【育休時の会社の手続き】必要書類や期限がやることリストで一目瞭然

労務

掲載日時:2023.11.16

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育休(育児休業)とは、法で定められた、従業員が原則として1歳に満たない子を養育するために取得できる休業制度です。対象となる従業員は男女を問わず、子どもが実子であるか養子であるかも問われません。ここでは、育休の基礎知識や、人事・総務担当者が知っておきたい具体的な手続きの方法について解説します。

関連記事:【産休時の会社の手続き】必要書類や期限がやることリストで一目瞭然

育休の基礎知識

育休は法で認められた労働者の権利

育休は育児・介護休業法で認められた労働者の権利です。企業は基本的に従業員からの育休の申し出を拒むことはできません(第6条)。また、事業主は育児休業の取得や申し出を理由に不利益な扱いをしてはならないと定められています(第10条)。育休の取得は男女問わず可能です。

育休取得の条件

育休を取得するための条件は、雇用形態や、各企業の労使間の取り決めによって異なります。人事・総務担当者は取得条件をしっかり理解し、社内規程に明記した上で、従業員に内容を周知しておきましょう。

なお、育児・介護休業などについて必要な事項を就業規則に記載したときには、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

育休の対象者

  • 労働者(日々雇用を除く)
  • パートや契約社員など有期契約労働者の場合、以下の条件を満たしている必要があります。
    • 子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない

労使協定を結ぶことで、例えば以下のような従業員を対象外として規定できます。

  • 入社1年未満
  • 申出の日から1年以内に雇用期間が終了する(1歳から1歳6カ月までの育児休業の場合は、6カ月以内に雇用期間が終了する)
  • 1週間の所定労働日数が2日以下

※労使協定によって育休の取得を拒否できるのは、法律に定められた除外範囲よりも狭い範囲の対象者を規定する場合のみです。

参考:
・厚生労働省「育児・介護休業法について
・厚生労働省「男女雇用機会均等法 育児・介護休業法のあらまし
・厚生労働省パンフレット「就業規則への記載はもうお済みですか-育児・介護休業等に関する規則の規定例-[詳細版](令和4年10月作成)

産後パパ育休(出生時育児休業)

2022年から順次適用された育児・介護休業法の改正により、育休が2回まで分割して取得できるようになると同時に、男性が通常の育休とは別に産後パパ育休を取得することが可能になりました。

産後パパ育休の取得例

法改正によって育休を柔軟に取得できるようになるとともに、事業者側は従業員が育休を取得しやすい環境をつくるよう義務付けられています。
特に男性の育休取得率を上げるため、制度の周知などをしなければなりません。法令の内容と自社の規定をよく確認しておきましょう。

関連ページ:男性育休推進|育児・介護休業法改正による注意とポイント|@人事
参考:厚生労働省「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等~

育休はいつからいつまで?

育休の期間は、原則として子が1歳に達する日までの間です。女性は、産後8週間の「産後休暇」が終わった後から育休を取得できますが、男性は子どもが生まれた日からの取得が可能で、いずれも最大2回に分割して取得できます。

男性の場合、育児休業とは別に出生時育児休業(産後パパ育休)を取得することもでき、原則として子の出生後8週間以内の期間内で通算4週間(28日)まで、最大2回に分割して取得できます。

以下は、産休・育休を取得する場合の流れと期間の例を図にしたものです。

育休分割取得の例※厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント」に基づいて@人事編集部が作成

育休を延長するケースもある

法の定めにより、保育所が見つからないなど特別な事情がある場合は、従業員は1歳6カ月や2歳まで延長できることになっています。延長されることはやむを得ないため、延長を想定して人員配置を考えておくと良いでしょう。また、育休取得者と連絡を取り合って随時状況を把握しておくことも大切です。

育休の申し出があったときの対応・手続き

人事担当者がやることリスト

区分 やること 対応時期 提出先
社内 個別の周知・意向確認 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出を受けてから決められた期間内 -
社内 申出書の受け取りと通知書の交付 育休前 -
社会保険 社会保険料免除の手続き 育休中 年金事務所
雇用保険 育児休業給付金の手続き 育休中、2回目以降は2カ月ごと ハローワーク
社内
やること 申出書の受け取りと通知書の交付
対応時期 育休前
提出先 -
社会保険
やること 社会保険料免除の手続き
対応時期 育休中
提出先 年金事務所
雇用保険
やること 育児休業給付金の手続き
対応時期 育休中、2回目以降は2カ月ごと
提出先 ハローワーク

個別の周知・意向確認

従業員から自身または配偶者の妊娠・出産の申し出があった場合、個別に下の表のように周知(説明)を行い、育休などの取得の意向を確認することが義務付けられています。

周知事項
  1. 育児休業・産後パパ育休に関する制度
  2. 育児休業・産後パパ育休の申し出先
  3. 育児休業給付に関すること
  4. 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
周知する時期

申し出が出産予定日の1カ月半以上前:出産予定日の1カ月前まで
申し出が出産予定日の1カ月半前から1カ月前の間:申し出から2週間以内など、できる限り早い時期
申し出が出産予定日の1カ月前から2週間前の間:申し出から1週間以内など、できる限り早い時期
申し出が出産予定日の1週間前以降や出産後:できる限り速やかに

周知方法

面談(オンライン可)または書面交付
労働者が希望した場合のみFAX、電子メールなども可

周知事項については、厚生労働省の参考様式「個別周知・意向確認書記載例 」も参考にすると良いでしょう。

関連ページ:男性育休推進|育児・介護休業法改正による注意とポイント|@人事
参考:
・厚生労働省「(事業主向け)説明資料『育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等~』
・厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例

申請書の受け取りと通知書の交付

Point

  • 申出書を1カ月前まで(産後パパ育休は2週間前まで)に受け取り、通知書を交付する
  • 口頭ではなく、書面で取り決めを交わす

人事担当者は、従業員から育休開始予定日の1カ月前までに書面で「育児休業申出書」(産後パパ育休は「出生時育児休業申し出書」)を受け取り、 内容を確認しておおむね2週間以内に「育児休業取扱通知書」(産後パパ育休は「出生時育児休業取扱通知書」)を書面で交付しなければなりません。「育児休業取扱通知書」には以下3つの記載が必要です。

  • 育児休業の申出を受けた旨
  • 育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日
  • 育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由

トラブルを防ぐために、育休中の待遇、復帰後の賃金・配置などの労働条件も通知書に記載することが望ましいとされています。交付の手段については、従業員からの希望があれば電子メールやファックスでも構いません。

参考:厚生労働省大分労働局「モデル例・様式集(雇用環境・均等室)

保育所が見つからないなどの理由で延長する場合、従業員から「不承諾通知書」や「待機通知書」など保育所に入所できなかったことを示す書類を提出してもらう必要があります(通知書の名称は自治体によって異なります)。

社会保険料免除の手続き

Point

  • 申請のタイミング:育児休業に入るとき
  • 申請方法:企業側が年金事務所に申請書を提出
  • 期間:育休開始月から終了予定月の前月まで(育休終了日が月の末日の場合は育休終了月まで)

育休期間中は、従業員と企業側のそれぞれが負担する社会保険料(健康保険、厚生年金)が免除されます。免除期間は、育休開始月から終了予定月の前月まで(育休終了日が月の末日の場合は育休終了月まで)です。育休の申し出があったら、人事担当者は育休期間中に申請手続きを行う必要があります。なお、免除期間中は被保険者としての資格は変わりません。育休中も社会保険料を支払ったものとみなして将来の年金額が計算されることも従業員に伝えておきましょう。

申請の流れ

STEP1:従業員から育休の申し出
STEP2:「育児休業等取得者申出書」に必要事項を記入
STEP3:人事担当者が申請書を年金事務所に提出

また、産休・育休中、社会保険料は申請すれば免除となりますが、住民税は免除となりません。休業に入る前に住民税の徴収方法を決めておきましょう。

関連ページ:【産休時の会社の手続き】必要書類や期限がやることリストで一目瞭然|@人事

育児休業給付金の手続き

Point

  • 申請のタイミング:育児休業に入るとき
  • 申請方法:人事担当者がハローワークに必要書類を提出
  • 期間:通常1歳まで。保育所が見つからないなどの場合は1歳6カ月または2歳まで延長可能
  • 申請は2カ月単位。期限管理を忘れずに!

育休中、収入が減る従業員の生活を支えるものが「育児休業給付金」です。手続きは基本的に企業側が行います。やむをえない理由がある場合は従業員が提出することも可能です。支給期間は子が1歳になるまでですが、保育所が見つからないなどの場合は1歳6カ月または2歳まで延長できます。

申請の流れ

STEP1:従業員から育休の申し出
STEP2:書類を用意する(マイナンバー、母子手帳の写しなど)
STEP3:書類に必要事項を記入
STEP4:必要書類をハローワークに提出

受給要件

  • 雇用保険に加入している
  • 育休前の2年間で賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)月が12カ月以上ある
  • 育休期間中の各1カ月ごとに、休業開始前の1カ月の賃金の8割以上が支払われていない
  • 育休期間中に就業している日数が各1カ月に10日(10日を超える場合は、就業時間が80時間)以下

育休開始前から退職の予定が分かっている従業員は支給対象外となります。また、雇用期間に定めのあるパートや契約社員の場合、上記に加えて以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない

提出書類は以下の通りです。

提出書類(初回の育休)

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など
  • 母子手帳など、育児を行っている事実や出産予定日および出生日を確認できる書類

提出書類(2回目以降の育休)

  • 育児休業給付支給申請書
  • 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカードなど

2回目以降は2カ月に1回申請を行います。定期的な申請が必要なため、従業員のもとに給付金が振り込まれなかったということのないように期限管理には気を付けましょう。

育児休業給付金は支給の要件が細かく、法改正が頻繁にあります。詳しくは厚生労働省やハローワークのパンフレットをチェックしてください。

参考:
・厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和4年11月作成)
・ハローワーク「育児休業給付の内容と支給申請手続

出生時育児休業給付金の手続き(産後パパ育休取得時)

Point

  • 申請のタイミング:子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から、その2カ月後の月末まで
  • 申請方法:人事担当者がハローワークに必要書類を提出

産後パパ育休を取得した場合、「出生時育児休業給付金」の支給対象となります。手続きは企業側が行います。

申請の流れ

STEP1:従業員から産後パパ育休の申し出
STEP2:書類を用意する(マイナンバー、母子手帳の写しなど)
STEP3:書類に必要事項を記入
STEP4:必要書類をハローワークに提出

受給要件

  • 雇用保険に加入している
  • 育休前の2年間で賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)月が12カ月以上ある
  • 休業期間中の就業日数が10日(10日を超える場合は、就業時間が80時間)以下

雇用期間に定めのあるパートや契約社員の場合、上記に加えて以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 子の出生日から8週間を経過する日の翌日から6カ月を経過するまでに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない

提出書類は以下の通りです。

提出書類

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など
  • 母子手帳など、育児を行っている事実や出産予定日および出生日を確認できる書類

参考:ハローワーク「育児休業給付の内容と支給申請手続

2025年から育休中の手取りが実質10割に?

2023年11月13日、厚生労働省の審議会で示された案によると、2025年度中に、両親が14日以上育休を取得した場合の給付金・社会保険料免除による実質的な手取り収入が育休前の10割となるよう引き上げ開始を目指すとされています。

現在の育児休業給付金は休業前の賃金の67%、社会保険料の免除と合わせて、実質的な手取り収入は8割ですが、給付金を休業前の賃金の80%程度に引き上げることで、育休中の手取り収入を実質的に10割とするということです。

対象となるのは、男性の場合は、子どもが生まれて8週間以内、女性の場合は産休後8週間以内に育休を取得した場合で、いずれも28日間を上限に給付率が引き上げられます。

この案は男性の育休取得率の向上を目標としたもので、実施されれば収入が下がることを気にしていた従業員も育休を取りやすくなるでしょう。

参考:NHK「男性の育休進む?両親が取得で実質10割給付の案示す 厚労省」

人事担当者が仕組みを理解し、周知に努めよう

育休制度は、制度の変更が多かったり、手続きが複雑だったりと分かりづらい部分があります。人事担当者がしっかり仕組みを理解し、内容を周知しましょう。また、育児休業に入った人はもちろん、その仕事を代わりに担う従業員のケアも重要です。サポートに回る従業員への配慮も忘れないようにしましょう。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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