人事担当者が知っておくべきマイナンバー制度
【第2回】担当者が早期に対応すべき理由と、情報漏えい対策
2015.09.25
人事総務担当者にとって、対応まったなしの「マイナンバー制度」。あなたの会社では、対応の準備は万全でしょうか? 少しでも疑問がある方はぜひこの連載で「押さえておくべきポイント」を総整理しておきましょう。
今回は、マイナンバー制度に早期に対応すべき理由とポイントを紹介します。
あなたの会社は大丈夫? 見落としがちなポイントをチェック!
マイナンバー制度に対応する際の「見落としがちなポイント」を紹介していきましょう。
- 入退社の手続きに個人番号の取得と本人確認が必須となる
- →電話やメール、代理人を通じての番号取得、本人確認をする場合などの確認手順を周知する必要があります。
- 不要になった関連情報の廃棄が必要になる
- →管理をおろそかにすると罰則の対象になってしまいます。
- 従業員はもちろん、その扶養家族、および社会保険未加入のパートやアルバイト、社外の個人事業主に業務委託する場合にも、各人のマイナンバーを取得しなければなりません。
- →取得すべき対象者の抜け漏れがないような業務フローの作成と周知が必要です。
マイナンバー制度に早期に対応しておくべき理由とは?
一つ目の理由は、人事・給与、会計などの業務システムにマイナンバーの番号データを組み込まなくてはならないためです。業務プロセスや情報システムの改修が必要になることが予想されます。
もう一つの最大の理由は、マイナンバー情報の漏えい・不正利用を防ぐための対策のためです。マイナンバー(個人番号)を含む個人情報は、『特定個人情報』と位置づけられています。この特定個人情報は、マイナンバーによる名寄せのリスクから、「番号法」という法律によって厳しい保護措置が決められています。
具体的には、利用範囲を社会保障や税・災害対策に限定すること、特定個人情報を取り扱う従業者および委託先の監督義務を課す安全管理措置を講じること、そして、提供制限することなどが挙げられます。
万一、個人の秘密が記録されたマイナンバーなどの情報が第三者の手に渡ってしまうと、違反した当事者だけでなく、事業主も責任を問われる可能性があります。内閣官房によると、罰則として、最高で「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が課せられるうえに、社会的な信用失墜というリスクも背負うことになるとしています。
効果的な情報漏えい・不正利用対策のために
こうしたリスクを最小限にとどめるために、どんな対策を講じる必要があるのでしょうか。
まず、実務レベルでの具体策を挙げましょう。人事・給与システムへのアクセス権やアクセスログの取得、および不正アクセスがあったときに、即座にアラーム情報を情報管理責任者が把握できるようするのも一つの方法です。既存のルールやシステム運営に頼っていては、問題が発生する危険性があります。
また、従業員への啓発も同時に進めていく必要があります。マイナンバー情報の取扱注意の意識や法的な罰則事項を周知徹底させるためのeラーニングの導入も検討できるはずです。
さらに、経営レベルでは、人事総務担当者だけでなく、経営者自らが特定個人情報に対する保護措置の重要性を認識し、適切な経営管理を行うことが不可欠です。この機会に、全社的な情報セキュリティポリシーの見直しをするとよいでしょう。
- 【第1回】マイナンバー制度とは? 企業のメリットと義務
- 【第2回】担当者が早期に対応すべき理由と、情報漏えい対策
- 【第3回】人事総務担当者が踏むべきステップ、雇用関係の手続き
- 【第4回】マイナンバー制度の専門家に聞く、導入後の課題と対応策
- 【第5回】マイナンバー制度の専門家に聞く、人事労務の今後
執筆者紹介
松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。
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