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特集

「面接やめちゃいました。で、丸3年」担当者インタビューvol.1


面接廃止で内定辞退0%! ビースタイルの独自採用が成功した理由

2018.02.26

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2002年7月の創業以来、主婦の就職支援事業「しゅふJOB」をはじめ、活躍の機会を得られずに埋もれていた優秀な人材に、働く機会を提供している株式会社ビースタイル。2016年からは、新卒採用で「面接廃止」を打ち出し、学生のタイプに合わせた特別な選考プログラムを実施した。

2018年度の新卒採用サイトでも、トップ画面に「面接やめちゃいました。で、丸3年」の文字が並んでおり、「面接」「リクルートスーツ」「お祈りメール」を廃止した採用を続けている。なぜビースタイルでは、従来のような新卒採用のスタイルを廃止したのか? 面接をしない場合、どんな方法で合否を判定するのか? 株式会社ビースタイル・人事部長の中村氏に話を伺った。

中村浩史氏

株式会社ビースタイル 執行役員 経営管理本部統括の中村浩史氏⓵

株式会社ビースタイル
執行役員 経営管理本部統括

一橋大学卒業後、2001年株式会社インテリジェンス入社。2003年に創業2年目の株式会社ビースタイルに入社。営業部門のマネージャーや新規事業の立ち上げ等を経て、2015年より現職。人事・総務・経営企画・財務経理・CS向上部門など、責任者として企業運営の中核部門を統括。二児の父。

 

中堂 ショーン(ちゅうどう・しょーん/本名:祥音 しょうおん)

株式会社ビースタイル 人事新卒担当の中堂 ショーン氏⓵

株式会社ビースタイル
人事新卒担当(青森とイギリスのハーフ)

就活時100社以上の説明会に参加した結果、ビースタイルのみエントリーして入社。成果に苦みながらさまざまな部署を渡り歩くも、営業職として開花。2015年に全社MVPを獲得。その後、営業マネージャーを経て2018年より現職。高校時代、日本武道「躰道(たいどう)」の大会で全国・世界一に輝く。

目次
  1. 今の就職活動の面接では、お互いを分からないまま入社が決まる
  2. 「リクルートスーツ」という存在自体がミスマッチを生んでいる
  3. 「とりあえず一斉エントリー」を、良しとしないほうがいい
  4. 採用方式についても「新しいスタンダード」を目指す
  5. 面接の代わりに、社員へのヒアリングが必要な課題を与える
  6. 「対面では分からない部分がある」という前提で、テストを行う
  7. 最終段階では、学生が人事責任者を相手にプレゼンテーション
  8. 面接廃止後、これまで50%あった辞退率が0%~1ケタに

今の就職活動の面接では、お互いを分からないまま入社が決まる

──「面接やめちゃいました。で、丸3年」ということで、面接をやめてしまった理由についてお聞きしてもよろしいですか?
中村氏:まず、今の就職活動の面接に意味を感じなかったんですね。志望動機や自己PRのような、学生さんが「作り込んで準備したもの」を聞いたところで、誇張されてしまう場合もあるし、事実がどうか判断も難しい。コミュニケーションも上手だと、面談自体を練習してきたりするから、本当のところを見抜けなかったりもする。

本人はうちの会社に「入りたい」と言っているんだけど、面接自体の練習を中心にやっているので、本人も、会社のことをよく知らない中で「入りたい」と言わざるを得なかったりする。結果的に、僕らも学生さんの事をわかっていないし、学生さんも僕らの事を分かっていないまま入社が決まってしまう。そういうこともあり得るなと思って、面接じゃない他の方法を考えようということになった。だから(面接を)とりあえずやめようかという話になったんですね。

──お互いのことを分からない懸念があったということですが、実際にミスマッチがあったのでしょうか?
中村氏:うちの会社で採用していてミスマッチがそんなにあったかというと、あんまりなくて。個人面接を1時間半、5回くらいのボリュームでやっていたので、学生さんも喋ることがなくなってきて自然と本音で話してくれるようになった。だからそもそもミスマッチはなかったんですけれども、そもそも型にはまった「面接」という感じの面接でもないし、やめても差し支えないからやめてみた、ということですね。

「リクルートスーツ」という存在自体がミスマッチを生んでいる

──リクルートスーツをやめた理由について教えてください。
mr.nakamura013005中村氏:「今の新卒採用はおかしい」「面接で話す内容を作り込んでくる人たちがミスマッチを引き起こしているんじゃないか」という問題意識で見てみると、みんな同じ格好をして、「格好で相手に何も感じさせないようにする」ということ自体が、ミスマッチを生んでいるんじゃないかと感じたんですね。TPOでどんな格好をしてくるのか、どういう格好が好きなのかというところも含めて表現してもらった方が、その人のことが分かるはずじゃないかと。

もうひとつの理由は、内定辞退率を減らしたかったんですね。「リクルートスーツ禁止」は、50社に一斉エントリーして毎日説明会を5件ハシゴするような人には向かないプロセスなんですよ。うちに来るために着替えなくちゃいけないので。

「リクルートスーツで説明会ぐるぐる回っている人」とは違う時間の使い方をする人が来てくれた方が良いなと思って、リクルートスーツを廃止しました。

「とりあえず一斉エントリー」を、良しとしないほうがいい

──他社と全く違うエントリー方法にすることによって、なんとなく一斉エントリーしてくる学生に「選ばれないようにする」という意味合いもあったんですね。
中村氏:そうですね。(一斉エントリーは)悲しいことが起きるんですよ。20件のエントリーがあったから説明会を20席押さえておいたのに10人も来ない、みたいなことが起こるんです。

株式会社ビースタイル 執行役員 経営管理本部統括の中村浩史氏③と株式会社ビースタイル 人事新卒担当の中堂 ショーン氏②

彼女とデートの約束をして5回に1回は来ないみたいなこと、あり得ないじゃないですか。「どうなってるんだ」「人間が信じられなくなるぞ」という話なので。だから「とりあえず一斉エントリーして、その日行きたくなかったら行かない」みたいな状況を、良しとしないほうがいいと思ったんです。

「説明会にエントリーして結局行かない」という行為自体、これから社会人として約束を守る人たちが、約束を破りながら活動していることになるわけですから。

採用方式についても「新しいスタンダード」を目指す

──現在の選考を企業として採用したことには、どのような背景があるのでしょうか?
mr.chudo013002中堂氏:ビースタイルのタグラインは「新しいスタンダードを作る」というもので、それに則って、誰もやっていないサービスや事業を行ってきているんですね。ただ、採用を見た場合、いわゆる普通の面接をやってきてしまっていたので、採用も見直してみよう、ということで始まったのが今の採用方式ですね。

2016年度の初めての「面接しない採用」は5名採用が目標だったんですけど、5名も取れないかもしれない、という前提でのスタートでした。ただ、このままずっと同じ採用をし続けていても、どんどん売り手市場になっていきますし、競合他社との差別化もできなければ優秀な人材は大手に取られてしまうだろうと考えて、「他と違うことをやろう」と決断した背景がありました。

面接の代わりに、社員へのヒアリングが必要な課題を与える

──現在の採用フローには「課題制作」「適性検査」「プレゼン」とありますが、面接の代わりに実施している「課題制作」では、具体的に何を制作するのですか?
中村氏:前回は「学生さんがビースタイルに入社したくなるようなパワーポイントのスライド1枚、もしくは1分間の動画を制作してください」という課題でしたね。

中堂氏:動画やパワポの資料を作るにあたって、ビースタイルのことを理解していないと、どこが売りになるかが分からないので、社員2人とアポを設定して、そこで学生さんに社員をヒアリングしてもらうことにしていました。そこでのヒアリングの内容をベースに、資料を作って人事に提出する形です。

──初めにヒアリングの段階があって、そのあとに課題制作するんですね。
中堂氏:はい。「どういう仕事をやっているのか」や「会社のどんなところが魅力か」を学生さんが聞くので、取材を受ける社員側には「全部正直に答えていいよ」と伝えていました。そうすることで、取材の中で学生さん側からも企業への理解が進めばと思い、設定しています。

「対面では分からない部分がある」という前提で、テストを行う

──採用フローの3つのうち「適性検査」ではどんな内容でしょか?
中村氏:スカウターというサービスを使って、数学的能力と言語的能力、それとストレス診断を行っています。

──適正検査を入れた意図を教えてください。
中村氏:「対面じゃ分からない部分ってどうしてもあるよね」という意味で入れていますね。機械に頼ることで一定の見えないものが見えてくる。対面で感じたことも検証ができる、という意味もあります。

最終段階では、学生が人事責任者を相手にプレゼンテーション

──採用フローの最後には「プレゼン」とあるのですが、これは何をプレゼンするんでしょうか?
中村氏:自分についてですね。自分プレゼン。形式も自由です。代表か人事部長相手に、1対1でプレゼンします。紙芝居にしてきた子もいましたね。

──選考の過程では、応募者のどのような点を評価していますか?
中村氏:まずは適正検査の結果ですね。最後のプレゼンのタイミングでは「動機の強さ」や「エネルギー量」「倫理観」といったところを見てます。

面接廃止後、これまで50%あった辞退率が0%~1ケタに

──これまでの採用と、「面接廃止」後の採用人数と内定辞退率について教えてください。
中堂氏:2015年度は内定者が10名で、内定承諾が5名だったので、辞退率は50%でしたが、面接を廃止した2016年は、目標の5名を超えて、7名を採用することができました。さらに辞退率が0%だったことで、これは翌年もやろうという形で進んでいきました。2017年卒も面接廃止のまま採用を実施して、内定者が23名で入社したのが22名、内定辞退率は4%弱ですね。

──「面接廃止」後の選考で入社した方の、その後の活躍を教えて下さい。
中村氏:最初に入ってきた人がちょうど活躍し始めてきた頃ですね。期末に社員表彰をやっているんですけど、そこのトップ2に3年目の社員が登場するようになってきています。

──なるほど。定着率も高く、優秀な人材も採用できている現在の「面接廃止」採用ですが、今後も続けていく予定でしょうか?
中村氏:やめます。完全に。また面接を始めます。

──えっ。

【編集部より】
なぜビースタイルは、「内定辞退率0%」を達成し、優秀な人材の採用に成功した「面接廃止」採用をやめるのか? 続きは、以下の記事でご紹介いたします。

>>>【後編】成功していた「面接廃止」をやめ、ビースタイルが面接を再開する理由


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