厚生労働省
勤務間インターバル制度に数値目標 過労死等防止対策が24日閣議決定
2018.07.25
政府が勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標を初めて設定
厚生労働省が見直し案のまとめを行っていた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が2018年7月24日に閣議決定した。これにより、勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標を政府として初めて設定することになった。
「過労死等の防止のための対策に関する大綱」は、「過労死等防止対策推進法」(平成26年法律第100号)に基づき、平成27年7月に初めて策定されたが、約3年を目途に、大綱に基づく対策の推進状況等を踏まえて見直すことになっていた。
厚生労働省は、この新たな大綱に基づき、関係省庁等と連携しながら過労死ゼロを目指し、国民が健康に働き続けることのできる充実した社会の実現に向けて、さまざまな対策に引き続き取り組んでいく予定だ。
勤務間インターバル制度とは?
勤務間インターバル制度は、就業後業務、次に仕事を開始するまでに従業員へ休息を目的とした一定の時間(インターバル)を保障する制度。日本郵政グループやビール業界など大手企業の一部で導入が進んでおり、サッポロビールでは4月から全従業員を対象にした「10時間以上」のインターバルを設けている。
厚労省の2017年調査によれば、勤務間インターバル制度を「導入している」と答えたのが1.4%、「導入を予定又は検討している」が5.1%に留まっており、6月に成立した働き方改革関連法では、2019年4月から全企業に導入の努力義務が課されることになった。
参照:「平成29年就労条件総合調査」(厚生労働省・平成29年12月27日)
「サッポロビール『働き方改革2020』~勤務間インターバルの運用スタート!~」(サッポロビール株式会社・2018年3月20日)
以下、報道発表資料より。
新大綱 5つのポイント
- 新たに「第3 過労死等防止対策の数値目標」を立てて、変更前の大綱に定められた「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下」など3分野の数値目標を改めて掲げるとともに、勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標(※)など新たな3つの分野の数値目標を掲げたこと。
※数値目標
・2020年までに、勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を20%未満とする。
・2020年までに、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を10%以上とする。 - 「第4 国が取り組む重点対策」において、「労働行政機関等(都道府県労働局、労働基準監督署又は地方公共団体)における対策」を新たに項立てし、関係法令等に基づき重点的に取り組む対策として、下記3点などを明記したこと。
(1)長時間労働の削減に向けた取組の徹底、
(2)過重労働による健康障害の防止対策、
(3)メンタルヘルス対策・ハラスメント対策 - 調査研究における重点業種等(過労死等が多く発生している又は長時間労働者が多いとの指摘がある職種・業種)として、自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療を引き続き対象とするとともに、近年の状況を踏まえ、建設業、メディア業界を追加したこと。また、上記重点業種等に加え、宿泊業等についての取組も記載したこと。
- 勤務間インターバル制度を推進するための取組や、若年労働者、高年齢労働者、障害者である
労働者等への取組について新たに記載したこと。 - 職場のパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントを包括的に「職場におけるハラスメント」として位置付け、その予防・解決のための取組を記載したこと。
【別添資料】
(別添1)「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(概要)(PDF:631KB)
(別添2)「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(本文)(PDF:424KB)
(別添3)「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更について(関係資料)(PDF:799KB)
【報道発表資料「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が本日、閣議決定されました」より|厚生労働省)2018年7月24日)
【編集部より】「 過労死等防止にむけた重点対策」の関連記事はこちら
長時間労働の削減に向けた取組の徹底
・小室淑恵氏に聞く、本気で「脱・長時間労働」するためには?
・ひとり人事部でもできる、長時間労働対策を行う際のポイント
・経営者たるもの、「利益追求」と「長時間労働対策」の二兎を追え!
過重労働による健康障害の防止対策
・衛生委員会を活用して、長時間労働削減に取り組もう
・裁量労働制に「無効」判断 企業が取るべき対応は?
・電通過労死事件から学ぶ、社員の過労死(過重労働)撲滅方法
メンタルヘルス対策・ハラスメント対策
・パワハラ、セクハラ…日本社会でハラスメントが絶え間なく起きる理由
・セクハラのない職場づくりのために人事が取り組むべきこと
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