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「助成金コンサルタント」のワンポイント講座


「キャリアアップ助成金」とは? 概要と申請までの流れを解説

2015.09.21

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助成金は、融資と違い返済不要で国からもらえるもの。「雇用関係の助成金」の場合、原資は雇用保険に加入している企業が支払った雇用保険料だ。これを活用しないのはもったいない話。今回は、10年以上助成金の受給サポートを行っている社会保険労務士で「助成金コンサルタント」の佐藤崇氏が助成金活用についてアドバイスする。(取材・構成:高橋久実)

目次
  1. 今、国が最も力を入れている助成金とは?
  2. 助成金をもらうための準備
  3. 専門家に相談すれば間違いなし

今、国が最も力を入れている助成金とは?

今、最も活用しやすい助成金のひとつとして厚生労働省の「キャリアアップ助成金」を勧める。

「現在、国をあげて正規雇用を増やそうとしているので、支給要件が緩和されるなど申請しやすくなっています。特に『正規雇用等転換コース』は助成額も大きく、平成28年度までは支給額が増額されています」

このキャリアアップ助成金は、パート・アルバイトなどを正社員に登用するときや、一定の職業訓練を行うときなど、企業内で非正規雇用のキャリアアップの取り組みを実施した事業主を助成する制度だ。

「正規雇用等転換コース」では、非正規雇用から正規雇用への転換を行った労働者1人当たり最大50万円が助成される。他には、「多様な正社員コース」「人材育成コース」「処遇改善コース」「健康管理コース」「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」がある。

助成金をもらうための準備

しかし、これらの助成金は単に申請すれば必ずもらえる訳ではない。

「お金だけもらいたい、ということではダメで、やるべき事をきちんとやらないといけません。助成金を受給するには、労務管理をしっかりしていることが大前提となります」

支給対象となるのは、すべてのコースに共通して雇用保険適用事業所の事業主である。さらに、正規雇用への転換等をおこなう前にいくつかの準備が必要だ。

「キャリアアップ管理者」の配置

まず、事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置しなければならない。

「キャリアアップ管理者」とは、ガイドラインにより「有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む者として必要な知識および経験を有していると認められる者」と定義されている。これは、人事部長もしくは事業主や役員などを指名すればよい。

「キャリアアップ計画書」の作成

次に、「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の確認を受ける必要がある。

「キャリアアップ計画」は、有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるためのおおまかなイメージをまとめたもの。3年~5年以内の計画期間を「キャリアアップ計画期間」とし、計画中に講じる措置、対象者、目標、目標を達成するために講じる措置およびキャリアアップ計画全体の流れを記載する。

作成にあたっては、対象となる労働者の意見が反映されるよう、労働組合などの労働者の代表から意見を聴くことにも留意しなければならない。

さらに、コースによっては就業規則などに新たな制度を規定し、労働基準監督署に改定後の就業規則を届け出ることが必須となっている。

専門家に相談すれば間違いなし

いざ申請の段階になって、それまでの労務管理に不明瞭な点があると労働局から説明を求められることがある。せっかく手間をかけて書類を準備したのに、不備により不支給となってはたまらない。少しでも不明点があれば、専門家である社会保険労務士に相談するのが良い。

その上で、継続して助成金を得るためには注意が必要になってくる。

「雇用関係の助成金はリターンが大きい一方で、これまでの労務管理が白日の下にさらされることにもなります。助成金は、ほぼ毎年新しく支給されるものであり、普段から賃金台帳や出勤簿、就業規則などをきちんと整えておくことが、継続して助成金を得ることにつながります」

助成金の取得に向けて取り組むことは、結果的に労務管理の改善にも繋がる可能性がある。経営を助け、労働環境を良くしていくという意味でも助成金の活用を考えてみてはどうだろうか。

執筆者紹介

佐藤崇(さとう・たかし)(社会保険労務士) 1969年生まれ。助成金コンサルタント、社労士。法政大学経済学部卒。社会福祉法人の総務課を経て、2004年独立。2010年、仙台助成金相談センターを設立。地元仙台・宮城の活性化のために、企業の助成金活用のサポートを行っており、また、無料相談も実施している。ホームページ:http://sendai-roumu.com/

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