システム開発50年。老舗システムインテグレーターの挑戦
営業が訴え、開発が応えた。「日本一敷居の低い目標管理システム」を目指せ
2019.12.20
マネジメントを強化したい。社員のモチベーションを高めるために活用したい――。目標管理(制度)を導入している企業は多くある。しかし、制度構築や運用の難しさに頭を悩ませる企業は少なくない。
そういった企業の助けになるのが「目標管理システム」だ。現在、多機能・高性能なサービスが続々とリリースされている。そんな中、50年以上ITコンサルティングやシステム開発に携わってきた老舗システムインテグレーター(SIer)のWorkVision(東京・品川)は、多機能化の一途をたどる目標管理システムに一石を投じるサービス「WorkVision🄬目標管理クラウド」を開発。発端は「とにかく使いやすい、敷居の低いサービスが必要だ」という問題意識だった。企画・開発のキーマンに開発の背景にあった強い思いを聞いた。【2019年11月26日取材:@人事編集部・長谷川久美】
多くの企業が同じ悩みを抱えていた。「とにかく敷居を低く。シンプルな目標管理システムを作ろう」
――数多くの目標管理システムがリリースされているなか、なぜ新たに「WorkVision®目標管理クラウド」(以下、目標管理クラウド)の開発をしたのでしょう?
宮永康之さん(以下、宮永):今いろいろな企業で取り入れられている「タレントマネジメント」の概念。それを実現する目標管理システムは、それぞれに非常に多くの特徴がありますよね。「目標を絞る」「きちんと計画を立てる」という部分が目標管理では重要なんですが、うまく運用できていない現場が多い。「それってなんでなんだろう?」とお客様の課題を深堀りしていくと「目標管理っていうのをそもそも取り違えてしまっている会社が多いのではないか?」という仮説が出てきたんです。
目標管理について企業の意識を調べると、日本の企業の9割は何かしらの目標管理の制度を取り入れている。しかし、適切な制度構築と運用をして社内に根付かせるのは実際すごく難しい。大企業、中小企業の規模を問わず、この根本的なところに課題を感じている企業が多い。
だからこのタイミングで、もう一度「なんで目標管理が必要なのか」という基本的なところに立ち返ることが必要だと思いました。そのためにはまず導入しやすく、目標管理をやるところまでたどり着けていない企業が「一歩を踏み出せる」ようなシステムが必要だ、じゃあうちで作ろうよ、と。
森田聡さん(以下、森田):自社開発のシステムを「クラウド化する」というのは本当に初めてのことでした。大きな決断だったと思いますね。
お客様向けの目標管理システムをリプレイスする(入れ替える)タイミングで「もっといろんな企業の方が使いやすい形に作ってしまおう」というのが、宮永さんが持ってきたアイデア。なるべくシンプルな形のサービスにして、できるだけ導入の敷居を低くしていこうというのは開発前から大前提として共有していました。
宮永:「とにかく敷居を低く! シンプルに!」と最初からずっと言ってましたね(笑)。近年の目標管理システムは高性能ですが、その分かなり高額で導入に踏み切れないという企業も多い。
「目標管理クラウド」は他の目標管理のサービスと比べても月額利用料が1ユーザーあたり200円とかなりローコストな金額設定になっています。一度まず使ってもらい、社内で目標管理に使えるかを試してもらいたい。サービス導入には一定の使用期間が定められている場合が多いのですが「そういうややこしい仕組みは全部取っ払おう」と最初から決めていました。
使ってみて「合わないな」と思ったら次の月からすぐ解約もできます。解約の期限に制限を設けていません。既に目標管理システムを導入している企業でも、使いこなせていないという場合は並行して試すことができる金額だと思います。
森田:ローコストで導入可能になったのは、企画努力の結果なんですよね。すごくシンプルな制度設計にしたから最低限のコストで開発もできました。
アジャイル開発での挑戦。激しい外部状況の変化に強い「変幻自在のサービス」を提供する
――今回、社内では従来とは違った開発手法で「目標管理クラウド」を開発したと聞きましたが?
森田:「目標管理クラウド」は「アジャイル」という手法で成長を続けます。開発は「ウォーターフォール」という、全体的な完成形を固めて変更が効かない手法で行いましたが、機能強化やバージョンアップなどは「アジャイル開発」を採用しています。これまで社内では一貫してウォーターフォールでの開発を行っていたので「目標管理クラウド」はかなりイレギュラーでした。
宮永:開発に「お客様の要望をキャッチアップして柔軟なサービスを提供する必要がある。アジャイル開発でやりましょう」と訴えたら開発トップの森田さんが二つ返事で応じてくれた。もともと部署の垣根を越えて「どうしたら会社を良くしていけるのか」という問題意識を共通して持っていましたし、そういった管理職の集まりの場でも森田さんとはよく議論をしていました。
森田:開発と営業・企画で話が食い違っているとか、部署間での対立があるとかはまったくなかったですね。お客様の課題についても共通の認識がありましたし「そうかやっぱりサービスが必要なんだな、じゃあやってみるか」って。結構ね、営業とうちのプログラマー、エンジニアは仲が良いんですよ。この前もみんなでバーベキューに行ったばっかりです(笑)。
――具体的に、アジャイル開発だとどうサービスの内容が変わってくるのですか?
森田:アジャイルというのは小規模の機能単位で開発を進めるやり方です。開発するシステムの全体ではなく、その機能単位で開発を進めるので、完成スピードが早く、変更にも対応できる。開発中に要望が変わってしまうと作り直すのに時間がかかり、細かい単位でどんどん改善できるアジャイルの手法が今回は必要ということに。
このアジャイル開発の中でも「スクラム」の手法が最適だろうと思い、この形で開発に臨みました。
アジャイル開発のスクラムの手法とは
・決まった短い期間(1~4週間)の単位で開発を区切り、その中でプロジェクトの計画を立てる。
・プロジェクトの状況や進め方に問題がないか、メンバー同士でフィードバックを日々行う。
・作っている機能が正しいか要望にあったものか、定期的に確認の場を設ける。
イメージとしては「動かしながら作る」っていう感じです。卓上にある、完成図の書類を見て作っていくというのではない。毎日形が変わっていくシステムを「これでいいか」「もっとこうしたらいいんじゃないか」と宮永さんたちから横断的に意見を聞いて、プログラマーがそれを反映する。
開発をしていて一番困るのは、完成した後に「思ったのと違う」とお客様に言われてしまうことです。そうならないよう、この開発では早いタイミングで完成形のイメージを共有して微調整しながら進められました。
わからないことがあったらすぐ、お客様の課題を把握している営業側の社員に聞ける環境もありました。テーブルを囲んで、メンバー同士で毎日意見を交わします。そこで出た意見をもとに、また開発がサービスに反映する。その繰り返し。同じフロアでシステムの開発と企画推進が進められたのは大きかったと思います。物理的にも距離が近かったですね。
宮永:現在、導入した企業の要望に応えて、機能の追加をできるような体制を作りました。企業の中でも、一度とりあえず目標を立ててみたものの、事業計画の見直しや社会情勢によって目標は変わっていきます。
どんな機能が本当に必要なのかは、外部要因によって目まぐるしく変わっていく状況にありますから、それをすぐキャッチしてシステムに反映していく。始めから機能てんこ盛りにはしないで「ベースはどこまでもシンプルに。でも変幻自在なサービス」にしていくため、今の開発の体制が絶対に必要でした。
森田:これから使いたい機能があれば何でもこっちは対応していく、というのが開発のスタンスですね。トライアンドエラーを繰り返せる開発手法ですから、要求に応える一番いい形を追求できる。今後のシステム改善もやりやすい。
実は多い!? Excel ・紙で人事データを管理する企業
――「目標管理クラウド」はExcelシートで入力と閲覧を行い、それをクラウド上にアップロードする形式になっていますが、どうしてこの仕様になったのでしょう。
森田:Excel で人事データを扱っている企業は今でもかなり多いです。さまざまなクラウド型サービスが興隆していますが、目標管理について言えばExcel は今でも現場で大活躍しています。
宮永:国内外に多くの工場を持っているメーカーだとか、ものづくり企業は全社的にExcel で人事データの管理をしている場合が多い。工場や、飲食、小売業などですね。現場の社員はオフィス業務ではないから自分ではパソコンを使うことがないし、オフィスに常駐している事務職の社員、あるいは店長が一人でExcel データを管理しているというケースもある。企業によってはExcel さえなく、手書きの報告書でデータを管理しているところもまだまだ多い。
こういう企業で「全社的に目標管理をやろう」と言うと、現場に大きく負担がかかります。事業所によっては、ただ一人の事務職の社員が高齢で「最新の目標管理システムを入れるのは物理的に無理」「Excel や紙じゃないと対応できない」という場合も往々にしてある。
森田:「Excel の方が楽」「Excel でないと難しい」という企業の声は根強いです。こういった企業が一足飛びにIT企業やベンチャーが使っているような最新の目標管理システムに切り替えるのは、すごく難易度が高い。
宮永:一方でExcel で目標管理する場合、社員の顔が見えていないと難しい側面があります。工場の場合、現場の上長、所長までは社員の顔と評価が一致するけれど、実際に目標が達成できているかを判断する評価者が遠隔地にいる、というケースがそれに当たります。そういう場合、日々現場で集計したデータを一元的に見られるようにする必要があります。
最初は商社や航空会社などを想定ユーザーとして考えていましたが、改めて目標管理についての課題をリサーチすると、いろんな業種で同じような困りごとを抱えていることがわかりました。医療関係の現場でも、多忙すぎて手を付けられていないけど目標管理を導入したいというニーズがあると最近の調査でわかりました。
森田:現状のリリースは日本語版のみですが、製造業には外国人労働者も多い。海外で事業を展開する企業もありますし、将来的には外国語に対応した機能追加も視野に入れています。
ただの成果主義で終わらせない。今本当に必要なのは、目標管理システムを通した「人材育成」
――「目標管理クラウド」をどのように役立ててほしいと考えていますか?
宮永:目標管理って、言葉だけが一人歩きしちゃって実態が伴っていない部分があると思うんですよ。本当に個人の成長から組織全体を成長させるという目的を制度として実現させるのは大変ですから。各自の目標に対して、社員の成長を確認してフォローアップするマネジメントができる仕組みにしていかないと目標管理の意味がないんです。
日本では成果主義の導入が90年代からあって、成長のためと言うより、査定に使うために目標管理システムを導入する企業が増えていったという背景もあった。でもそればかり考えてしまうと、個人の成長が達成できているか、という本来の目的が疎かになってしまう。
森田:それに、一年間ずっと同じ目標が設定されているというわけでもないですよね。一度「とりあえず目標を立てました」となっても目標の見直しが必要になることも多い。4月に立てた目標が変わった、ミッションが変わったというとき、それからまた次の6カ月の目標をきちんと立てるのは難しい。個人とその目標に対して定期的なメンテナンス、振り返りが必要なんですね。
宮永:最初の話に戻るんですが、個人だけを良く見て、成長できる組織を作るのは難しい。忙しすぎて、「やらなきゃ」と思っていてもできない。そういう本質的な悩みを解決したい。
「目標管理クラウド」をただ取り入れて終わりではなく、私たちのメッセージとしては、社員個人をきちんと評価して、「人材教育のマネジメントができるような会社を目指していこう」ということなんです。本当に大事なのは自社で社員と向き合った適切な目標管理制度を作ることで「目標管理クラウド」はその最初のお手伝いをするためのサービスです。
森田:「課題を一つ一つ解決するための道具」という風に私は考えています。あくまで道具なので、主役は使ってもらう企業の方です。どんどん、使ってもらったお客様の声を反映していきたいと思っています。「やって欲しい」と言われたら「応えます!」というのが私たちの仕事ですから。
――ありがとうございました。
目標管理を始めるための敷居の低さをとことん追求した「目標管理クラウド」。社員を成長させる「本来の目標管理制度」を根付かせたいと願う企業の強い味方になってくれるはずだ。【おわり】
企業情報
株式会社WorkVision
事業内容:
・クラウド/パッケージを主体としたIT関連ソリューション商品企画
・コンサルティング、販売、ソフトウェアの設計・開発、運用・保守サポート
設立年度:2012年10月
所在地:東京都品川区東品川2-2-4 天王洲ファーストタワー
HP:https://workvision.net/
目標管理で企業の成長を支援します。「WorkVision®目標管理クラウド」
WorkVisionの「WorkVision®目標管理クラウド」は、Excelシートとクラウドサービスを組み合わせた目標管理システムです。Excelシートで入力と閲覧を行い、データはWebシステムからクラウド上にアップロードすることで簡単に一元管理します。普段から使い慣れたExcelシートの入力フォーマットを採用しているため、システムの導入も現場への展開もしやすく、説明コストを抑えながら始めることが可能。集計作業や管理の手間もかからないため、人事戦略の立案に注力できます。
サービスの詳細と資料請求はこちら
>>https://at-jinji.jp/service/587/714
【企画・制作:@人事編集部広告制作部】
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