元DeNA人事による「採用の現場」論
「個」の時代の採用担当者に、求められること
2016.03.22
はじめまして。core words株式会社CEOの佐藤タカトシと申します。企業の採用ブランディング事業を展開しております。
私は、人材系企業で11年にわたって、100社以上の企業の採用ブランディング支援を行いました。その後、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)にて3年間、自社の採用活動に従事。数百名の転職志望者の方と接してきましたが、まさにこの3年くらいで採用担当者に求められることが変化しつつあるように思います。採用担当者の皆様がこの波に乗れるかどうかが、採用活動だけではなく、今後の企業の成長に直結しつつある印象を持っています。
大まかなポイントは以下の3つです。
(1)「組織」の時代から、「個人」の時代へ
(2)「守りの採用」の時代から、「攻めの採用」の時代へ
(3)「採用担当」から、「事業成長担当」へ
(1)「組織」の時代から、「個人」の時代へ
「個の時代」ということが様々なメディアで取り上げてられていますが、日本の労働市場においても、その変化が顕在化しつつあります。SNSやブログなどを通じて、「個人のメディア化」に止まらず、特にエンジニアやデザイナーといった専門職においては、「自身の実績のメディア化」が進行しつつあります。
自分が書いたソースコードを公開したり、制作したクリエイティブをポートフォリオサイトに掲載したりというように、個人が実績を公開するようになりました。これにより、スキルの高い専門職の方は、バイネームで世間から注目され、仕事のオファーは増加の一途をたどっています。一方で、どの会社・組織に属しているかを、発注者は評価しない傾向が強くなってきました。とある会社に何かを発注する場合、「○○社にお願いしたい」ではなく、「●●さんに担当してほしいから、○○社にお願いしたい」というオファーが増えているのが実情です。
最近、「副業を認める」会社が多くなってきましたが、この流れと無縁ではありません。社外からの魅力ある仕事のオファーを断るのは、優秀な人ほどストレスになることが多い。よって、それを許してくれる会社には、逆に帰属意識が高くなるからです。
組織と個人の関係性が変わりつつある。この前提をまずは押さえておくのがよいと思います。
(2)「守りの採用」の時代から、「攻めの採用」の時代へ
では、この「個人優位」の時代に、採用活動はどうあるべきでしょうか。
エントリーを待つだけの「守りの採用」ではなく、「攻めの採用」への転換が必要になると私は考えています。
ポイントは2つです。1つ目は、優秀な人材には、転職活動を始める以前からコンタクトを取ることです。彼ら彼女らは、仕事だけではなく、転職のオファーも日々受けています。その中で埋もれてしまわないように、自社のアピールを行うことが必要です。ビズリーチやLinkedInのようなダイレクト系のチャネルを活用することに加え、「この人を採用したい!」という方に出会えたら、定期的にコンタクトを取るのをお勧めします。
そして2つ目は、マスではなく個別のコミュニケーションに比重を置くこと。人材紹介会社の求人票やリクナビなどの求人メディアを通じて自社の魅力をマスで発信するだけではなく、候補者個人の実情にできる限り合わせて伝える必要があります。特に、中途採用のシーンにおいては、様々なスキルやパーソナリティを持つ候補者がいますので、個別の対応が志望動機の醸成に直結し、採用の成否を占うことが多いように思います。
(3)「採用担当」から、「事業成長担当」へ
これらを実践していくために鍵となるのが、採用担当者のマインドの進化だと思います。ただ単に人を集めるのではなく、自社の成長にご自身がどうコミットするのかを、明確にする必要があります。そして、自社の魅力と本人への期待感を、自らの言葉で候補者に語ることにより、これまでにない成果を生み出すことができるのです。
さらに、労働市場に合わせた形で、自社の人事戦略を描くことができれば、会社の成長にダイレクトに貢献することができるでしょう。「個」の力が増すことは、仲介者の影響力が相対的に低下し、採用担当者と市場がシームレスにつながることを意味します。あなたの言葉が、市場を動かすこともある時代なのです。ぜひ、ご自身の力で、候補者によりよい人生を提供してみてください。そして、自社に対して、新しい成長の原動力を創出してみてください。
執筆者紹介
佐藤タカトシ(core words株式会社 CEO/Creative Director) 2001年4月、大手人材系企業に入社。11年にわたり、100社以上の採用ブランディングを支援。2012年7月、DeNAに転職。採用ブランディングとダイレクトリクルーティングをメインとして活動。2015年7月、採用ブランディング支援会社、core wordsを設立。
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