コラム

データが会社を強くする! 北野唯我のロジカル採用理論


中小企業・零細企業が優秀な学生を採るにはどうすればいいのか?

2018.01.31

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ボストン・コンサルティング・グループで事業戦略立案業務の経験を持ち、株式会社ワンキャリアでチーフアナリストを務める北野唯我氏による連載企画。連載六回目の今回は、採用担当者の究極のテーマ「優秀な学生を採用する方法」です。

今回は北野さんに、特に中小企業・零細企業でも実践できる方法をご紹介いただきます。

永遠のテーマ「優秀な学生を採用する方法」

「優秀な学生を採る方法を、書いてもらえませんか?」

この質問は、@人事の編集者と次回のテーマを決める際に言われた一言です。私はギョッとしました。そして、戸惑いました。なぜなら、これは永遠のテーマで、シンプルにいうなら「難しすぎる!笑」と思ったからです。加えて、編集の方は私にこうトドメを刺してくるではありませんか。

特に、中小企業や知名度のない企業さんでも、使えるようなものがいいですね……!(期待の眼差し)

ぐぬぬぬ……。さて、こんな無理難題を振られたとしたら、あなたはなんと答えるでしょうか? 今回はこのテーマについて頑張って考えていきたいと思います。

 「魅力がないと無理です。ごめんなさい」

まずストレートに言って、この質問の答えは「無理だと思います。魅力がないと」です。

優秀な学生はコミュニケーション能力も高く、他の企業からも引き合いがある。その中で、魅力がない企業がいくら頑張っても、本質的には彼らを採ることはできないのは当たり前です。仮に「騙す形で採用」しても、すぐに退職してしまいますし、長期的に見ると採用ブランドは落ちてしまいます

では、もしも「魅力はあるけど、伝わっていない中小企業」だとすれば、どうすればいいでしょうか。問題はこの「魅力をどう伝えるか」ということです。

 金も人もないなら、知恵を使うしかない

もしもあなたが、採用予算や人をたくさん使えるのであれば、オススメは「学びと出会いがあるインターン」を実施することです。これは前回ご紹介したように、現在は、44%の学生がインターンに参加する時代です。加えて、インターンは「本選考に比べて、幅広く企業を見る」のが普通ですので、中小企業でもチャンスがあります。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

ですが、現実には「インターンをするにも、お金も、人もいない」状態かと思います。となると、当たり前ですが選択肢は1つしかありません。

そうです。知恵を使うしかないのです。

では、ここでいう「知恵」とは何かというと、それは「企業の魅力を、ユーザーロジックで再設計すること」です。“ユーザーロジック”とはわかりやすくいうと「学生の視点で考えること」を指します。一方で、この反対は、“サプライヤーロジック”と呼びます。これは「企業が押し出したい魅力から、考えること」を指します。

  • ユーザーロジック:需要側の理屈。学生からみた魅力
  • サプライヤーロジック:供給側の理屈。企業が押し出したい魅力

つまり、優秀な学生を採りたいなら「知恵を絞り出して、ユーザーロジックから魅力を設計すること」しか活路がない、こういうわけです。

スマホで見た「あなたの会社」は、どう映るだろうか?

みなさんは、スマホから「ナビサイト」を見たことがありますでしょうか。雇用開発センターが2017年7月6日に発表した「2018年卒大学生の就職活動調査」によれば、現在の就活生や求職者は34%がスマホをメインに、就活を行います。

では、スマホでみなさんの会社はどのように見えているのか? 例えば、リクナビ2018のサイト上で、食品×関東で表示企業を絞った場合、238社の企業情報が表示されます。

企業の人事は「原稿の入稿画面」は普段みたことがあると思いますが、この「ユーザーからどう見えるか」は意識していないことが多いのも事実です。そして、実際にスマホから見てみると、明らかに「多すぎで、どれがいいか選びにくいこと」がわかります。

重要なのは「写真とイントロの文章」

では学生はどう決めるか、というと当たり前ですが「見える部分」でスクリーニングを行います。具体的に重要なのは「写真とイントロの文章」です。つまり、一つ目のアドバイスはこうです。

70文字(スマホで最初に見える部分)と写真に命をかけろ

例えば、文章1つとっても、書くべき情報はユーザーロジックに基づくとこう変化します。

[よくある文章と改善例]

× 創業100年の老舗であるXXXは〜
→学生からすると、どうでもいい。それどころか「古臭いイメージ」になる。もし、安定を押し出したいなら「10年連続XX %成長で、安定経営」などと書くべき。

× 私たちXXは、牛乳・乳製品の製造・販売を行う〜
→ 学生からすると既に、食品まで絞りこんだ状態なので、他の情報を出すべき。例えば「CMでもお馴染みの〜」や「1年目から新商品の販売企画も〜」など。

志望動機は「聞く」のではなく「一緒に探す」イメージで

もう一つ、求職者に対して意識しないといけないことがあります。それは「求職者のマインドシェアを考えること」です。

想像してほしいのですが、学生のスマホの中には、パズドラやLINE、Instagram、Youtubeなどの面白いアプリがたくさん入っています。その中で、就活に割く時間はわずかであり、加えて、認知率の低い企業に対して使ってくれる時間はさらにわずかです。

確かに学生は、志望度が高い企業であれば、きちんと事前に調べて、「志望動機」を練ってきます。一方で、上記のナビサイトで一括登録する30社の中の1社はどうでしょうか。ハッキリ言って学生が使う時間は「1社に3分ぐらい」です。企業名と、写真をチェックする程度のものです。

であれば、志望動機を深堀しても、大した答えが出てこないのは当たり前な話です。ではどうすればいいのか? それは、

志望動機は「聞く」のではなく「一緒に探す」イメージで、面接をすること

です。面接官が考えるべきは「面接を終えた前と後で、自社に対する候補者の志望動機のレベルが、深まっているかどうか」です。こうした考えを持って面接を行うことで、学生のマインドシェアが低いなかで、他の企業をより御社をよく知ってもらうきっかけを作ることができ、差別化を行うことができます。

出来る限り、全ての情報をオープンにする時代

この時代、情報は隠しても無駄です。口コミサイトや、先輩からの口コミを経由して、本当の情報が知られ、ウソは必ずばれます。であれば、出来る限り、全ての情報をオープンにするべきです。それは入社後のミスマッチを防ぐ目的もありますし、なにより、学生の中には「フェアさ」を重視する学生もいます。情報をオープンにすること、それ自体が、学生から魅力的にうつる、こういうわけです。

さて、今回をまとめると、最も重要なのは

スマホで見た「あなたの会社」は、どう映るだろうか?

このことを意識することです。その上で、
「70文字と写真に命をかけろ」
「志望動機は、聞くのではなく、一緒に探すこと」
この2点を意識しましょう。以上、少しでも参考になれば幸いです。

執筆者紹介

北野唯我(株式会社ワンキャリア執行役員兼チーフアナリスト) 新卒で株式会社博報堂に入社。中期経営計画の立案・M&A・組織改編業務を経験し、米国・台湾留学。帰国後、ボストン・コンサルティング・グループでの事業戦略立案業務などを経て、ワンキャリアに参画。現在、メディア事業の統括責任者。一方で23歳の頃から、日本シナリオ作家協会で「ストロベリーナイト」「恋空」などを執筆したプロの脚本家に従事。主な記事に『ゴールドマンサックスを選ぶ理由が僕には見当たらなかった』『田原総一朗vs編集長KEN:「大企業は面白い仕事ができない」はウソか、真実か』など。

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