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コラム

残業ゼロを目指して


必要なのは「双曲割引」対策。すぐに気が散る人が仕事に集中する方法

2018.09.22

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残業ゼロを実現するためのビジネスハック術を紹介する、作家・佐々木正悟氏の連載企画。今回は、行動経済学の用語「双曲割引」について解説し、仕事に集中できるようになる方法を紹介します。

目次
  1. 今すぐできることを優先してしまう「双曲割引」という心理
  2. 仕事中にしてしまうネットサーフィンも「双曲割引」が原因?
  3. 「双曲割引」を克服する2つの対策

今すぐできることを優先してしまう「双曲割引」という心理

私たちが「長期の仕事」や「長期目標」を苦手とする理由は、「双曲割引」という行動経済学の考え方で説明することができます。

「双曲割引」は、テンプル大学の心理学者、ジョージ・エインズリー教授が唱えた理論です。この理論は、人間の「遠い将来は待つことができるが、近い将来は待つことができない」という心理を表したもので、時間経過をX軸、将来の価値を現在に換算する際に用いる率(割引率)をY軸とした際に、グラフが双曲線になることから、このように名付けられました。

ただ、突然グラフがどうと言われてもピンと来ない方が多いかと思いますので、今回は、より身近な例を使って「双曲割引」を簡単にご紹介します。

同じ「1万円」でも、渡される時期で価値が変わる?

A.1年後に1万円をもらえる
B.1年と1日後に1万1000円をもらえる

上記の二択ではどちらがいいかと問われた場合、ほとんど全ての人がBを選びます。しかし、

A.今すぐ1万円をもらえる
B.明日に1万1,000円をもらえる

このように、渡すタイミングだけを変えて質問すると、Aの選択肢を選ぶ人が突然増えます。人は、遠い将来の「1日」は短い時間と感じられるのに、「今から明日まで待て」と言われた場合の「1日」については、とても長い時間のように感じてしまうのです。

つまり、私たちの心は「今すぐできること」の価値を非常に過大評価する傾向があり、「ちょっと待つ」ことでより大きな利益を得る行動が、とても苦手ということです。

仕事中にしてしまうネットサーフィンも「双曲割引」が原因?

私自身、仕事をしていると、この「双曲割引」が自分にも当てはまることをよく感じます。

仕事にちゃんと向き合い、多少苦痛でも作業を続ければ、15分くらいで興に乗ることができ、それ以降、1時間くらいはタスクを順調に進められます。そのように仕事の波に乗れた際には、一種の快感があるものです。

しかし私は、「たった15分集中すれば、あとはうまくいく」と分かっていても、仕事をなかなか始めず、ネットサーフィンをして、そんなに面白いわけでもない動画を見てしまうことがよくあります。一歩引いて考えると、これは、「15分後に得られる快感より、15秒後に得られる快感の価値の方が高く感じられる」という、「双曲割引」的な心理にとらわれているから起きる現象なのです。

仕事から脱線してしまう行動の大半は、このような「双曲割引」的心理が原因で生じます。15秒後に快感を得たいと思うあまり、15分の我慢が難しい。逆に言えば、15分の苦痛を確実に我慢できる人は、かなりの仕事量を毎日こなすことができるのです。

双曲割引」を克服する2つの対策

では、どうすれば十数分間の苦痛を我慢して、仕事の達成感にフォーカスすることができるのでしょうか。対策は、2通りあります。

1.自分の状況を大局的な視点で捉える

1つ目は、仕事に関わっている状況を、大局的な視点で捉えるクセをつけることです。

明日まで待てずに今すぐ利益を得ようとする人でも、「1年と1日後」と言われれば待てるようになるのは、大局的に見れば、1日の違いなど大したことではないことを心のどこかで知っているからです。

仕事に関係のないことを始めたくなってしまったときは、「この行動が、自分の人生にとって本当に必要なのか」といったふうに、大げさなくらい大局的な視点で、自分の行動を冷静に捉えてみましょう。こう考えてみるだけで、ネットサーフィンしながら動画を延々と見るような時間は、確実に減っていきます。

2.成功体験を記録し、証明する

2つ目は、「今耐えれば、後でもっと大きな成果が出る」ことを、自分で記録して証明していくという方法です。

「今日利益が得られるなら、1日も待ちたくない」と私たちが思うのは、確実に得られる利益を好むという脳のクセによるものです。

「手の中にある1羽の小鳥は、茂みの中の2羽の価値がある」いう海外のことわざが示す通り、人間は利益が2倍になる可能性より、手中に収まっている利益を大切にします。

こうした目の前の誘惑に打ち勝つ手段の一つが、「成果を記録する」という行動です。利益が2倍になることが単なる「可能性」ではなく、実際に起きることだとわかっていれば、人は目の前の小さな利益にとらわれず、より大局的な視点で行動することができます。

「仕事を進めれば確実に利益が残せる」という過去の記録や、「15分以上集中した場合の仕事の実績」を見える化することにより、ちょっと我慢すれば利益が確実に上がることを、自分自身に繰り返し伝えることが可能になります。

このように、「双曲割引」的な発想を覆すためには、「大局的な視点を持つこと」「今我慢すれば、後でもっと大きな成果が出ることを、記録として積み上げること」が大切なのです。

執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック

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