「面接やめちゃいました。で、丸3年」担当者インタビューvol.2
成功していた「面接廃止」をやめ、ビースタイルが面接を再開する理由
2018.03.01
2002年7月の創業以来、主婦の就職支援事業「しゅふJOB」をはじめ、活躍の機会を得られずに埋もれていた優秀な人材に、働く機会を提供している株式会社ビースタイル。2016年から開始した「面接廃止」を打ち出した新卒採用では、採用目標人数を達成した上で、内定辞退率0%を達成した。
翌年の2017年も成功を収めた「面接廃止」採用だが、実は、2018年を最後にこの採用方式は終了するという。なぜ、成功を収めていた独自採用を変えるのか? ビースタイル人事・中村氏、中堂氏に話を伺った。
※この記事は、「面接廃止で内定辞退0%! ビースタイルの独自採用はなぜ成功したのか」の続編です。
中村浩史氏
株式会社ビースタイル
執行役員 経営管理本部統括
一橋大学卒業後、2001年株式会社インテリジェンス入社。2003年に創業2年目の株式会社ビースタイルに入社。営業部門のマネージャーや新規事業の立ち上げ等を経て、2015年より現職。人事・総務・経営企画・財務経理・CS向上部門など、責任者として企業運営の中核部門を統括。二児の父。
中堂 ショーン(ちゅうどう・しょーん/本名:祥音 しょうおん)氏
株式会社ビースタイル
人事新卒担当(青森とイギリスのハーフ)
就活時100社以上の説明会に参加した結果、ビースタイルのみエントリーして入社。成果に苦みながらさまざまな部署を渡り歩くも、営業職として開花。2015年に全社MVPを獲得。その後、営業マネージャーを経て2018年より現職。高校時代、日本武道「躰道(たいどう)」の大会で全国・世界一に輝く。
長い選考プロセスのメリットとデメリット
──成功を収めていた「面接廃止」採用を、来年終えてしまう理由は何でしょうか?
中村氏:実は、現在の採用方法では、最後の「プレゼン」に応募者が至るまで、こちらで合否に関する判断を一切しないんです。応募者側は、ビースタイルに合っている・合っていないということを長い時間をかけて判断できるんですが、その間に「こちらが採りたい人を見極めてアプローチする」ということが出来ないんですよね。これからは、入社してほしい学生さんをこちらからちゃんと見極めにいこうと思っています。
──今後は、どのように採用方式を変えていくのでしょうか?
中村氏:採用したい学生さんを早く見極めて、当社を選んでいただけるようにアプローチしていく、ということですね。これまではプロセスをすごく長くしていて、能力は最終プレゼンでしか見ていなかったので、まず能力を先に見て、その後はいろんな社員と話してもらったりして、応募者に企業を知ってもらうということをやっていく予定です。内定辞退率には囚われすぎないようにしようと思っています。
近年の売り手市場で、他社に学生を取られるリスクが増加
──採用プロセスの長さがネックになり、現在のフローを変更していく必要が出てきたということですね。変更には、「売り手市場」という現在の採用環境も関係しているのでしょうか?
中村氏:そうですね。採用環境はここ数年でかなり変わってます。採用プロセスに時間をかけていると、他社から先に内定が出ちゃうんですよね。学生さんからすると早く就活終わりたいから、それで採用したい学生さんが他社に行ってしまう。「採りたい人を採りに行く」ということが、今の採用方式だとしづらいな、と思ったんですね。
中堂氏:採用したい母数が一気に増えたということも関係しています。採用目標「30~40人」を見据えて動くとなった際に、採用プロセスに時間をかけるということをしづらくなってきたというところもありますね。採用目標が5人~10人であれば、今のやり方を続けても良いんじゃないかと思っています。
面接で相手を見抜くために、徹底的に「経験」を聞く
──また、面接を再開するということで、これまで「面接で見抜けない」と感じていた部分を見抜けるようにするために変えたこと、意識していることなどはありますか?
中村氏:面接官に確認してもらうことを絞りました。ずっと「経験」だけを聞いてもらうんです。何を頑張ったか。バイトであれば「週何日、何時間入って、バイト先の店長はどんな人で、どんな事件が起こって、その時に誰に何を言われて自分がどう動いたか」みたいなことを全部聞き込んでいく形にする。
志望動機を聞いてしまうと、嘘が入り込む余地がある。だから、経験だけを事細かに聞くんです。その「経験」が、こちらの定めている採用基準と照らし合わせてどうかというところで判断しようかと。志望動機を持ってもらうのが私たち採用担当の仕事なので、そういう意味でも、志望動機を聞くのは止めようと思っています。
口説きに行く学生を決めるために、採用基準を明確化する
──他に今の採用方法から変えること、意識している部分はありますか?
中村氏:極力、採用基準を明確にしたいなと思っています。これからのやり方では、学生さんの取り合いに参加していかないといけないので、誰を口説きに行くかということを決めなきゃいけないんですね。だから、採る学生さんの基準を明確なものだけにしたい。
──基準を明確化するために、面接以外でもやり方を変える部分はありますか?
中村氏:エントリーシートに対しても経験を書いてもらうようにしました。説明会に出てもらったら、「頑張ったこと」と「投入した時間」、「結果、上位何%に入ったか」みたいなのを書いてもらう。うちが求めている経験の基準に達していれば、あとはその人が会社と合っているかどうかは、お互いで話し合えば良いかなと。そこから時間をかけたいなと思っています。
就活中の学生にも、社内のありのままを話したことが好感に
今回は、「面接廃止」採用で就職した方にもインタビューを実施。実際の採用の様子と、働きがいについてお聞きしました。
川守田明氏
株式会社ビースタイル
スーマートキャリア コーディネーター担当
人材コーディネーター
1993年生まれ、千葉県出身。大学3年時よりビースタイルにインターンとして入社。インターン時代にスマートキャリア(旧:時短エグゼ)の募集及び社内報の作成業務を行い、現在は正社員としてコーディネーターを担当。キャリアを活かした自由な働き方を世の中に広めるべく、日々奮闘中。
──ビースタイルさんに応募された理由を教えてください
「OfferBox」というサービスに登録したところ、人事の方からご連絡いただいて、採用のページも見て「面白いことやっているな」と思ってまずインターンに応募しました。
私の場合は採用の経緯が少し特殊なんですけれど、4年生のクリスマスの頃からこちらでインターンをするようになって、4年生の頃には週5で勤務するようになっていたんですね。その流れで「入社したい場合、最終プレゼンはしっかり受けてくれ」と社長から言われて、社長にプレゼンをして、内定をいただきました。
──プレゼンでは、具体的にどんなことをされたんですか?
会社の方から特にお題が決められているわけではなくて「自分でアピールしたいものであればなんでもいいよ」ということだったので、バスケットボールを通じて自分の人格形成がされていった話と、長い間インターンをやっていたからこそ社内のことが分かっていること、具体的に社員の方の名前を挙げて「こういう方みたいになりたいから、ビースタイルに入社したいんです」ということを伝えました。
──ビースタイルの採用では、採用の前に社員のみなさんと「飲み・ランチ」をする機会があるということですが、その中で印象に残ったことなどはありますか?
就活の時期は、社員さんってその会社を志望している学生には良いことしか言わないところが多いと思うんですけれども、そうではなくて、困っていることもオープンに話してくれたので「信用できるな」という印象がありました。
──入社後に携わっているお仕事と、働きがいを教えてください。
今は、コーディネーター業として、求職者と企業のマッチングをする仕事をしています。
関わっているサービスが「スマートキャリア」というハイキャリアのパートタイム派遣紹介なんですけれども、働き方で困っている方を無事就業決定させられて、「助かりました、本当にありがとうございます」とお礼のメールをいただけたときは、とてもやりがいを感じました。
──実際に働いていての魅力はどのあたりだと思いますか?
社内の変化がとても早いので、自分がどう動くかが会社にとっても重要になってくるというところが面白いですね。
就活市場の変化を察知し、成功していた採用方式も大胆に変えていく
「新しいスタンダードをつくる」をタグラインに、日々変化を続けるビースタイル。面接を行っての採用が当たり前の時代に「面接をやめる」決断をした同社は、就活市場の変化を敏感にキャッチし、さらに新しい採用方式を作りはじめていた。採用をめぐる環境が大きく変わる現在、「自社にとって最適な採用」は、今後も目まぐるしく変わり続けるのかもしれない。
【取材:2017年12月、ビースタイル本社オフィスにて。聞き手、撮影: @人事編集部】
企業プロフィール
社名 株式会社 (登記名:株式会社ビー・スタイル)
設立 2002年7月5日
主要事業 人材派遣事業、有料職業紹介事業 、業務分析事業、業務請負事業、人材採用支援事業
従業員数 285名(パート含む) ※2017年4月1日時点
URL https://www.bstylegroup.co.jp/
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