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女性活躍の課題は男性優位の企業風土―「女性活躍推進研究 調査結果 記者発表会」レポート

2017.03.17

  • 働き方
  • 女性活躍推進
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トーマツ イノベーション株式会社は、2017年3月3日、東京都千代田区にて「女性活躍推進研究 調査結果 記者発表会」を開催した。

当記者会見では、企業における「女性活躍推進研究」の結果、および結果を基に新開発した教育プログラムを発表。「女性活躍推進研究」の目的は、女性活躍推進の要となる女性のキャリアのメカニズム解明とイノベーションだ。トーマツ イノベーション株式会社が、人材育成研究の専門家で有名企業へのコンサルティング実績のある中原淳東京大学准教授と共同で 2016年3月より調査を進めてきた。

記者発表会の後には、女性活躍推進のキーとなる3つの層(人事部、管理職およびその部下で子育て中の女性)が、新開発の教育プログラムを実践するワークショップも実施された。

男性社会の企業と働く女性の間にある深い溝

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まず、トーマツ イノベーション株式会社 代表取締役社長 眞﨑大輔氏が主催者挨拶を行った。

「教育や人材開発は世の中を映す鏡です。安倍首相が『女性活躍推進』を掲げ、2015年から『女性活躍』が重要なキーワードになりました。しかし、企業側には『女性活躍のために、企業としてどう取り組むべきかわからない』『すでに女性が活躍している中で、なにをしていけばいいのか』などの迷いが生じています」

今でも多くの企業は男性社会で、男性目線で考える癖が抜けていない。これが迷いのもとになるのではないか、と眞﨑氏は苦言を呈した。

「女性は仕事に対して課題を感じています。女性と企業の間にある溝を埋めていかなければなりません。中原先生に『女性活躍推進研究』を相談したのは2年前で、まだ『働き方改革』という言葉は存在しておらず、研究を通じて日本の現状を洗い出し女性の人材開発を行っていくべきではないか、という問題意識を持っていました。最終的には世界最大級の研究調査を行うことができ、非常に面白い結果が出ました。今年(2017年)5月にも本発表があるので、ぜひ合わせてご確認いただきたく思います」

まずは男性優位の職場・働き方を見直すべき

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続いて、東京大学准教授 中原淳氏が「女性活躍推進研究」の調査結果を発表した。

 「職場そのもの、働き方を見直さない限り女性活躍は推進できません。本研究では、管理職・リーダー・実務担当者の3階層の男女を対象に調査しました。管理職の女性を369名、リーダーの女性344名と多人数を集めることに成功し、総勢5000人という異例の規模での研究を実現したのです。従来の調査では一時期しか注目せず、全体像がわからないという課題がありましたが、今回はどのようにキャリアアップしてきたかを時系列で追跡してこの課題をクリアしました。統計的な仮説検定を行っているため、偶然の数値ではありません」

 男性優位の企業風土を変えないまま女性活躍推進施策を実施しても、状況は変わらない。中原氏は、この大規模な調査結果から「どのような支援を行っていけば女性が長く働けるか」という問いに対する回答を得たい、と述べた。

女性の方が「できるだけ長く仕事を続けたい」

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研究結果によると、「できるだけ長く仕事を続けたい」と思っている割合は女性の方が高かった。自分の仕事人生に対して課題を感じている女性の方が、「大変でもやりがいのある仕事をしたい」と考えているのだ。特に、ワーキングマザーは「今の会社で働き続けたい」と考えている割合が高い。しかし、「残業した人が評価される」「男性が優遇されている」と感じている。

実際に「リーダーとしての期待を会社や上司から伝えられ育成されていた」という項目にYESと答えた割合は、男性が26.7%、女性は25.6%であった。女性は男性よりもリーダーとしての期待を伝えられていない傾向がある。

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そんな女性が職場に求めるポイントは「平等・誠実・残業見直し」の3つだ。反対に、女性に支持されない職場は仕事の評価や割り振りにおいて男性が優遇されており、残業が評価される職場だ。「実務担当者期」の仕事について調査を行ったところ、「仕事上の成長につながる仕事をしている」「引き上げてくれる上司がいる」「同性の上司・同僚と働きたい」という項目にYESと答えた割合は男性の方が高かった。こうした点からも、男性優位の企業風土が推測される。

「女性はリーダーに向いていない」は幻想

実務担当者期に続き、「リーダー期」についても調査を行った。昇進時は役割の移行が起き、今までのやり方ではうまくいかなくなる。そのため男女とも「リアリティショック(期待と現実との間に生まれるギャップにより衝撃を受けること)」が存在し、その差はない。「女性は弱い」「女性はリーダーに向いていない」といった言説は幻想なのだ。

さらに、管理職に就く際、女性は男性の3倍「妬みを買いやすい」と感じている。これも女性活躍推進を阻害する一因だと言える。

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リーダー初期の戸惑いには男女で違いがみられ、女性はメンタルタフネスに悩む傾向がある。その一方で、女性リーダーの方が多様性のあるしなやかな職場を作る傾向もあった。つまり、女性はリーダーになりたての時期にメンタル面で悩むが、結果的には良い職場を作るのだ。

しかし、ライフワークバランスを意識する女性は昇進に対して慎重だ。女性抜擢の際のポイントは「上司の説得方法」にある。上司が女性の「Why me?」に応える説得を行うと、女性は昇進を受け入れやすくなる。説得の流れは以下の通り。

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昇進の打診→女性の不安(なぜ私?)→理由や条件の提示→女性の迷い(なぜ私?)→上司としての思い・期待→女性の受容・自分事化

「なぜ私なのか」という問いに上司が繰り返し応えることで、女性は昇進に対して前向きになる。

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最後に、トーマツ イノベーション株式会社 田中敏志氏より職場ぐるみで働き方を見直す「新開発教育プログラム」が発表された。特徴は以下の2つ。

 ・職場改革のキーマンとなる女性本人、上司管理職、人事部の3層同時に行う

・約5400名に調査した科学的なエビデンスに基づく新知見を提供する

女性向け、管理職向け、人事向け、とバラバラに働きかける従来のやり方とは異なり、3者同時にアプローチして実効性を高めるプログラムである。実際に記者発表会後に本プログラムのワークショップを行い、1カ月後に参加企業のアクションプラン実施状況を追跡する予定だ。さらに、その結果を踏まえて商品化を検討し、人材育成イノベーションフォーラム(5月18日開催)にて発表するとのこと。

女性活躍を推進すべく、まずは企業風土の見直しから着手してはいかがだろうか。

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