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特集「新卒採用 戦国時代、来る。」第1弾


人材研究所・曽和利光氏が語る通年採用時代の人事に必要なリテラシー

2019.06.17

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いよいよ2021年卒から就活ルール廃止後初の採用が始まる。経団連が発表した「通年採用への移行」は世間を騒がせたが、従来通りの新卒の採用時期を守る大企業、早期化を進める外資系企業と対応はバラバラになると予想されている。

採用・教育・組織開発の第一線に携わる人材研究所(東京・港)、曽和利光氏は「就活ルールという秩序なき後の採用は、スカウト型採用を使いこなせるかどうかが人材獲得の勝因を左右する。中小企業にとって逆転のチャンスでもある」と指摘する。採用活動が大きく変わる激動の時代に、採用担当者はどう立ち向かえばいいのか? 具体策を聞いた。

【特集トップ】「新卒採用 戦国時代、来る。」~就活ルールなき21年卒採用。あなたの企業は勝ち組になれるか~

曽和利光(そわ・としみつ)

株式会社人材研究所 代表取締役社長。京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナーの講師や上智大学非常勤講師も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。

■曽和氏の連載記事
曽和利光の「性格と採用」(全4回)

目次
  1. 明確な通年採用にはならないが、企業の採用時期はまだらに
  2. 通年採用拡大で、採用直結型インターンが主流になる?
  3. まさに採用戦国時代の到来、生き残りのカギはスカウトサービス
  4. スカウト採用は人事と学生とのサシ勝負、マインドの切り替えが必要

明確な通年採用にはならないが、企業の採用時期はまだらに

特集「採用戦国時代、来る。」曽和利光氏インタビュー

――経団連が「新卒一括採用の見直し、通年採用の移行」を発表しました
明確な「通年採用」「新卒採用自由化」にはならないだろう。経団連は通年採用の拡大に大学側と合意したと言っているが、現時点で大企業が通年で採用しようとしているのは海外留学で卒業時期がずれる学生や、インターン経験者の卒業生らに限られると私は見ている。

「就活ルール廃止」を打ち出していながら、経団連加盟の大企業の多くは従来の採用時期を踏襲すると予想している。いまだ政府や大学の就活早期化反対が根強いことに加え、通年採用を行わなくても、大企業有利の採用は続いているからだ。リクナビ・マイナビなどの大手就活ナビサイトも大企業の対応にならい、例年通り3月を情報解禁日に設定してくるはずだ。しかし大々的な報道で一度この潮流は作られてしまった。「雰囲気自由化」とも言うべき流れは採用に影響する。「OfferBox」をはじめとする通年スカウトサービスサイトがこれまで以上に影響力を持つようになるだろう。

また、今後も大枠で就活ルールを守る大手日本企業と、採用時期を早めるメガベンチャー・外資で採用の時期が変わってくる。従来通り、または通年採用と二分化するのではなく、「6月まで内定が出ない大手日本企業」「早期化していく外資系・メガベンチャー」「その間の中小企業」と企業の採用時期はまだらになっていく。

通年採用拡大で、採用直結型インターンが主流になる?

――インターンの在り方に変化はありますか?
これまで大企業が行ってきたワンデーインターンは、就労体験の場を提供するというより、母集団形成の口実だった節がある。通年採用の流れになれば、ワンデーインターンをなくし、時期を早めた会社説明会に切り替えるのではないか。就労型の長期インターンは大企業ではコストがかかりすぎるが、中小企業なら活用できる。趣旨に合った形の、いわば「本物のインターン」が主流になるだろう。

これまで新卒の離職率が3割と高かった理由の一つは新卒一括採用によるミスマッチが原因だった。
ワークサンプルとしてのインターンが活発になれば、離職率を下げる効果も期待できる。

まさに採用戦国時代の到来、生き残りのカギはスカウトサービス

採用戦国時代の到来?

採用戦国時代の到来?

――通年採用時代の採用はどう変わっていくのでしょうか?
これまでは経団連が決めた横並びの就活ルールがあり、企業も基本は一律にオーディション型の一括採用で採用活動ができていた。就活ルールの一番の恩恵は特別な戦略はなくとも、採用に対応できていたという点だ。この長く続いた秩序は、例えるなら徳川家が統治する「江戸時代」のようなもの。今後、通年採用が徐々に拡大するのであれば、中小・ベンチャー企業の人事はスカウトサービスをはじめとする新しい採用手法の知見を得る必要がある。スカウト型採用は従来のオーディション型採用とは人材獲得に必要な考え方やリテラシーが異なる。

従来の採用では説明会の開催や大手ナビサイトの広報に時間や手間をかけていた。スカウト型採用を導入するなら大人数相手の採用手法を、一人ひとりの学生を口説く手法に変えていかなければならない。しかしいきなりガラッと採用を変えるのは難しい。「一気に手法を変えて失敗したらどうなるか?」という不安もあるだろう。

提案したいのは就活ルール廃止後の変革の時期だけ、アウトソースサービスを利用して一時的にマンパワーを増やすという方法だ。会社説明会は採用に関して一番影響力が低いというデータがある。会社説明会も従来通りやりつつアウトソースを利用し、スカウト採用のノウハウを自社で積み上げる、というやり方もある。しかし、最終的には全て自社でまかなえるよう、今からもう変革を始めなければ出遅れてしまう。

――すでに採用改革に取り組んでいる企業はあるのでしょうか?
例えば、新卒採用について以前私が相談を受けた不動産販売のウィル(兵庫県宝塚市)は、リファラル採用で800人以上の学生に接触し、30人以上を採用している。トップがコミットメントし「いい人材を採る」と愚直に採用に取り組み、成果を出している。採用しているのは、地元の上位校や国立大の学生だ。新たな採用手法に挑戦している企業がある一方、まだまだ中小・ベンチャー企業の危機感が足りないと感じている。新手法を軽く考えていると「やばい」と思ったほうがいい。

新手法のリテラシーを身に付ければ、大企業を差し置いて優秀な人材を獲得することも可能となる。これまで大手や外資の採用時期に挟まれ結果を出せなかった中小企業は「学習性無気力」に陥っていた感があったが、起死回生に打って出るチャンスもある。就活ルールという秩序なき後の「採用戦国時代」到来と言えるだろう。

スカウト採用は人事と学生とのサシ勝負、マインドの切り替えが必要

――スカウト型採用で効果を出すためのポイントはありますか?
スカウト型の採用では、人事が必要なスキル・リテラシーが大きく変わる。通常のオーディション型採用で面接する学生と、スカウトした学生と接する際の「マインドの切り替え」が必要になってくる。これまでの採用では、志望度の高い学生とは「うちの会社で働きたいか」という意欲のある学生を意味してきた。だがスカウトサイトを使った採用やリファラル採用では、志望度の考え方が違う。

スカウト型採用は、学生が「なぜあなたはこの会社で働いているのか」「この会社を選んだ理由は」と採用側に問うてくる。面接とは違うカジュアルな面談で本格的な業務や会社の内実、将来像などの会話に進み、これで学生の志望度を測る。

採用担当者

★人事に必要なマインドの切り替え

・会社が学生ジャッジする側から、学生にジャッジされる側になる

・学生に自分の魅力を語らせるのではなく、人事の側が会社の魅力や将来像を語る

これができるように人事・採用担当はモードチェンジしなければならない。
スカウトサービスの利用にも技術が必要だ。無数に登録されている学生のプロフィールから、欲しい人材のみずみずしい人物像を言語化して探し出す「検索能力」も磨いていく必要がある。かつてないほどリテラシーや優秀な学生と向き合う「戦闘力」が採用力に関わってくる。「できる人事」も引く手あまたになるだろう。採用戦国時代は、同時に「人事群雄割拠」の時代でもあるのだ。【取材・編集:@人事編集部】

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