氏)
その後、堀尾氏と大槻氏が壇上に上がり、深澤氏がファシリテーターとなって対談スタイルでのミニワークショップが行われた。
ここでは第一部の堀尾氏講演や大槻氏のプレゼンに対して、深澤氏が独自の視点から切り込み、普段は決して聞くことができない有名経営者の裏の顔や、現場の声がいかに経営者へ届いていないかなどの実例、それらを踏まえてCHROに着目したそれぞれの経緯などが熱く語られた。
当日は15人の定員がすぐに埋まり、追加席が用意されるほどの盛況ぶりだった。今後も不定期ではあるが、CHROとブランディングに関わるイベントを開催していくということなので、ご興味のある方はぜひ参加してみてはどうだろうか。
パーソナルベンチャーキャピタル http://personal.vc/
Facebook https://goo.gl/dHsCxU

主催の株式会社Growther原田氏(左)と、チカイケ氏(右)
【編集部より】「CHRO」に関する記事はこちら。
- 【第1回】すべてのベースにあるのは「対話」であって「交渉」ではない
- 【第2回】「理念の共有力」が「採用力」へつながり、業績アップが始まる
- 【第3回】CHROの役割は、会社として一番大切なものを共有すること
- 【第4回】『型破りな企業』に見るCEOとCHROの意外な関係性とは
- 【第5回】CEOとCHROの連携の秘訣は、会社への帰属感とお互いへの信頼
- 【レポート】「CHRO×BRANDING -tokyo branding labo vol.4-」~既存の「人事部」からの脱却。CHROの確立が企業の経営戦略を推進する
- 【レポート】“欲しいのは人事部長じゃない” 時代に求められる『これからのCHRO』を語る。-イベント「これからのCHROについて」-
執筆者紹介

高井 直樹(たかい・なおき)(株式会社スキマタイズ 代表) 「感動」「驚き」「満足」「発見」「喜び」の5感覚で伝達力を強化し、エンジニア出身ならではの論理的課題解決をコンテンツメイクで実現する、ドキュメンテーションアートディレクター。徹底した取材と言語化翻訳、映像、Webとメディアを問わず"表現代行"を生業とし、車とゲームと電子楽器をこよなく愛する無類の速いモノ好き。
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