人事担当者必見! 学生ライターの企業交流会体験レポ
優秀な学生採用のカギは早期接触。新しい交流のカタチ「知るカフェ」とは
2019.08.01
はじめまして。早稲田大学2年生の松岡です。突然ですが皆さん、「知るカフェ」をご存知ですか。大学から徒歩3分。学生限定のカフェとして親しまれているというお店の扉を開けてみると、そこには学生と企業が交流できる素敵な空間がありました。
今回は「知るカフェ」早稲田大学前店で定期的に開催されている交流会に潜入。学生と企業をつなぐ新しい形のカフェについて実態をレポートしたいと思います。【取材:2019年7月10日 @人事編集部・松岡嵩馬(学生ライター)】
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1.普通のカフェと“ここ”が違う What’s 知るカフェ
「知るカフェ」が他のカフェと圧倒的に異なる点。それはドリンク、スペース、Wi-Fi、コンセントの無料提供です。しかし、「ドリンクまで無料のカフェってどういうこと?」と思った方も多いはず! そこで知るカフェの仕組みについて説明したいと思います。
知るカフェを利用する条件は学生であること
実はこの「知るカフェ」は会員制。まず学生は無料の会員登録をします。在籍する大学、学部学年、興味のある分野を基本情報として登録するだけ。会員になると上記のさまざまなサービスを無料で受けることができるのです。
どうやって運営されている?
知るカフェは企業と学生が、ときには学生同士が交流できる場であり、交流を通して学生の人生が豊かになるようにという願いを込めて運営されています。こうした思いに共感した150社を超える企業のスポンサー費で成り立っているため、学生はドリンクをはじめとするすべてのサービスが無料で利用できます。各店舗、毎月40〜50回ほど交流会が開催されており、イベントを通して企業と学生が交わる機会が提供されています。
店内の様子
清潔でおしゃれな店内は、連日多くの学生でにぎわっています。また、店内ではカウンターやサイネージを通して企業の情報が発信されているため、カフェを利用しながらさまざまな企業について知ることができます。
2.潜入レポ「KLab 交流会」
カフェの一角を利用して行われた交流会。今回お邪魔させていただいたのは、アニメ、コミック、ゲームなど日本が世界に誇る素晴らしいコンテンツを原作としたモバイルオンラインゲームの開発/運営をしているKLab(クラブ)株式会社。潜入して最初に驚いたのはその人数の少なさです。わざわざ企業の人事を呼んで話をしてもらうというのに一回の説明会に参加できる人数はわずか5人まで。就活生限定のイベントではないとはいえ、一般的な企業の合同説明会と比べると少人数での開催であることがわかります。
一つのテーブルを囲んで行われるので人事と学生の距離も近い。私服OK、飛び入り参加OKということで交流会は終始ラフな雰囲気で進められ、あまり肩肘を張ることなく気軽にコミュニケーションを取ることができました。交流会には1~3年生の幅広い年代の学生が参加。ゲーム業界に興味のある学生はもちろん、志望と違う業界の話を聞いてみたいという学生までさまざまでした。
交流会の内容は就活生向けの堅苦しいものではなく業界の楽しさや生かせるスキルについてが中心。話の中ではクイズや質問コーナーが各所に設けられ、「世界で一番売れているゲームってなんだと思う?」と質問されると、参加者が思い思いのタイトルをあげるといったやりとりも見られ、和やかな雰囲気でした。人事の話を一方的に聞く受動的な座談会というより、学生である私たちも主体的に参加するまさしく“交流会”であったように思います。
3.「競合がいてもいいんです」人事が語る、知るカフェの魅力
今回の交流会を担当してくださったKLab株式会社の採用担当・山本衛さんにお話を伺いました。
・Q.知るカフェを利用した経緯について教えてください
A.僕は以前大手ハウスメーカーに勤めていたのですが、その頃に知るカフェを利用しました。学生の反応が良く、当時交流会に参加した50人の学生のうち4人が内定へつながりました。
・Q.知るカフェを使うメリットについて教えてください。
A.まずは人数の少ないことです。例えば、合同説明会の方がよりたくさんの就活生に対して社の説明ができるけど、結局彼らに響きません。一方で知るカフェは少人数なので一人ひとりの顔を見て学生の興味・関心に沿ってその場で臨機応変に交流することができます。また、説明会に参加してくれる学生で、就活時期の学生だけではなく、1~2年生にも接触できるのは大きいです。この先、通年採用となった際に、早期から接触できるのは採用上メリットがあります。知るカフェの特徴として利用者の大半はその近辺の大学生。会社の求める学生に早めにアプローチできることも知るカフェを活用するメリットです。
・Q.少人数の交流会ということでなにか特別に意識していることはありますか?
A.他の説明会にも当てはまることですが、少人数の交流会では特に学生たちの興味を引くように気を付けています。僕の話がつまらないと会社に対する興味まで失われてしまいますから。良くも悪くも人事の力量が試されると思います。
・Q.知るカフェのスポンサー企業は150を超えますが、その中で競合の存在についてはどう考えていますか?
A.競合がいることはなんの問題でもありません。むしろ好都合です。その競合企業の交流会に先に参加したのであれば、自分の業界の面白さや魅力を説明してもらうことで、あらかじめ学生たちの興味を引いてもらうことができる。また仮に、その競合が学生にとって弊社よりも志望度が高い会社であった場合でも、同じく業界の説明をする手間を省くことができ、その競合に次ぐ第二志望として優秀な学生に間接的に自社をアピールすることができます。
競合他社がいてもメリットがあるという点は予想外でした。前職から利用しているだけあり、さすがお話も面白く、僕自身途中から取材で来ていることを忘れて交流会に熱中してしまいました。
4.店長は学生!? 交流会を支えるスタッフたちの活躍
驚くべきことに、知るカフェの運営はその商品の開発から店舗のマネジメントまで全て学生の手で行われています。そこで今回、知るカフェ早稲田大学前店で店長を務める現役早大生の伊藤さんにお話を伺いました。
・Q.今回の交流会ですが、参加学生全員がスタッフにおすすめされて参加を決めたそうです。交流会を成功させる上でスタッフの間で努力していることはありますか?
A.スタッフの中で利用者への声がけは徹底しています。やはり、スポンサー企業の人事の方を呼んで交流会を開催しているのでできるだけ多くの学生が参加してもらえるように気を配ります。知るカフェには企業担当といってスポンサー企業の魅力を来店学生に伝えたり、知るカフェの公式Twitterなどを通して交流会の広報などを担当するスタッフがいます。普段から利用してくれる学生の方には、ドリンクを渡すときやお帰りになるときにそれとなく「明日〇〇社の交流会が△△時にあるんですけど、興味ありませんか?」といった積極的な声がけをしています。
・Q.知るカフェで働くメリットを教えてください。
A.やはり学生が店舗の運営に携わることができるということで、マーケティングの経験を積むことができます。また月に一回、各店舗が集まって店舗ごとの成功した施策やノウハウを共有する全店ミーティングというものがあります。全店ミーティングでは優れた取り組みを行ったスタッフを評価する制度もあって、店舗ごとはもちろん、スタッフごとのモチベーション向上にも一役買っています。
知るカフェを運営しているのは隣接する大学に通う学生。利用者も、同じ学生であり年齢が近いスタッフからの声掛けによって身構えることなく交流会に参加することができるのだと感じたインタビューでした。
5.採用難の企業こそ早期接触がカギ
今回の取材で分かったことは、人材を確保する上での学生への早期接触の大切さです。就職を意識し行動し始める3、4年生ともなるとさまざまな就活サービスを利用し始め、自分の進路もある程度確定させていくため志望以外の業種の企業に心を引きつけることは難しい。一方でまだ自分の将来について悩んでいる1、2年生に早期接触しておくことは学生たちに自社に対する興味を持ってもらえる可能性が高いです。
私自身も現在、まさに将来進む道を模索中の大学2年生なのですが、今回の交流会に参加してみて「ゲーム業界いいな」なんて早速影響されてしまいました。学生にとって早い段階でこうした交流会へ参加することは思いもよらなかった自分の興味や将来について考えるきっかけになります。企業と学生の交流がもたらす双方向のシナジー効果。新しい交流の形「知るカフェ」を一度利用してみてはいかがでしょうか?
「知るカフェ」
2013年に同志社大学前に1号店がオープンして以来、東京大学、慶應義塾大学、一橋大学など主要大学の学内や大学付近17か所に出店し、インド5店、アメリカ3店など海外にも展開。全ての店舗を学生が運営しているのも特徴。国内では1日に約3000人の学生が行き来し、4割以上が1、2年生という。
HP: https://shirucafe.com/
企業情報
株式会社エンリッション
所在地:京都市上京区今出川通室町東入今出川町313 SAKURA BLD.今出川II 2-E
設立:2013年10月
代表:柿本祐輔
事業内容:「知るカフェ」の企画、運営ほかキャリア支援事業
従業員数:約500人(アルバイト含む)
HP: http://enrission.co.jp/
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執筆者紹介
松岡嵩馬 早稲田大学文化構想学部2年生。Webメディア、ライティングに興味を持ち、大学ではメディア論、コミュニケーション論など社会学を中心に学ぶ。出版サークルに所属しており、フリーペーパーの発行を行う。この秋からスウェーデンへ留学予定。※情報は2019年7月時点のもの。
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