ワークライフバランスと多様な働き方
導入まったなし! 在宅ワークの課題と解決策
2015.10.23
在宅ワークが日本でも日常の光景になるのは、そう遠い未来ではなさそうだ。
2013年に閣議決定された世界最先端IT 国家創造宣言※では、「テレワーク導入企業を2012 年度比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上にすること」が目標とされた。実際、東日本大震災を機に在宅ワークを導入する企業も増え、そのニーズは確実に高まっているといえる。
一般社団法人日本テレワーク協会によると、在宅ワークの効果は多岐にわたる。例えば、非常災害時における事業継続、育児や介護、障害などにより通勤が困難な人の雇用創出、ワークライフバランスの実現、通勤コストの削減、省力化による電力・CO2排出量の削減などが挙げられる。多様な働き方を求める個人はもちろん、企業や国全体にとっても、在宅ワーク導入のメリットは大きい。
こうした在宅ワークをうまく導入するために企業はどう動くべきなのか?
『ハタラキカタをもっと自由に』をスローガンに、未来の転職・求人WEBマガジン「Paraft(パラフト)」を運営するパラフト株式会社の代表中川亮氏に、在宅ワークの課題と解決策についてお話を伺った(2015年8月取材)。「Paraft」では、就業者が勤務形態や勤務場所、さらには時間までも柔軟に選べるような企業の求人情報を掲載している。「在宅OK」「週3社員」「早朝出勤OK」「複業OK」などのアイコンが並び、「ワークスタイルで転職先を選べる」という画期的な仕組みだ。
※「2020 年までに、世界最高水準の IT 利活用社会の実現」など、国民一人ひとりがITの恩恵を実感できる世界最高水準のIT国家となるために必要となる政府の取組などを取りまとめたもの。
在宅ワークの課題と解決策
中川氏によると、企業が在宅ワークを導入しようとするとき、主に課題となるのが、在宅ワーク以外の人からの理解をどう得るかという点であるという。しかし、経営者が推進していくことで企業側の課題はしだいに整備されていくというのが中川氏の見解だ。
「生産人口が減少し、育児・介護と仕事の両立を余儀なくされる社員が増えていく現状において、柔軟な働き方を導入する必然性を、企業のトップは理解しているはず」(中川氏)
では、在宅ワークをスムーズに導入していくために、企業はどんな点に気をつければいいのだろう。
「まずは独立した部門から在宅ワークを導入するなどして、小さな実績を積み、中核となる部門へ広げていくとよいでしょう。今後、個人と企業は今まで以上に『パートナー』としてサポートし合う関係を築くことになります。そこでは、個人側も『自立』と『自律』のマインドセットを持つことが重要です」(中川氏)
ワーキングマザーの救世主。理想の在宅ワークが実現!
「Paraft」を利用して、キャリアアップを果たしながら在宅ワークを実現させたワーキングマザーの事例がすでに生まれている。3人の子育てをしながら転職活動をしていた彼女は、「育児時短制度を使うには、勤続1年以上という条件つきのケースが多い」という壁にぶつかっていた。しかし、「Paraft」に掲載された求人記事によって、子育てとうまく両立でき、キャリアアップにつながる理想的な働き方の職場へ転職できたという。
また、同社でも、在宅ワークや複業を行っている社員が活躍している。「在宅OK」、「時短OK」、「週3勤務」など、社員自身が「柔軟な働き方」を実践し、『ハタラキカタをもっと自由に』する方法を模索している。そうすることでクライアントへの提案にもより一層の説得力を持たせることができると考えている。
一方で、現在10名いる社員全員に課せられるタスクは易しいものではない。柔軟な働き方の裏には、成果重視の側面もある。質の高いパフォーマンスを約束されるのであれば、社員それぞれの働き方は問わないというのがパラフトのスタイルである。
今後は社員と業務委託の勤務形態を柔軟に切り替えられるようなサポートもしていきたいと、中川氏は意欲を見せる。企業と個人がフラットな関係になる動きが加速する今、各企業の在宅ワーク導入はまったなしの状況だといえよう。
執筆者紹介
松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。
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