労務

育休の手続き

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掲載日時:2018.10.15

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育休(育児休業)とは、法で定められた、従業員が原則として1歳に満たない子を養育するために取得できる休業制度です。対象となる従業員は男女を問わず、子どもが実子であるか養子であるかも問われません。ここでは、育休の基礎知識や、具体的な手続きの方法について解説していきます。

育休の基礎知識

育休は法で認められた労働者の権利

育休は育児・介護休業法で認められた労働者の権利です。企業は基本的に従業員からの育休の申し出を拒むことはできません(第6条)。男女雇用機会均等法でも、事業主は育児休業の取得や申し出を理由に不利益な扱いをしてはならないと定められています(第10条)。また、男女問わず育休の取得は可能です。

育休を取得するにはさまざまな条件がある

育休を取得するにはさまざまな条件があり、誰もが取得できるとは限りません。例えば、入社1年に満たない従業員や退職予定がある従業員は、支給の対象外となるケースがあります。人事担当者は支給条件をしっかり理解し、社内規程に明記した上で、従業員に内容を周知しておきましょう。

育休の対象者

  • 労働者(日々雇用を除く)
  • パートや契約社員など有期契約労働者の場合、以下の2つを満たしている必要があります。
    • 1.勤続1年以上である
    • 2.子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない

労使協定を結んでいれば、以下に当てはまる従業員は対象外となります。

  • 入社1年未満
  • 申出の日から1年以内に雇用期間が終了する(1歳6カ月までの育児休業の場合は、6カ月以内に雇用期間が終了する)
  • 1週間の所定労働日数が2日以下

※従業員の配偶者が専業主婦(夫)だったり、育休中だったりする場合は、労使協定を結んでいても対象外にできません。

詳しくはこちら
→厚生労働省「育児・介護休業制度ガイドブック
→厚生労働省「男女雇用機会均等法 育児・介護休業法のあらまし

育休はいつからいつまで?

育休の期間は、原則として子が1歳に達する日までの間です。女性は、産後8週間の「産後休暇」が終わった後から育休を取得できますが、男性は子どもが生まれた日からの取得が可能です。以下は、産休・育休を取得した場合の流れと期間の図です。

産休 産前休業6週間 出産 男性はここから取得が可能 産後休業8週間 育休 育児休業~1歳 ~1歳6カ月 ~2歳 延長 産休 産前休業6週間 出産 男性はここから取得が可能 産後休業8週間 育休 育児休業~1歳 ~1歳6カ月 ~2歳 延長

育休を延長するケースもある

法の定めにより、保育所が見つからないなど特別な事情がある場合は、従業員は1歳6カ月や2歳まで延長できることになっています。延長されることはやむを得ないため、延長を想定して人員配置を考えておくと良いでしょう。また、育休取得者と連絡を取り合って随時状況を把握しておくことも大切です。

育休の申し出があったときの対応・手続き

人事担当者がやることリスト

区分 やること 対応時期 提出先
社内 申出書の受け取りと通知書の交付 育休前 -
社会保険 社会保険料免除の手続き 育休中 年金事務所
雇用保険 育児休業給付金の手続き 育休中、2回目以降は2カ月ごと ハローワーク
社内
やること 申出書の受け取りと通知書の交付
対応時期 育休前
提出先 -
社会保険
やること 社会保険料免除の手続き
対応時期 育休中
提出先 年金事務所
雇用保険
やること 育児休業給付金の手続き
対応時期 育休中、2回目以降は2カ月ごと
提出先 ハローワーク

申請書の受け取りと通知書の交付

Point

  • 申出書を1カ月前までに受け取り、通知書を交付する
  • 口頭ではなく、書面で取り決めを交わす

人事担当者は、従業員から育休開始予定日の1カ月前までに書面で「育児休業申出書」を受け取り、 内容を確認しておおむね2週間以内に「育児休業取扱通知書」を書面で交付しなければなりません。「育児休業取扱通知書」には以下3つの記載が必要です。

1.育児休業申出を受けた旨
2.育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日
3.育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由

トラブルを防ぐために、育休中の待遇、復帰後の賃金・配置などの労働条件も通知書に記載することが望ましいとされています。交付の手段については、従業員からの希望があれば電子メールやファックスでも構いません。様式は下記URLを参考にしてください。

申出書と通知書の様式例(厚生労働省)

保育所が見つからないなどの理由で延長する場合、従業員から「不承諾通知書」や「待機通知書」など保育所に入所できなかったことを示す書類を提出してもらう必要があります(通知書の名称は自治体によって異なります)。

社会保険料免除の手続き

Point

  • 申請のタイミング:育児休業に入るとき
  • 申請方法:企業側が年金事務所に申請書を提出
  • 期間:育休開始月から終了予定月の前月まで(育休終了日が月の末日の場合は育休終了月まで)

育休期間中は、従業員と企業側のそれぞれが負担する社会保険料(健康保険、厚生年金)が免除されます。免除期間は、育休開始月から終了予定月の前月まで(育休終了日が月の末日の場合は育休終了月まで)です。育休の申し出があったら、人事担当者は育休期間中に申請手続きを行う必要があります。なお、免除期間中は被保険者としての資格は変わりません。育休中も社会保険料を支払ったものとみなして将来の年金額が計算されることも従業員に伝えておきましょう。

申請の流れ

STEP1:従業員から育休の申し出
STEP2:「育児休業等取得者申出書」に必要事項を記入
STEP3:人事担当者が申請書を年金事務所に提出

また、産休・育休中、社会保険料は申請すれば免除となりますが、住民税は免除となりません。産休に入る前に住民税の徴収方法を決めておきましょう。

詳しくはこちら
産休の手続き【人事総務のための業務ガイド】

育児休業給付金の手続き

Point

  • 申請のタイミング:育児休業に入るとき
  • 申請方法:人事担当者がハローワークに必要書類を提出
  • 期間:通常1歳まで。保育所が見つからないなどの場合は1歳6カ月または2歳まで延長可能
  • 申請は2カ月単位。期限管理を忘れずに!

育休中、収入が減る従業員の生活を支えるものが「育児休業給付金」です。手続きは基本的に企業側が行います。やむをえない理由がある場合は従業員が提出することも可能です。支給期間は子が1歳になるまでですが、保育所が見つからないなどの場合は1歳6カ月または2歳まで延長できます。
延長期限は以前は1歳6カ月まででしたが、2017年10月1日から、一定の要件を満たす場合には2歳まで延長できるようになりました。なお、2歳までの育休は、2016年3月31日以降生まれの子が対象となります。

申請の流れ

STEP1:従業員から育休の申し出
STEP2:書類を用意する(マイナンバー、母子手帳の写しなど)
STEP3:書類に必要事項を記入
STEP4:必要書類をハローワークに提出

受給要件

  • 雇用保険に加入している
  • 育休前の2年間で賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上ある
  • 育休期間中の各1カ月ごとに、休業開始前の1カ月の賃金の8割以上が支払われていない
  • 育休期間中に就業している日数が各1カ月に10日(10日を超える場合は、就業時間が80時間)以下

育休開始前から退職の予定が分かっている従業員は支給対象外となります。また、雇用期間に定めのあるパートや契約社員の場合、上記に加えて以下の両方を満たしていなければなりません。

1.勤続1年以上である
2.子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない

提出書類は以下の通りです。

提出書類(初回の育休)

1.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
2.育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
3.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカード等
4.母子手帳など育児を行っている事実を確認できる書類

提出書類(2回目以降の育休)

1.育児休業給付支給申請書
2.賃金台帳、出勤簿又はタイムカード

2回目以降は2カ月に1回申請を行います。定期的な申請が必要なため、従業員のもとに給付金が振り込まれなかったということのないように期限管理には気を付けましょう。

育児休業給付金は支給の要件が細かく、法改正が頻繁にあります。詳しくは厚生労働省やハローワークのパンフレットをチェックしてください。

→厚生労働省「【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし
→ハローワーク「育児休業給付の内容及び支給申請手続について(PDF)

人事担当者が仕組みを理解し、周知に努めよう

育休制度は、支給の条件が細かかったり、手続きが複雑だったりと分かりづらい部分があります。人事担当者がしっかり仕組みを理解し、内容を周知しましょう。また、育児休業に入った人はもちろん、その仕事を代わりに担う従業員のケアも重要です。サポートに回る従業員への配慮も忘れないようにしましょう。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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