新型コロナウイルス禍における働く個人・企業の意識調査(リクルートキャリア調べ)
新型コロナウイルス禍の影響で導入した人事制度「在宅勤務手当などの支給」実施は約5割。評価制度の改定は2割にとどまる
2021.03.03
リクルートキャリアが2021年2月17日に発表した、「新型コロナウイルス禍における働く個人・企業の意識調査トピックス編」によると、テレワーク導入企業で新型コロナウイルス禍の影響を受けて新たに人事制度を策定した企業は52.1%だった。
導入した制度を聞いたところ、最も多かったのが「在宅勤務手当などの支給」で48.0%、次いで「フレックスタイム制の導入」(38.4%)、「居住地に関する規定の緩和」(32.7%)が続いた。少なかったのは「査定考課などの評価制度改定」で21.2%だった。柔軟な働き方への対応は各社が取り組みやすかった一方で、人事評価の改定は難しい傾向がみられた。
以下、「新型コロナウイルス禍における働く個人・企業の意識調査トピックス編 」の情報を抜粋して紹介する。
【関連イベント】テレワーク時代の人事評価-「現状への対処」からの脱却。マネージャー・人事に求められる人事評価のアップデート―
新型コロナウイルス禍の影響で新たに導入した人事制度(人事向け調査)
新たな人事制度を急速導入する動き。働く個人の暮らしに寄り添う施策が必要
新型コロナウイルス禍の影響で、新しい人事制度を導入したと答えた人事担当者は52.1%。導入した制度としては、「在宅勤務手当などの支給」(48.0%)「フレックスタイム制の導入」(38.4%)「居住地に関する規定の緩和」(32.7%)の順に高く、さまざまな取り組みがなされていることが分かります。全体からすると、約20%の企業は在宅勤務手当などの支給を行ったことが分かり、新型コロナウイルス禍でも奮闘している人事の動きがうかがえます。
今回、新しい人事制度を策定していないと答えた人事担当者の中には、元々企業としてテレワークやフレックスタイム制が整備されていたというケースもあるでしょう。その点を考慮しても、柔軟な働き方を実現するために対応している企業は増えてきていると考えられます。何も取り組んでいない企業と、しっかりと取り組んでいる企業の人材の求心力の差は開いていくと考えられます。
テレワークでの働き方の満足度(個人向け調査)
「働く時間」や「有給休暇の取得しやすさ」に多くの人が満足。勤務環境の整備に関わるものに不満。
新型コロナウイルス感染症の影響によってテレワークを経験した人に、テレワークでの働き方の満足度を8項目で確認しました。「大変満足」と「満足」を合計した満足度の指標をみると、全体の70.3%の人が「働く時間(始業・終業時間や休憩など総合的に)」を選択しており、「有給休暇の取得しやすさ」が61.2%、「働く場所(家やサテライトオフィスの中の環境)」が57.4%と続きました。
一方で、不満足(「大変不満足」+「不満足」)の割合が高かった項目は、「勤務環境を整えるための会社からの補助」、「働くためのツール」、「テレワーク環境」といった勤務環境の整備に関わるものが目立ちました。ただし、調査時点(2020年9月)よりは、テレワークの浸透に伴ったテレワーク環境の整備が進んでいる可能性も認識しておく必要があります。
調査結果が示すとおり、働く場所や時間の柔軟性という典型的なテレワークのメリットに加えて、有給休暇の取得がしやすい点を満足に感じている人が多いことが分かりました。この項目について年代別に比較すると、特に20代で満足度が高いことが見受けられ、満足の割合は全体平均の61.2%より6.0pt高い67.2%でした。
解説(HR統括編集長 藤井 薫):働き方改革から「クラシゴト改革」へ。100人100様の人事施策が人材求心力の差に。
新型コロナウイルス禍の影響で、半ば強制的に浸透したテレワーク。そうした急激な変化に即応し、約半数もの企業が、テレワークに関して「新たな人事制度を策定した」ことは注目に値します。中身に関しても、金銭的支援(在宅勤務手当)、働く時間や場所の自由度の付与(フレックス、居住地緩和、ワーケーション)と、働き手の満足(時間や場所の自由度)やストレス軽減(テレワーク勤務環境の整備)に呼応した制度で働く個人にとって良い取り組みが進んでいることが見て取れます。
世帯形態別の調査結果からも明らかになったように、テレワークの満足度・ストレスは、「仕事環境と生活環境の相互作用」で影響を受けると考えられます。100人100様の生き方・暮らし方を持つ働き手に向き合い、一人一人の暮らしの安心と仕事での才能開花をどう支援するか。「働き方改革」から「クラシゴト改革」*へ。コロナ禍で身に付けた企業人事のきめ細かく・スピーディな変革実行力は、今後の人材求心力とその先にある顧客体験価値向上のための大きな武器になるでしょう。
*クラシゴト改革
リクルートキャリアとリクルート住まいカンパニーが2021年に共同発表した、「働く」と「住む」から見える新しい兆し。コロナ禍でのテレワーク浸透をきっかけに生き方そのものを丸ごとデザインし直す人と、それを応援する企業の広がり。そうした「暮らし方」×「働き方」の変化をキーワードにいたしました。
クラシゴト改革 | コレカラ会議ONLINEセミナー | Recruit – リクルートグループ
【解説】藤井 薫(ふじい・かおる)
株式会社リクルートキャリア
HR*統括編集長
プロフィール(略歴)
1988年、リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。以来、人と組織、テクノロジーと事業、今と未来の編集に従事。『B-ing』、『TECH B-ing』、『Digital B-ing(現『リクナビNEXT』)、『Works』、『Tech総研』の編集、商品企画を担当。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長・ゼネラルマネジャーを歴任。 2016年、リクナビNEXT編集長に就任(現職)、2019年にはHR統括編集長を兼任(現職)。
*HR=Human Resources(人的資源・人材)
調査概要
個人向け調査
実施期間:2020年9月26日(土)~2020年9月28日(月)
調査対象:企業に勤める正規の従業員で2020年1月以降にテレワークを開始した人
回答数:2,272名
集計対象:調査期間の2020年9月26日~28日時点においてもテレワークを実施している2,213名
調査方式:インターネット調査
人事向け調査
実施期間:2020年9月26日(土)~2020年9月30日(水)
調査対象:企業に勤める正社員かつ職種が人事である人
回答者数:1,224名
調査方式:インターネット調査
調査の詳細(PDF):https://www.recruitcareer.co.jp/news/20210217_02isc7h.pdf
※調査時である2020年9月と、今回のリクルートキャリアのリリース発表時の2021年2月では、2度目の緊急事態宣言の内容・適用範囲の違いをはじめ、人々を取り巻く状況が異なる点があることに留意。
【参照:「新型コロナウイルス禍における働く個人・企業の意識調査トピックス編 テレワークでの働き方の満足度、新型コロナウイルス禍の影響で導入した人事制度など ―2020年9月調査―」|株式会社リクルートキャリア(2021年2月17日)】
編集部おすすめ情報
■テレワーク時代に必要な人事評価へのアップデート
2020年4月以降、人事課題の焦点であり続けた「人事評価」の問題点を整理し、自社の人事評価の課題点を確認しながら、あらためてテレワーク時代に必要とされる人事部門・現場マネージャーの役割を提示。明日から使える人事評価のノウハウを提供する。
【おすすめポイント】
・現場マネジャーと人事部門の間に人事評価のギャップがある
・働き方の変化に伴い今までの人事評価では対応 できないと感じている
・従業員から人事評価への不満が出ているが、 何が原因かわからない
【@人事編集部(株式会社イーディアス)】
【レポート】人事の学び舎Vol.16「人材マネジメント入門」
2020年にHR業界関係者が注目した『図解 人材マネジメント入門』の著者・坪谷邦生氏による基調講演に加え、専門家がパフォーマンス向上のために有効な人事評価の運用方法やモチベーションアップを可能にする評価制度の作り方など、変化の時代に対応できる人事制制度構築のヒントとなりうる視点を語った。
>>詳細をチェックする【@人事編集部(株式会社イーディアス)】
【レポート】人事の学び舎Vol.12リモートワークのマネジメント
リモートワーク下でも有効なコミュニケーションとマネジメントの側面から課題解決法を披露。専門家がリモートワーク下で進む“不透明な組織化”を止める「見える化」と「Youの視点」を解説しました。
>>詳細をチェックする【@人事編集部(株式会社イーディアス)】
【e-book】リモートワークの生産性を向上させる方法
リモートワーク導入によって起きる課題を洗い出した上で、すぐに実践できる生産性向上のための考え方やノウハウ、リモートワーク実施時の課題解決に有効なサービスを各種データや事例を紹介しながら解説します。
>>詳細をチェックする【@人事編集部(株式会社イーディアス)】
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
PR企画
HRテック企業カオナビ・チームスピリットが実践する人事制度
1日に何度も出退勤可能? 生産性向上と働きやすさを両立するニューノーマル時代の働き方
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、リモートワークの普及が一気に進み、働き方を変える大転換になった。感染症対策を契機にニューノーマル時代の働き方を模索していく必要に迫られる中...
2021.02.26
-
ニュース・トレンド
【レポート】人事の学び舎Vol.16「人材マネジメント入門ー従業員のパフォーマンスを高める人事評価の理論と実践ー」
人材マネジメントの理論と実践を体系的に学び、「人事評価」の最新の実践例に触れる
@人事を運営するイーディアスは2月4日、人事・総務担当者向けのアカデミックイベント「人事の学び舎vol.16」をオンラインセミナー形式で開催した。テーマは「人材マネジメント入門-従...
2021.02.24
-
ニュース・トレンド
【レポート】人事の学び舎Vol.15 ナビとスカウトでつくる Web新時代の採用スタンダード LigtingTalk②
リクナビが考える新卒採用新時代のコミュニケーションの在り方【株式会社リクルートキャリア】
人事・総務担当者向けのアカデミックイベント「人事の学び舎Vol.15 オンライン元年 ナビとスカウトでつくる Web新時代の採用スタンダード」(12月8日開催)の登壇企業によるLi...
2020.12.22
-
ニュース・トレンド
ビズリーチ WorkTech研究所
直近1年での退職者が増加傾向。大企業では7割超が「退職者が増えている」と回答
ビズリーチ(東京・渋谷)が運営する、働く人の活躍を支えるテクノロジー“WorkTech”に関する研究機関「ビズリーチ WorkTech研究所」は10月22日、ビズリーチまたはHRM...
2024.10.24
-
ニュース・トレンド
KDDI株式会社
社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的に「ジョブ図鑑」を公開
KDDI(東京・千代田)は10月21日、社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的として、社員向けに「ジョブ図鑑」を公開した。【TOP写真はジョブ図鑑のイメージ(リリースよ...
2024.10.22
-
ニュース・トレンド
【就活生が望む企業の適切な連絡(頻度・内容・方法)調査】株式会社No Company調べ
Z世代就活生の約3割が “連絡を理由” に選考を辞退
企業の人事部門向けに採用広報(採用マーケティング)支援を行うNo Company(東京・港)は10月7日、「就活生が望む企業の適切な連絡(頻度・内容・方法)調査」の結果を発表した。...
2024.10.16
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?