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企画

人事キーパーソンインタビュー


社員のモチベーションが本当に高まる人事制度・職場を生み出すには?

2016.05.11

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「社員のモチベーションが上がらない」「新しい制度や仕組みを作っても不満がなくならない」。こうした課題に対し、人事担当者がどう対処・挑戦していくべきなのか。
人事の超プロが明かす評価基準:「できる人」と「認められる人」はどこが違うのか』(三笠書房)の著者、西尾太氏にお話を伺った。

目次
  1. そもそも人事担当者が、経営理念や行動指針を熱く語っているか?
  2. グレード制度でキャリアステップを示し、成長予感を高めるのがカギ
  3. 人事について本気で悩み、議論しているかどうか?

そもそも人事担当者が、経営理念や行動指針を熱く語っているか?

西尾氏によると、社員が「仕事=生活のために仕方なくやっているもの」という意識でいては、いくら給与や休暇など、外発的動機づけを導入しても、モチベーション向上にほとんど効果はないと語る。

「社員が生き生きと働いている企業では、経営理念が浸透しており、社員自身が理念と照らし合わせて自分の仕事の目的や意義をしっかり理解できています。理念は、ビジョン(めざす姿)・ミッション(使命)・バリュー(価値観)から成りますが、これらが腹落ちできていれば、自ずと仕事へのやる気のスイッチがONになります」(西尾氏)

では、理念を浸透させるために人事担当者はどうすべきなのか。西尾氏は、「会社のベクトルと個人のベクトルを合わせることが、人事の究極的な機能」だと断言する。

三笠書房の著者の西尾太氏『人事の超プロが明かす評価基準』の著者である西尾太氏

「会社と個々の社員のベクトルを合わせるには、そもそも人事担当者自身が経営者と同じか、それ以上に熱く理念を語っていくことが不可欠です。人事が『何のために働いているか』について揺るぎない信念を持って周囲に発信していかなければ、全社的にやる気を上げることは難しいでしょう。

また、人事評価制度を構築する際に、『経営理念や行動指針に沿った行動をとれているか』という基準を盛り込むことを推奨しています。その目的は、この基準の良し悪しで社員を評価するのではなく、この基準をもとに、評価面談で上司と部下が行動指針について語り合い、指針への理解や共感を深めるため。
上司も部下も、目の前の目標数値に追われていると、行動指針という原点に立ち返る余裕をなくしがちですから。そもそも『評価』とは本来、『社員を褒める仕組み』なのです。個々の社員の得意分野や達成できたところを具体的に褒めたうえで、会社が求める基準を満たしていない部分を指摘し、今後どのようにそれを伸ばしていくかを部下にフィードバックしていくのが評価面談です。管理・監督職は人事評価の目的はそもそも『人材を育てること』だという認識を持つ必要があります」

人事評価の本来の目的やフィードバックの伝え方について、現場の支援・管理・監督職に徹底することも人事担当者の大事な役割だといえる。

グレード制度でキャリアステップを示し、成長予感を高めるのがカギ

では、モチベーション向上につながる制度やインセンティブの導入にリソースを割けない中小企業やスタートアップでは、どのように人事制度や風土を築けばいいのだろうか。西尾氏は、内発的動機に火をつけるという意味で、経営理念を比較的浸透させやすい中小企業やスタートアップはかえって有利だ、と語る。

「福利厚生などが整っていなくても、魅力的な未来像を描けば、それに共鳴する優秀な人材を定着させることは充分可能です。また、『この会社で働けば、どこでも通用する人材に成長できる』という成長予感を社員が持てるかどうかもカギとなります。成長予感を高めるには、キャリアの道筋を等級制度(グレード制度)の形で示すことが重要です。例えば『この職務を経験すれば、こんなスキルが身につき、次はこんな職務にステップアップするチャンスがある』と明示されていれば、社員の成長意欲が喚起されます」

今の業務がどんなキャリアにつながるのかが明確ならば、仕事への向き合い方もポジティブに変化していくだろう。

人事について本気で悩み、議論しているかどうか?

西尾氏によると、「人事に対してあれこれ悩んだり、意見を言い合ったりする空気がある会社のほうが、業績が伸びていく傾向にある」という。例えばある会社では、社員の評価を調整する会議で、「この社員にAをつけると、『現状維持でよい』という意味に受け取られてしまう。それは本人の成長にとって良くない」などと、喧々諤々の議論がなされているという。こういう活発な議論の有無は、人材育成への本気度のバロメーターだといえよう。

「人事担当者は、伸び悩んでいる社員を見つけたら、その人が力を発揮できる部署への異動を仕掛けるなど、真摯な姿勢が求められます」

こういう努力を惜しまないことこそが、社員のモチベーションを真に高める会社の秘訣ではないだろうか。

西尾太(にしおふとし)
1988年 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。いすゞ自動車株式会社人事部門工場労務セクション、株式会社リクルート 人材総合サービス事業部門を経てカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)人事部門(最終職歴:人事部長)、株式会社クリーク・アンド・リバー社人事・総務部長を歴任。2008年、株式会社フル・オフ・タイム(現フォー・ノーツ株式会社)設立 、代表取締役。「人事の学校」主宰。
著書に『人事の超プロが明かす評価基準』、『就活の学校 人事の本音、就活の誤解』、『人事担当者が知っておきたい10の基礎知識 8つの心構え』などがある。

執筆者紹介

松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。

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