人事の仕事効率化~JTBベネフィット編
福利厚生をアウトソーシングして人事の負荷を軽減
2016.09.05
経営企画部企画課の内山哲郎氏。クライアントは官公庁や法人企業など約1500社を数えると話す
社員たちがより働きやすい環境を整えるための福利厚生制度。社員が生き生き働くことで事業の成長や経営課題を解決する特効薬となり得る。しかし、制度内容の検討や社員への周知、申請に対する承認処理など、福利厚生に関わる作業は煩雑で人事スタッフの負荷は決して軽くはない。
これらの一連の作業を、企業の人事担当に代わり一手に引き受けているのがJTBベネフィットだ。企業が抱える悩みに丁寧に耳を傾け、福利厚生サービスという手段を通じて解決方法を提案する。一般的には飲食店や宿泊施設、トレーニングジムの割引などを取り入れている企業が多いが、それ以外にも社員の健康支援やライフプランのコンサルティング、モチベーションアップを狙ったインセンティブの仕組みの提案など、JTBベネフィットが提供するサービスは多岐にわたる。
「現在、お客様は官公庁や法人企業など約1500社。多くの企業と関わり、ノウハウを積み上げてきました」と話すのは、経営企画部企画課の内山哲郎氏だ。社員のモチベーションを上げたい、健康を促進したい、報奨制度に公平感を持たせたいなど、企業のニーズはさまざま。中でも最近では人材採用や育成に関する悩みが多いという。「良い人材を採用したい、離職率を下げたい、女性を登用したいなどの悩みが多いですね」(内山氏)。これらの企業の課題に対し、多くのサービスの中から最適なプランを提案している。
人事担当の煩雑な作業を一手に引き受ける
企業が福利厚生サービスをアウトソーシングする最大のメリットは、人事担当者の負荷軽減だ。例えばある社員が宿泊施設の割引サービスを利用する場合、社員はまず申請書を入手して記入後、人事に提出。人事は内容を確認して承認の捺印をする。その書類を社員が宿泊施設に持って行き、割引を受け、施設から人事担当者に請求が届き、人事担当が精算するという流れになる。多くの社員に利用してもらいたいと考える一方で、利用者が増えれば増えるほど人事担当者の煩雑な作業が増すことになる。
福利厚生サービスをアウトソーシングした場合、基本的には社員が受けたいサービスをホームページで申請するだけ。残りの作業はすべてJTBベネフィットが引き受ける。また、旅行の補助を利用する場合は、全国に約800店あるJTBグループの店舗で予約と同時に割引金額での精算が済ませられる仕組みになっている。
さらに、メニューの多さもメリットといえる。JTBベネフィットの場合はJTBグループの利点を生かし、予約できる宿泊プランやツアーが20万コース以上用意されている。また、旅行の他にも東京ディズニーリゾートなどのレジャー施設の割引、会員限定の婚活イベントや保険のコンサルティング、自動車や家を購入する際のサービスまで多岐にわたる。利用できる店舗はすべてJTBベネフィットとの提携店だ。企業がこれだけのメニューを自社で揃えようとすると、多大なコストとパワーがかかってしまうだろう。
保育料補助で出産後の女性の定着率がアップ
「えらべる倶楽部」のスマート
フォンアプリ。多彩なメニューが揃う
JTBベネフィットが提供する福利厚生プランは大きく3種類ある。まずは「えらべる倶楽部」の定額コース。いわゆる「飲み放題」のようなプランで、月額一定の料金で、社員は好きなだけサービスを受けることができる。官公庁や大手企業など、福利厚生の予算があらかじめ決められている会社の利用が多い。2つ目は福利厚生サービスとしては珍しい精算コースだ。これは飲み会でいうと「アラカルト」で、月々の利用数によって随時精算する方式だ。利用率を見ながら柔軟にメニューや予算の調整ができる。
3つ目がカフェテリアプラン。これは企業が社員に利用してほしいメニューや利用方法、利用期間などを設定する方法だ。「会社から社員の方へのメッセージを込められることがこのプランの特徴です。例えば、社員の健康に力を入れたい会社は、健康に関連するメニューを手厚くすることが社員へのメッセージになります」(内山氏)
実際に導入した企業はどのような成果が上がったのだろうか。例えば女性が多く働くある化粧品メーカーでは、女性が出産後に退職してしまうことに課題があった。そこで、保育園料の補助や育児に関する福利厚生メニューを増やしたところ、出産後も就労継続する女性社員が増え、離職率が下がったという。
また、ある運送会社では、社員間のコミュニケーションの薄さと健康に対する意識の低さに課題を感じていた。そこで、3人一組で健康に関する目標を立て、達成したら賞品を得られるキャンペーンを実施した。社員たちは「今日は一駅歩きました」「2キロ体重が減りました」など、専用の掲示板を通じて報告し合う。健康への意識が高まるとともに、社員間のコミュニケーションが活発になったという。
利用実績を月次で共有
福利厚生サービスは、内容がどれだけ充実していても社員がそれを知り利用しなければ意味がない。社員たちに周知させることに苦心している人事スタッフも多いのではないだろうか。
JTBベネフィットは社員への告知内容を提案したり、季節ごとに会報誌を発行してオススメのメニューを発信したりするなど、社内浸透もサポートする。また、えらべる倶楽部のスマートフォンアプリはGPS機能により現在地から近くで使えるメニューを探せる他、プッシュ通知で利用者にメニューの新着情報などが届く仕組みになっている。
利用実績は月次でグラフ化し、企業の担当者と共有する。メニューをチューニングしたり、現状の課題を解決するために最適な内容を担当者とともに考えたりするなど、企業にしっかりと寄り添っている。
執筆者紹介
尾越まり恵(おごし・まりえ) フリーランスライター。福岡県北九州市生まれ。結婚情報誌ゼクシィの制作に携わり、2011年に独立。「女性の生き方」をテーマに取材・執筆を続けている。福山雅治、ホークスが好き。
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