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特集「令和時代に必須! ハラスメント対策最前線」


離職防止に役立つ!ハラスメント相談窓口を外部委託する方法

2019.08.19

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「ハラスメントの相談窓口は、事案が起きてから設置すればいいかな」と思っている経営者や人事担当者へ。その考えは少し危険かもしれません。

今はSNSを通じてパワハラやセクハラ事案が拡散される時代です。企業に批判が集まり株価が下がるケースが多発しており、何かが起きる前に対策をしないと企業側の損害が生まれる恐れがあります。

今回はハラスメントの相談窓口や研修のアウトソーシングサービス「Re:fine」を展開するGLOBALMODE株式会社(東京・港区)に取材。「Re:fine」の伊藤真美代表に近年のハラスメント対策事情、社内相談窓口の注意点、窓口を外部委託する際のフローやハラスメント対策の極意を聞きました。【取材:2019年7月19日 @人事編集部 大西里奈】

【特集】「令和時代に必須! ハラスメント対策最前線」(特集記事一覧)

目次
  1. ハラスメントがSNSで拡散されると社内外に影響が広がる
  2. 【企業動向】「#Me Too」運動でハラスメント対策の問い合わせが増加
  3. 社内窓口の運用が難しい4つの理由
  4. 社外相談窓口は申し込みから最短1カ月で開通
  5. 相談窓口で、離職の原因になりやすい「人間関係の悩み」をキャッチする

伊藤真美 GLOBAL MODE株式会社 Re:fine 代表

幼少時代からモデル業を開始し広告やCM、雑誌などで活動、30年以上の経歴を持つ。その後、女性が社会で活躍することの難しさを痛感し、2017年にハラスメント対策に特化したサービスをリリース。Re:fineでも女性活躍を実施している。ハラスメント対策研修講師としても活動。

ハラスメントがSNSで拡散されると社内外に影響が広がる

――2019年5月にパワハラ防止法が可決されました。
この法律により、2020年6月から大企業にパワーハラスメント防止策の実施が義務付けられ、さらにセクシュアル・ハラスメントの強化策も盛り込まれます(中小企業での実施は22年4月以降になる見通し※1)。
※1:朝日新聞「企業にパワハラ防止を義務化へ、違反なら社名公表も

すでにセクハラやマタハラを防止する法律によって従業員数が50人以上の企業は相談窓口の設置や研修の実施が義務になっています。5月のパワハラ防止法の可決を受けて、パワハラについても対応が必要になりました。

――2018年3月の厚生労働省の報告書(※2)によると、従業員向けの相談窓口を設置している企業は73.4%。いまだ約3割の企業が設置していないようです。
※2:厚生労働省「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会 報告書

ハラスメントに悩む女性のイメージ写真

実際には「ハラスメントが起きてから設置を考えよう」という気持ちがあるのかもしれません。

もし、ハラスメントの事案が発生して被害者が弁護士に訴えた場合、企業が相談窓口やハラスメント対策研修を対応していなかったら、事業主の責任を怠ったとして(安全配慮義務)損害賠償を請求され、さらには加害者と被害者の2人分の人材を失う可能性があります

ハラスメント問題がSNSで広がりニュースになれば、企業イメージが悪化して採用難になってしまうでしょう。

おそらく、法施行の2020年4月に向けて今後パワハラのニュースが増えてくるかと思います。報道を見て「私もハラスメントを受けている? 」と考える従業員がいるかもしれません。

その際に社内に相談できる場所がなかったため、従業員がSNSに投稿してしまう可能性がありますので、相談窓口の設置を今から準備しておくことをお勧めします。

【企業動向】「#Me Too」運動でハラスメント対策の問い合わせが増加

――ハラスメント対策に関する企業の声に、傾向はありますか?
2年ほど前までは企業規模には関係なく、いわゆるホワイト企業からの問い合わせがほとんどでした。「ハラスメントが起きているわけではないが、会社の風通しを良くしたい」と依頼を受けることが多かったですね。

2017年末~2018年に「#Me Too」運動が話題になり、テレビの情報番組でも取り上げられるようになりました。

そのあたりから「社内でハラスメント事案が起きてしまった」「社内で事案を対応したら1年もかかった。外部委託したらどれくらいの期間で解決できるのか」との問い合わせが増加。

今年5月のパワハラ防止法可決の際も、ハラスメント研修の実施や社外相談窓口設置の問い合わせが増えました。

GLOBALMODE株式会社の伊藤真美さん①

伊藤さんはRe:fineのホットライン専用ポスターを手に、厚生労働省の動向から企業の現状まで丁寧に説明してくれた

――ハラスメント対策の現状は。
大企業では社内と社外に相談窓口を複数設置していることが多いです。

中小企業は従業員の誰かが窓口担当者になっているか、顧問弁護士や社会保険労務士が窓口になり、従業員がいつでも相談できるようにしていると聞きます。それでも問題はありませんが、実際に従業員が相談しやすい環境なのかは断言できかねます。

社内窓口の運用が難しい4つの理由

――社内で相談窓口を設置すると、どんな問題があるのでしょうか。
公正性を保ちにくい点だと思います。

相談者とハラスメントの行為者の間に立つ従業員(窓口担当者)が、両者の人柄や仕事ぶりを知っていることもあるでしょう。平等に判断しようとしても「相談者側を助けたい」「管理職側を守りたい」と、どうしても感情が入ってしまいます。

他にも、情報漏えいの危険があります

窓口担当者が個人情報の取り扱いには気を遣っていても、事案対応による精神的な負担から、ちょっとしたタイミングで誰かに打ち明けたくなるかもしれません。

当初は軽度な事案だったとしても、社内で噂が広がれば相談者は会社を信用できなくなり、さらに噂による誹謗中傷で体調を崩すなどして、大きな問題に発展することも考えられます。

また、社内窓口は人事権がある管理部門の従業員が担当することが多いですが、これも不安要素の一つです。

「上司からハラスメントを受けても、上司よりも立場の低い自分が相談したら会社を辞めさせられるかもしれない」と、相談者が悩みを言い出しにくい環境になっている可能性があります。

社内相談窓口の運用が難しい理由

・公正性が保ちにくく、事案対応に感情が入り込んでしまう
・窓口担当者の精神的負担が多い
・情報漏えいの危険性がある
・人事権のある従業員が窓口担当になると、相談しにくいことも

厚生労働省は公正性の視点から、企業は社外に相談窓口を委託することを勧めています。

社外相談窓口は申し込みから最短1カ月で開通

――「Re:fine」で相談窓口を外部委託する場合、どんなフローで設置できますか。

社外相談窓口の設置フロー

①相談窓口の設置を申し込む
②ハラスメント対策を始めたことを社内に周知する
(経営者からトップメッセージを出す、ポスターやカードを配布するなど)
③最短で申し込みから1カ月で相談窓口が開通。利用開始

窓口委託の相談をいただいたら、企業にはハラスメント対策を全従業員に周知するようお願いしています。

まずは経営者がトップメッセージを出すといいでしょう。例えば「風通しの良い職場をつくり、ハラスメントなどの悩みを相談しやすい体制を整えます」といった感じでしょうか。

社外相談窓口ホットラインの電話番号やメールアドレスが記載された社内掲示用ポスターや、カードの配布も周知に効果的です。

ポスターは社内の掲示板やトイレなど、従業員が必ず目にする場所に貼るのがポイント。カードは持ち歩きやすい大きさなので、ぜひ全従業員に渡してください。

ポスターやカードは窓口の設置を周知するだけでなく、ハラスメントの発生そのものを抑止する力があります

Re:fineのホットライン専用ポスター

Re:fineのホットライン専用ポスター(一部トリミング)

社外相談窓口ホットラインは申し込みから最短1カ月で利用できます。従業員から窓口に相談があった場合は、Re:fineのスタッフが相談内容を十分にヒアリングし、その内容を企業の担当者に数日以内にご連絡します。

ハラスメント対応の第三者機関として、相談者や行為者らと面談、解決方法のコンサルティング、ハラスメント対策研修の実施もオプションで対応しています。Re:fineでは個別の相談内容に合わせて、多種多様な専門家によるアドバイスや対応策を提案します。

相談窓口で、離職の原因になりやすい「人間関係の悩み」をキャッチする

――ハラスメント対策の極意を教えてください。
ハラスメントは時代によって変化しますし、ハラスメント認定される事例や判例も日々変わっていきます。近年では部下からのハラスメントで上司が悩んでしまう事案も、SNSの投稿がハラスメントのきっかけになる事例もあります。

弊社は時代に合わせて研修を設計しているので、一度実施した企業も数年に1回は実施してほしいと思います。

「ハラスメント」と聞くと、どこか難しさや扱うのが嫌な感覚がありますが、「離職防止策として従業員が相談しやすい環境を整備する」と考えてみるのはどうでしょうか。

多くの企業は人材の離職に悩まれているかと思いますが、中には社内で言い出しにくいハラスメントを相談できないまま辞めてしまう従業員や、退職後にハラスメントを訴える従業員もいます。

ハラスメント対策研修を通じて従業員一人ひとりに正しい知識を身に付け理解を促し、「会社や上司に相談しても大丈夫なんだ」と意識を変えてほしいです。職場環境の改善の一つとして社外相談窓口を設置し、従業員が相談しやすい環境をつくることで、離職率の低下や人材の定着のお役に立てると思います。

企業情報

GLOBALMODE株式会社
・設立:2014年3月
・従業員数:10人(2019年7月時点)
・事業内容:Webデザイン・制作、システム・アプリ開発、ハラスメント対策・コンプライアンス全般コンサルティング業務
・本社所在地:東京都港区西新橋2-34-8
・HP:http://global-mode.jp/

※情報は取材時点

【編集部より】
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