ホワイト企業の実例
ワークライフシナジーを全社で推進【六花亭製菓】
2015.10.19
和洋菓子製造販売を事業の柱とし、北海道帯広市に拠点を置く六花亭製菓株式会社。同社は、両立支援策や女性社員の活躍推進の施策を実践し、「ライフの充実」を「ワーク」に還元できる仕組みを構築していることから、書籍『ホワイト企業 女性が本当に安心して働ける会社』(経済産業省監修)にも、注目企業として取り上げられている。先進的な両立支援策を実施する背景と、その効果、工夫について、同社の広報担当者にお話を伺った(2015年7月取材)。【写真はイメージ】
出産・育児休暇復帰者を増やした「社内保育施設」の設立
同社は2007年に社内保育施設「ごろすけ保育園」を設立した。その背景には、「結婚や出産を機に退職する女性社員を減らしたい」というトップの明確な方針があったという。設立当初は、園児が10名に満たず「子どもの社会性が育てられないのではないか」と心配する声もあった。しかし、社員がボランティアとして頻繁に遊び相手になるという試みが功を奏した。現在は48名の幼児が通うまでに成長し、不安は解消されつつある。
出産・育児休暇復帰者は年々増加し、全体の7割が同社の保育園を利用している。会社と同じ敷地内にあり、送り迎えを社員自身が容易にできるというメリットはもちろんのこと、前述のボランティア含め、会社全体で社員の子育てをバックアップしているという安心感が、利用者の満足度向上につながっているという。
また、各職場で、保育園利用者を優先したシフトを組むことを徹底したため、利用者以外からの理解も得やすくなるなど、利用者の目線に立った工夫が効果を発揮したのだと考えられる。現在は施設のさらなる充実をはかるため、保育園の増築を予定しているとのことだ。
ワークライフシナジーを体現する「公休利用制度」
ライフとワークの充実が相乗効果を生みだす「ワークライフシナジー」を全社的に推進する「公休利用制度」も同社のユニークな施策の1つ。年に1回社内公募が行われ、書類選考により、2週間から最長2ヶ月間の公休が与えられ、会社外でのチャレンジができるという制度である。現在までに12人の社員の利用が認められた。
公休利用制度ができた背景は何だったのだろうか?
「当社では『働くひとが心身ともに健康でなくては、おいしいお菓子をつくれない』というトップの考えが浸透しています。社員が公私ともに充実した日々を送る後押しとして、公休利用制度がつくられました」(広報担当者)
この制度の利用が、職場でどのように活かされているのだろうか? 具体例を見ていこう。
例えば、公休制度を利用して飲食店で働いた社員がその後、同社の運営するレストランの厨房スタッフとして活躍するケースや、焼物の窯で修行を積んだ社員が、社員向け施設の窯で作陶体験企画を実施し、実際にレストランで使用する器の制作に携わるというケースもある。また、保育士資格を取得した社員は、社内保育施設立ち上げにも力を発揮した。
同社は、両立支援策をさらに発展させ、『遊び名人大賞』という表彰制度も新たに設けた。社員が自分の趣味を紹介する映像を会社に提出し、半期に一度、どの社員の取り組みが一番充実しているかを審査、表彰するという制度で、副賞として賞金が与えられるという。
社員の心身の健康や充実した人生をトータルでサポートするという社風。これが現場にも浸透しているからこそ、社員のチャレンジが社員自身の成長にも会社の発展にもつながり、好循環を生み出しているのではないだろうか。
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執筆者紹介
松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。
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