残業ゼロを目指して
白紙から始めない
2017.10.05
残業ゼロを実現するためのビジネスハック術を紹介する、ベストセラー作家・佐々木正悟さんの連載企画。今回は、「仕事を先送りしない」ための具体的な施策を紹介します。
不毛な自問自答で時間をムダにしない
仕事というものは、とにかく先送りせず、少しでもいいから前に進めていけば必ず終わります。先送りしないためには、まずは仕事に手を付けることが何より重要です。
ここで、「鶏が先か、卵が先か」という状況に陥らないように気をつけましょう。
そもそも仕事に手を付ければいい。でも仕事に手を付けることを先送りしたくなる……こういった無限後退的な自問自答が、一番ムダなのです。
このような不毛な自問自答で時間をムダにすることなく、確実に「仕事に手を付ける」いい方法があります。それは「仕事に手を付けるときにはすでに、着手した状態にしておく」ということです。
過去に手がけた仕事を再利用する
私はよくこの手を使います。たとえばコラムを書く場合にしても、何もないところから文章を書き出すことはまずありません。
前に書いた文章を土台としてコピーした上で、その内容を読みながら、いま考えていることを踏まえ、執筆していくのです。
といっても、毎回全文を書き直していますから、前の文章の片鱗が残っていることはありません。しかしそれでも、「白紙から手がける」よりはずっと楽です。なぜなら、仕事を始めるときにはすでに目の前の原稿が白紙ではなく、「一定の方向性を持った文章」で埋まっているからです。
実際には、改めて全部を書き直すのだから、むしろコピーされた文章は邪魔ではないかという人もいるかも知れませんが、そんなことはありません。
文章をはじめ、仕事というのは基本的に「記憶」と「新しいアイディア」で作りだされるものです。私は、その比率は「記憶」が99%で「新しいアイディア」は1%程度ではないかと考えています。
発明家であれば話は別ですが、ビジネスパーソンが毎日の仕事を進めていくために必要なのは「新しいアイディアを常に生み出すこと」ではなく、「記憶していることを適切に組み合わせること」です。新しいアイディアが出てこなくとも、99%の仕事はしっかり前に進むのです。ですから、普段仕事を進めていくためには、「記憶していることを適切に思い出す」ことがポイントになります。
記憶していることを適切に思い出すためには、脳をうまく刺激してあげる必要があります。過去に作成した文章を下地にするのは、その刺激を得るためなのです。
例えば、取引先へメールする場合は、内容が近い案件を他社へ依頼した際の自分のメールを引っ張り出して、まずはコピーしてみる。そうすることで、依頼の大まかな流れをつかむことができ、「白紙」からメールを書くより格段に作業が早くなります。(当然のことではありますが、この手法を活用する際は、本文中の名前を確認することを絶対に忘れないようにしましょう。)
それでもうまくいかないときは、なんでもいいから書いてみる
とは言え、どうしてもいいアイディアがまったく浮かばないとか、どうしても書く気がしないということもあり得ます。そういう時は「なんでもいいから書いてみる」という発想を大切にしましょう。本当に、なんでもいいから書いてみるのです。
仕事になかなか着手できない人が共通して持っているのは「不完全な完璧主義」とでも言うべき特徴です。「自分にとって完璧な、納得のいくものでないと書いてはいけない」というような考えを持っている方は非常に多いです。ですが、何も書かなければ、結果的には「〆切を守れない」であるとか、「仕事の工程が遅れる」であるとか、「不完全」な結果がやってきてしまうのです。まずは、なんでもいいから書いてみましょう。
たとえば企画書の作成であれば、以前の企画書のフォーマットをコピー&ペーストするだけでもかまいません。まずは「白紙」に文字を載せ、以前の内容を見ながら何かを書いてみることです。そうしているうちに、「筆が進む」のです。現代の場合、タッチタイプが進むといった方がいいかもしれませんが、とにかく、作業が前に進むわけです。
私はこれまでの経験から、この「タッチタイプ」という指の動きに、仕事のモチベーションが潜んでいると考えています。指をしっかり動かしているうちに、仕事を進めようという気持ちが湧いてくるわけです。ですから、打ち込む文章は本当になんでもいいのです。
仕事を先送りしてしまう理由のひとつは、「モチベーションが冷えてしまっている」ことです。書くべきことを思いつけなくても、アイディアが発想できなくても、モチベーションがホットでさえあれば、少なくとも先送りにはしません。
これまた、何の仕事でもいっしょだと思います。仕事をしようというモチベーションが高められれば、やるべき仕事を丸々先送りにしたりはしないのです。
先送りせず、いまやるという覚悟さえ固まれば、後はやり方を確認するだけです。前にやった自分のやり方を参考にする。同僚のやった過去の企画書を参考にする。方法はたくさんあります。まずはなんでもいいので文字を入れ、「白紙」状態を脱却しましょう。
執筆者紹介
佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック
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