残業ゼロを目指して
やる気が出ない時に役に立つ、「新しい箱」を利用した仕事術
2018.05.25

残業ゼロを実現するためのビジネスハック術を紹介する、作家・佐々木正悟氏の連載企画。今回は、「損失回避性」という心理を活かした仕事術をご紹介します。
仕事のモチベーションを上げるために「新しい箱」を作る
やるべき仕事が山積みになってしまい、モチベーションが大きく下がってしまうという経験はありませんか?
こうした状態では、本当は普段よりも早いスピードで目の前のタスクを片づけていいかなくてはいけないのですが、現実には、逆にどんどん作業効率が下がっていってしまうことがほとんどです。
それでも、抱えている仕事を放り出してしまうわけにはいきませんから、何か対策を打つ必要があります。
そんな時にオススメしたいのが、「新しい箱を作る」という考え方です。この場合の「箱」というのは、文字通りの箱ではなく、あふれそうになっているメールや仕事を箇条書きにした「リスト」を指します。メールであれば「新しいフォルダ」を受信トレイのすぐ下に作るという形でもかまいません。
やることは簡単で、「少なくともこれだけは先延ばしにできない仕事」をその「箱」に入れて、「その日のうちに空っぽにする」というタスクを実行するのです。
人間が持っている「損失回避性」という心理を利用する
この手法がなぜモチベーションを高めるのか? ポイントは人間の心理にあります。
人には「損失回避性」という特徴があります。これは、「人間は利得を得るよりも、損失を回避する心理的傾向が強い」という心理です。
具体的な例で説明すれば、「5通のメールを出して得られる成果」より、「5通のメールを出せないことによる損失」の方が、人の心理に大きな影響を与えるのです。
そのため、「仕事を進めることでこんなメリットがある」と考えるより、「やらなければならないことがこれだけ残っていて、これを終わらせなくては損をする」と考える方が、実行に意欲的になれるわけです。
「参照点」を自分で新たに設ける
「新しい箱」を用意することには、もう1つ、仕事を片付けやすくするポイントがあります。それは、行動する上での「参照点」を、自分で用意できることです。
「参照点」とは何か、身近な例でご説明しましょう。
たとえば、たまたま久しぶりに体重計に乗ってみたところ、自分の体重が60㎏だったとします。すると多くの人は、無意識のうちに、この「60㎏」という数字にこだわるようになります。科学的な根拠はないのに、「60kg」より体重が減っていれば健康になった気がするし、「60kg」より増えていると不健康な気がしてしまうのです。これは、この人にとって「60kg」が、自分の健康を考える上での「参照点」になっているということです。
「新しい箱」も、これと同じような効果をもたらします。
仕事が山のようにあって、全く終わらないように思える場合、モチベーションを上げるのは非常に難しいことです。しかし、「新しい箱」を作ることで、その「箱」を空にすることができれば、自身が感じる損失は減り、仕事に対して前向きになれるのです。
仮の「区切り」を作ることで、前向きに仕事を進められる
もちろん、絶対処理しなければならないメールを「箱の外」に放置してはいけませんが、仕事が立て込んでいてどうしようもないときほど、「箱」のような仮の区切りを作るというやり方は、効果を発揮します。
この新しい「箱」がないことで、仕事が延々と終わらないと感じている人は少なくありません。「箱」は仮のものであっても、モチベーションは実際に高めることができます。タスクを処理するモチベーションがどうしても上がらない場合は、ぜひこの方法を試してみてください。
執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック
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