人事担当者が知っておくべきマイナンバー制度
【第1回】マイナンバー制度とは? 企業のメリットと義務
2015.09.23

2016年1月からすべての企業に対応が義務付けられ、人事総務担当者にとって対応まったなしの「マイナンバー制度」。あなたの会社では、対応の準備は万全でしょうか? 少しでも疑問がある方は、ぜひこの連載で「押さえておくべきポイント」を総整理しておきましょう。
そもそもマイナンバー制度と、その狙いとは?
マイナンバー制度とは、国民一人一人に12桁の固有の番号を付与することによって、税と社会保障の一体化を図ろうとするものです。これにより、各自の収入に応じた行政サービスを適切に提供することができ、行政の効率化、国民の利便性の向上、そして公平・公正な社会の実現につながるという効果が期待されています。
例えば、昨今、問題となっている生活保護の不正受給なども、マイナンバー制度で防ぐことができるでしょう。実際には、2015年10月から、マイナンバーが通知され、市町村での申請後、身分証明などに利用できる個人番号カードが交付されます。2016年1月からは、社会保障や税、災害対策といった行政手続きでマイナンバーが必要になります。
企業側の導入メリットと義務
企業にとっても、マイナンバー制度の導入によって、社会保障や税務などの事務処理を効率化・省力化することができ、人事・総務部門の負担を減らせるというメリットが生じます。とはいえ、国民一人一人の収入を把握するため、給与を支払う立場として、マイナンバー制度に対応することが法律で義務づけられ、制度開始までのわずかな期間で、マイナンバーの収集から保管、利用、廃棄までのルールと運用体制を整えなければなりません。
さらには、義務対象が5000件以上の個人情報を個人情報データベースとして所持し事業に用いている事業者に限られている「個人情報保護法」とは違い、マイナンバー制度の適用対象は、中堅・中小企業も含めたすべての企業となっているのも要注意です。
マイナンバー制度に対応が必要な業務とは?
企業が対応すべき事項には、次のようなものがあります。
- マイナンバー制度対応規定作成と組織体制確立
- 従業員の個人番号取得と管理
- 個人番号・法人番号管理の安全管理措置
- 法定帳票への対応(源泉徴収票や社会保険料支払、給与支払報告など)
- 個人情報保護評価(確定給付年金や企業型年金で個人番号を利用する場合)
- eラーニングなどによる、マイナンバー制度の教育
こうした対応を推進する部門は、従業員の所得税の源泉徴収、住民税の特別徴収、社会保険料の支払などを行う人事部門、税務署に提出する法定調書を準備する経理部門になると想定されます。支払調書の関係で個人の取引先が多い場合には、営業部門に協力をあおぐ必要もあるでしょう。
また、こうした関連書類に従業員等のマイナンバーを記載する義務が発生するため、従業者のプライバシー保護への十分な配慮が必須となります。これらの業務に関係するシステム改修にも着手が求められる企業が多いのではないのでしょうか。
連載第2回では、企業が早期に対応すべき内容と、情報漏えい対策について紹介していきます。
- 【第1回】マイナンバー制度とは? 企業のメリットと義務
- 【第2回】担当者が早期に対応すべき理由と、情報漏えい対策
- 【第3回】人事総務担当者が踏むべきステップ、雇用関係の手続き
- 【第4回】マイナンバー制度の専門家に聞く、導入後の課題と対応策
- 【第5回】マイナンバー制度の専門家に聞く、人事労務の今後
執筆者紹介

松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。
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