フォー・ノーツ株式会社
ジョブ型人事制度導入企業の課題が明らかに。「ジョブディスクリプションと業務内容のズレ」が最多
2024.02.16
総合人事コンサルティング事業を展開するフォー・ノーツ(東京・港)は2月15日、経営者・人事業務に携わる社員475名を対象に実施した「ジョブ型人事制度の実態調査2023」のアンケート結果を発表した。
本調査の結果によると、4社に1社以上がジョブ型人事制度を導入している一方、「よく知らない」と回答した企業も21.3%に上った。すでに導入している企業での課題として最も多かったのは「ジョブスクリプションと業務内容のズレ」、次いで「社内異動ができず、後任採用まで欠員状態になる」だった。同社代表取締役社長の西尾太氏は、「ジョブ型は企業の覚悟が問われる制度である」と述べ、ジョブ型はあくまで手法の一つであり、自社の理念を実現するために適した方法を冷静に考える必要があるとコメントした。以下、リリースより。
調査結果のポイント
Q.1 ジョブ型人事制度の導入状況
Q.2 ジョブ型人事制度導入(導入予定)の背景や狙い
Q.3 ジョブ型人事制度として、実際に運用されているもの
Q.4 ジョブ型導入後の課題
Q.5 ジョブ型人事制度を導入しない理由
調査概要
調査名:ジョブ型人事制度の実態調査2023
対象者:経営者、人事業務に携わったことのある方
対象地域:全国
男女比:男性87.8%、女性12.2%
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年8月24日~8月27日
回答数:475名
総評
「ジョブ型」人事制度とは、すなわち職務主義のことである。2020年頃に「ジョブ型」は人事領域のバズワードとなり、以降大企業を中心に導入を検討する企業が後を絶たない。
その歴史をひも解くと、1960年頃にも同様に年功・勤続・能力主義を中心とした従来の日本型雇用から職務主義への移行が叫ばれたが、結局、職務主義は日本には根付かなかったという過去がある。
本調査では大企業で約4割、中堅企業でも約3割がジョブ型の導入を進めているという結果が出ているが、私の周りではなかなか上手く運用できないという実態がある。よくよく結果をひも解いていくと全社での導入は大企業でもわずか8%程度となっており、その点から見ても、完全なジョブ型の導入・運用は難しいようだ。
ジョブ型の運用では、終身雇用・年功序列・新卒一括採用など日本の雇用慣行を前提としたメンバーシップ型の人事制度とは相容れないポイントがいくつかある。
例えば、メンバーシップ型では任せた仕事に向いていない人がいたら別の部署に異動させ、別の仕事を任せるということができるが、ジョブ型では任せていた仕事ができない場合、下のジョブに下げる(当然給与も下がる)か、解雇をするか。ただ、日本企業では簡単に社員を解雇することができないため、下のジョブに下げざるを得ないが、運用を徹底できている企業は導入企業の4割程度しかない。残りの6割近くの企業では運用が破綻し、導入時の目的を達成できていないことが予想される。
一方で、中途のキャリア採用はそもそもジョブ型志向の施策であるため、社内での人材育成を想定しないエンジニア職などの一部職種に限定したジョブ型制度は、上手くいく可能性があるかも知れない。
常々、言っていることだが、ジョブ型は企業の覚悟が問われる制度である。覚悟を持って導入しないと狙った効果が得られないばかりか、非常に中途半端な制度になってしまうため、導入を検討している企業は気を付けないといけない。「ジョブ型」はあくまで一つの手法に過ぎないのだから、安易に流行りの人事制度に飛びつくことなく、冷静に考えることが重要である。
自社の理念(ビジョンやミッション、バリュー)はなにか、それを実現するために人に対してどのように考えるのか、求める人材を採用し、育成するためには、どのような制度をつくるべきか、ということをしっかりと考え、その上で、「ジョブ型」というやり方が適しているのであれば導入すればよいし、もし「ちょっと違うな」と感じるのであれば、改めて検討していただくのはどうだろうか。是非、企業人事の皆様には、やり方の前に考え方を整理されることをおすすめする。
(フォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長 西尾 太)
プロフィール
フォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長 西尾 太(にしお ふとし)
人事コンサルタント。「人事の学校」主宰。
いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエーター・エージェンシー業務を行う。クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。これまで1万人超の採用・昇格面接、管理職研修、階層別研修、人事担当者教育を行う。
成果を生みだす上で欠かせない行動として普遍的かつ汎用的に活用できるコンピテンシーモデル「Competency 45 models」を開発。社員の育成につながるキャリアステップ要件として多数の企業で展開されている。
また、個人のパーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する適性検査「B-CAV test」を開発し、統計学に基づいた科学的なフィードバック体制を確立する。
中でも「年収の多寡は影響力に比例する」という論は好評を博している。著書に「この1冊ですべてわかる 人事制度の基本」(日本実業出版)、「人事の超プロが明かす評価基準」(三笠書房)、「超ジョブ型人事革命」(日経BP)などがある。1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。
会社概要
フォー・ノーツは、「会社の社員に対する考え方」を明らかにする人事ポリシー策定を起点に、あらゆる組織で普遍的・汎用的に活用できるコンピテンシーモデルを軸にした人事制度を構築するとともに、制度の運用までを伴走して支援。その他、教育研修や人事部づくりなど、人事の困りごとをトータルに支援します。
- [社名] フォー・ノーツ株式会社
- [代表者] 代表取締役社長 西尾 太(にしお ふとし)
- [創立]2008年4月
- [所在地]〒107-0052 東京都港区赤坂8-5-40 ペガサス青山310
- [TEL]03-6447-1321(代表)
- [URL] https://www.fournotes.co.jp/
- [事業内容]
・人事コンストラクションサービス
・人事コンサルティング
・人事制度構築/運用支援
・教育研修企画/開発/実施
・人事担当者育成
・人事の学校
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- 人事業務を効率化するために必要な視点・ネットワークとは?
- 社員のモチベーションが本当に高まる人事制度・職場を生み出すには?
【プレスリリース「ジョブ型人事制度の導入企業「ジョブディスクリプションと業務内容のズレ」に課題あり。 さらに、約半数が「能力が見合わない場合のジョブ見直し/降給措置」を実施せず。」(PR TIMES)より|2024年2月15日・フォー・ノーツ株式会社】
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