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人事キーパーソンインタビュー


人事業務を効率化するために必要な視点・ネットワークとは?

2016.07.20

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法律の改正、採用スケジュールの変更など、目まぐるしい変化のさなか、人事担当者自身は多彩な業務効率化を迫られている。とりわけ、まだ人事制度の構築・整備に着手したばかりというベンチャー企業において、少数の担当者での人事業務効率化には、どんなポイントを押さえておく必要があるのだろうか? 「人事の学校」で指導にあたる西尾太氏に話を伺った。

【参考】残業ゼロで成果を出すには、過剰品質から最適品質へシフトせよ

目次
  1. 効率化に適するのは「オペレーション」部分
  2. メンタルヘルスや退職者の対応からは逃げないこと。ただし、リスクヘッジに注力せよ
  3. 100名以下のベンチャー企業こそ、外部の専門家をうまく活用せよ

効率化に適するのは「オペレーション」部分

西尾氏によると、人事業務の中には、効率化できる業務と、人事担当者が手間ひまを惜しまず担うべき業務とがあるという。人事業務は、次の4つのフェーズに分けられる。まずは、理念浸透・人事ポリシー構築といった「戦略」のフェーズである。次に、採用分野を例にとると、戦略に基づいて、採用活動の実行プランを考える「企画」、実際に誰を採用するかを判断する「運用・管理」、そして運用・管理で決まったものを作業として回していく応募者管理・履歴書管理という「オペレーション」のフェーズである(下図参照)。

フォー・ノーツ株式会社 人事の学校 応募者管理・履歴書管理という「オペレーション」のフェーズ

「人事の学校」で指導にあたる西尾太氏

『人事の超プロが明かす評価基準』の著者である
西尾太氏

「実作業のコストや時間をカットするという意味での効率化は、『オペレーション』と、給与制度・退職金制度運用といった一部の『運用・管理』のフェーズで実現可能です。なぜならこれらの業務は、判断をくだす必要がない程度にまで、作業を明確にブレイクダウンできるからです。よって、例えば各種申請処理のような、誰がやっても同じ結果が出せる作業においてのみ、効率化の観点が必要になるでしょう。そのため、運用・管理においては、オペレーションを誰でもこなせるよう、明確なルール、マニュアルを制定することが大事です。これがアウトソーシングの円滑化にもつながります」(西尾氏)

ただし肝に銘じてほしいのは、アウトソーシングの目的はコストカットではなく、あくまでオペレーションの「安定稼働」ということである。「例えば給与計算・支給実務が属人的になっていると、その担当者がやめたときに引き継げる人がおらず社内が混乱に陥ってしまいます。こうした混乱を防ぐには、業務フローをきちんと設計しておき、信頼できるアウトソーシング会社に任せることも効果的です。アウトソーサーにも理解できるようなマニュアルを作成し、フローに抜け漏れ・重複がないか、ボトルネックがないかをチェックするのです」

メンタルヘルスや退職者の対応からは逃げないこと。ただし、リスクヘッジに注力せよ

では、「オペレーション」以外の業務ではどうか。例えば、メンタルヘルスの対応や退職勧奨などが多発した場合にどうすればいいのだろうか。

西尾氏は「こうした問題が起きたときは、人事担当者が社員やそのご家族としっかり向き合うべきであり、ここに手間を惜しんではいけない」と断言する。ただし、例えばメンタルヘルス対策コンサルティングなど、問題の予防を目的とした仕組みづくりを、外部の専門家とともに進めておくことで、人事担当者が対応に追われるのを間接的に防ぐことは可能だという。また、退職勧奨においても、あらかじめ減給・降格制度といった規程をつくり、対象社員に勤務態度の改善などを日頃からきちんと要求しておくことで、いざ勧奨する場面で揉めるリスクを軽減することができる。

100名以下のベンチャー企業こそ、外部の専門家をうまく活用せよ

社員が100名以下の企業なら、こうした人事業務の内製化をめざすより、外部の専門家に任せた方がよいという。「人事業務は非常に多岐にわたるため、担当者がすべての知識を身につけて対応するのは厳しいでしょう。産業医や弁護士、社会保険労務士、人事コンサルタントとのネットワークを築き、いつでも相談できる体制を構築することが重要です。社員の入退社が多い会社であれば、一次面接をアウトソーシングするのも手です。

何より、これから人事制度を構築していくには、人事業務全体を俯瞰して戦略、企画、運用・管理、オペレーションに落とし込めているかという視点を持てる人材が不可欠です。企業理念を実現するために、人事ポリシー、等級制度、評価制度、給与制度、人事管理、採用・配置、人材育成といった各施策が関連し合うように整備することが求められます。各施策の一体化や全体最適の視点が抜けたまま、『良い研修プログラムがあるから導入しよう』などと各論で議論しても得られる効果は少ないでしょう。俯瞰的な視点で『どんな業務が必要なのか』という優先順位付けを行い、人事業務を構築するには、人脈や実績の豊富な人事コンサルタントとの連携が重要だと考えています」

信頼できる外部の専門家に協力をあおぐことで、自社の理念に沿った人事業務の設計がしやすくなり、各施策の有効性が高まる。これが中長期的に見ると、人事業務の最大の効率化につながるといえる。

西尾太(にしお・ふとし)
1988年 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。いすゞ自動車株式会社 人事部門工場労務セクション、株式会社リクルート 人材総合サービス事業部門を経てカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)人事部門(最終職歴:人事部長)、株式会社クリーク・アンド・リバー社人事・総務部長を歴任。2008年フォー・ノーツ株式会社設立、代表取締役社長。一般社団法人日本パーソナリティ診断士協会 代表理事。「人事の学校」主宰。

著書に『人事の超プロが明かす評価基準: 「できる人」と「認められる人」はどこが違うのか』(リンク:http://www.fournotes.co.jp/hyokakijun/)『就活の学校 人事の本音 就活の誤解』、『人事担当者が知っておきたい10の基礎知識 8つの心構え』などがある。

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執筆者紹介

松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。

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