コラム

働く方のためのメンタルヘルスLab


学生と人事の双方から考える「就活疲れ」の対処法

2018.03.28

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さて、これからいよいよ就活合戦が本格化してくる時期です。実は私自身、新卒の人材紹介サービス会社で働いていた経験があります。その際にわかったのは、就活生にとっても人事部にとっても、就活は大変なイベントだということ。今回は、実際に見てきた経験を生かして、今回は両者の就活ストレスを軽減する方法についてお伝えいたします。

目次
  1. 決して無理をせず、きちんとセルフケアを
  2. 危険サインに気づこう
  3. 自分を責めるのではなく、頑張りをねぎらおう
  4. 他人と比べるのはやめよう
  5. 専門家のサポートも視野に入れよう
  6. つらいのは学生だけじゃない。人事部のストレス
  7. 学生に「イラッ」としてしまったら
  8. 内部のコミュニケーションを事前に強化し、効率よく進めよう

決して無理をせず、きちんとセルフケアを

「みんなもがんばっている」

「選ばれないのは自分の努力不足だろう」

「こんなことで弱音を吐くくらいじゃ社会人になんてなれない」

就活生のみなさん、そんなふうに思って無理をしてしまうことはありませんか?

でも就活が大変なのは、何もあなたの努力不足が原因ではありません。就職活動は、誰にとっても多かれ少なかれ大変なもので、面談で言われたこと、プライベートの問題、体の調子など、さまざまなことが重なることで、元気な人でも心の調子を崩してしまうきっかけになります。

事実、就活中に調子を崩してしまう方は多く、平成22年に行われた内閣府の調査「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」では、引きこもりの方の20.3%が「就職活動」が原因だったと回答しています。

メンタルの問題は、深刻になればなるほど周囲の声に耳を傾けられなくなります。そのため、余裕のあるうちにきちんと乗り越える方法を頭に入れて「心が危ない」と思ったらしっかりとケアしていきましょう。

危険サインに気づこう

就活中には下記のような状態を経験する方がいらっしゃいます。

  • 面接に行くのが怖くなった
  • 落ち込んでしまって何も手につかない
  • 自分史などを振り返っていて、今まで忘れていた嫌な記憶を思い出してつらくなった

誰でもたまにはこのようなことを経験することはあるとは思いますが、もし、最近ずっと以下のような状態であれば、放っておくと危険です。

  • 眠れない
  • 身体がだるい
  • 食欲が無い
  • 人と会う気になれない

普段からしっかり自分の調子を気遣うようにして、上記の4点のような危険サインが出てきたら、セルフケアの時間を取りましょう。

それでは、どのようにしていけばよいのでしょうか?

自分を責めるのではなく、頑張りをねぎらおう

「自分はもしかしたら誰からも求められない価値のない人間なのかもしれない」

「みんなも頑張っているのに、上手くいかないなんて、努力不足かもしれない」

就活中はそんな考えが頭をよぎることが多いようです。就活というのは、評価をされて、時には否定されるという、ものすごいストレスに数ヶ月晒されるイベントです。既に大変な思いをしているのに、輪をかけて自分で自分を苦しめるような考え方をするのはやめましょう。自分を責めてしまいそうになったら、シンプルに「今日もよく頑張った、偉い」と自分を褒めてあげましょう。

他人と比べるのはやめよう

他の人はどんどんと決まっていくのになかなか進まない…時にはそんなこともあるでしょう。でも、他人は他人、自分は自分。周りの人とはやりたいことも働きたい場所も違うはず。であれば、比較することに意味はないでしょう。誰かが上手くいっている=自分が上手くいかない、というわけではありません。心がざわつくときは、上手くいっていることに目を向けたり、今からできることを考えたり、リラックスしたりして、一度冷静に自分と向き合う時間を作りましょう。

専門家のサポートも視野に入れよう

いろいろとやってみたけれど、でも眠れない、身体が動かない、食欲がない、誰とも会う気になれない、という状態が数週間以上続いている時は、無理をせずゆっくり休んだ上で、専門家の力を借りることも視野に入れましょう。

親や友だちに言いづらいことでも、他人である専門家であれば話しやすいときがあります。大学の学生相談室や、心療内科など、専門家に話を聞いてもらえる場所を訪れましょう。

つらいのは学生だけじゃない。人事部のストレス

人事部のストレス

学生側の大変さについては触れられることの多い就活ですが、人事のみなさんも大変です。

  • 説明会等で、いろいろなところに出向かなければいけない
  • 土日はイベントで潰れてしまうことも多い
  • 社会人のルールでは動かない学生たちに振り回される

など、あげるときりがありません。参ってしまわないように、学生と同様に人事部のみなさんも意識してストレスを軽減させるようにしましょう。

学生に「イラッ」としてしまったら

普段社会人と接していると、久しぶりに学生と接した際には「イラッ」としてしまうこともあるかもしれません。

たとえば、

  • 悪びれもなく、面接やイベントを遅刻したりドタキャンしたりする
  • 就活相談以上の相談をしてくる
  • 度を超えて馴れ馴れしい

などなど。でもあからさまにイラっとしてしまうと、学生に悪印象を与えた上、SNSなどで会社としても批判される可能性があります。穏便に済ませていくことが大切です。

学生に対してイラッとしてしまい態度に出してしまいそうになる原因の1つに「自分たちは選ぶ立ち場だ」という思いがあることがあります。みなさんにも、そのような思いはないでしょうか?

確かにみなさんが選ぶ立場だというのは正しいのですが、その思いが強くなると「自分たちは選ぶ立ち場なんだ、だから学生たちはもっとちゃんとすべき。でもちゃんとしてくれない」という思いに繋がってしまい、イライラが募ってしまいます。

「自分たちのルールに合わせてくれない」という思いがいらだちに

そんな時は、学生たちを一度「お客さん」と割り切りましょう。入社するまで学生は社外の方です。「自分たちのルールに合わせるべき人だ」と思うとイライラの感度は上がります。「今はお客さん」と割り切ってしまうことで、相手の一挙一動を不満に思うことは減ります。そして「お客さん」が相手なのであれば、自分たちに歩み寄ってくることにも不満は感じないはずです。

普段の感覚からちょっと視点を変えてみると、少し心が落ち着きます。

内部のコミュニケーションを事前に強化し、効率よく進めよう

就活中は様々なイベントを催しますが、そのために各部署の関係者に出席してもらうこともしばしばあります。

ただ、他部署の協力者の中には、忙しい中イヤイヤ駆り出されて、学生の満足度を下げるような対応をする社員もいるでしょう。せっかく人事部が手間暇かけて準備したのに、有効活用してもらえないどころか、学生にネガティブな印象を与えてしまう。人事にとっては、大きなストレスです。このようなリスクはできるだけ早くに回避しましょう。

具体的には、

  • イベントの主旨、意義
  • 聞いてほしいこと
  • 理想的な学生に対する態度
  • 社員側の問題行動の事例
  • 結果起きてしまった問題の事例(ネット上での批判、内定辞退など)

を事前に明確にメール等で伝えた上で当日口頭でも確認しておきましょう。自社の事例を出すことがはばかられる場合は、他社の例や想定されることを伝えてみるのも良いでしょう。そうすると休憩時間の延長くらいの気分で参加していた社員側の意識も、キュっと引き締まります。

就活は人事だけの仕事ではなく、会社全体のチームプレーです。少し手間はかかるかもしれませんが、結果としてイベントを通してより効率よくお互いのことがわかるようになるでしょう。

将来を見据えて、この時期を乗り越える

いかがでしたでしょうか?就活は学生、人事、双方にとって大変なイベントです。ただ幸いなことに、この時期を乗り越えれば少し落ち着く、という終わりの目処が立っているイベントでもあります。今回ご紹介したことに加えて、「終わって時間ができたらこれをしよう」、と自分を鼓舞しながら、少し先の将来を見据えて上手く乗り越えていきましょう。

イラスト:さっこさん

執筆者紹介

清水 あやこ(株式会社HIKARI Lab代表) 新卒で数年間外資系証券会社で勤めた後、退職し東京大学大学院臨床心理学コースにて臨床心理学を学ぶ。在学中に株式会社HIKARILabを設立。会社のモットーは「今までにない心理ケアを提供し、簡単に心理ケアを受けられる社会を実現する」。現在は、オンラインカウンセリング「ココロワークス」と心理ケアゲーム「SPARX日本語版」などの開発に携わる。著書に「ちょこっとポジティブ。」(大和出版)、「女子の心は、なぜ、しんどい?」(フォレスト出版)がある。

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