コラム

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ネガティブ思考をコントロールして、仕事に役立てるコツ

2018.11.20

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「ネガティブな性格をなんとかしたい」というご相談をよく受けます。確かにネガティブ思考は、自尊心や仕事の意欲を低下させる可能性があるので注意が必要です。しかし、ネガティブ思考を上手くコントロールすることで、トラブルを回避することにもつながります。

そこで今回は、ネガティブ思考をコントロールし、仕事に役立てる方法について解説します。

目次
  1. 注意が必要な3つのネガティブ思考
  2. ネガティブ思考には「トラブル回避」の役割がある
  3. ネガティブ思考と上手く付き合うコツは「バランス良く考える」こと
  4. ネガティブ思考を上手く利用して自分らしく働く

注意が必要な3つのネガティブ思考

ネガティブ思考にはさまざまなものがありますが、以下の3点は特に仕事への影響力が大きく、注意が必要です。

 1.否定的な予測

「このプロジェクトは失敗するに違いない」「将来は暗い」など、予測不可能な未来のことをいつも否定的に捉えてしまっていませんか? このような考え方は、最初から失敗することを想起させるので、仕事のモチベーションを低下させます。また、ネガティブな雰囲気が他者にも伝染し、チーム全体に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。その結果、本来であれば上手くいくことも頓挫してしまう、という事態も引き起こされます。

 2.「〜と思っているに違いない」思考(読心術)

「あの人は自分のことを嫌っているに違いない」「上司は怒っているに違いない」など、相手の心の中を決めつけてしまうことはありませんか? 他人の心情は分かりようがないのに、その言動を一方的にネガティブに捉えてしまうと、相手に対して過度に萎縮してしまったり、攻撃的になってしまったりすることがあります。このような状態が続くと、自分自身の精神に負荷をかけてしまうだけでなく、職場の人間関係をこじらせる原因にもなってしまいます。

 3.「自分なんて」思考(過小評価)

「自分なんてどうせ」「今のポジションは身の丈に合っていない」など、自分を過小評価してしまうことはありませんか? このような言葉は、自己暗示となって自分の行動を縛ってしまいます。結果、本当は実力があっても最初から身を引いてしまい、せっかくのチャンスを逃してしまうなんてことにもつながってしまいます。

ネガティブ思考には「トラブル回避」の役割がある

ネガティブ思考の原因は色々あります。もともとネガティブに考えやすい性格の場合もありますし、ある出来事をきっかけにネガティブになったり、周囲の環境の影響を受けて徐々にネガティブ思考に転換していくこともあるでしょう。そもそも、人はなぜネガティブ思考に陥ってしまうかというと、ネガティブ思考にもそれなりの役割があるからです。

ネガティブ思考の役割の1つとして「トラブル回避」が挙げられます。あらかじめ否定的に物事を捉えることで、事前により注意深く準備ができたり、より細やかなフォローアップが可能になったりするのです。

例えば「このままだと上手くいかない」と未来を否定的に予測することで「では、上手く仕事を進めるにはどうしたらいいか」という発想が生まれます。また「〇〇さんは自分のことを嫌っているに違いない」と考えることで、「〇〇さんには特別愛想よく振る舞おう」と次の行動に移すことができ、「このポジションは自分の身の丈に合っていない」と自分を過小評価することで、「もっと勉強しよう」という意欲につながることもあります。

ただし、これらの例はあくまでネガティブ思考と上手く付き合えていることが前提です。ネガティブ思考が強すぎると、やはり冒頭の例のように仕事やプライベートに悪影響を及ぼす可能性があります。

ネガティブ思考と上手く付き合うコツは「バランス良く考える」こと

ではどのようにネガティブ思考と上手く付き合うには、どうすればよいでしょうか? ポイントは、「バランス良く考える」ことです。

ネガティブ思考に陥ったとき、悪い面ばかりに気が取られてしまいます。そして、「このままだと絶対に上手くいかない」と未来を否定的に決めつけてしまうと、モチベーションが低下し、状況を改善させることを諦めてしまいます。

そこで、バランス良く考えるために、「確かに難しいかもしれないが、上手くいく確率も30%くらいはあるかもしれない」とポジティブな仮説も立ててみましょう。そうすることで、少し気分が楽になり冷静さを取戻すことができます。その結果「30%の確率を上げるためにはなにができるのだろうか」や「一番のボトルネックになっているのはなんだろう」という新しい発想が生まれやすくなるのです。

「〇〇さんは自分のことを嫌っているに違いない」というネガティブ思考であれば、「〇〇さんはいつも不機嫌な人なのかもしれない」や「〇〇さんに嫌われたままでも支障はないかもしれない」と新たに発想を転換することができます。

また、「このポジションは自分の身の丈に合っていない」というネガティブ思考に対しては「せっかく任せてもらったということであれば、自分でも気付いていない長所があるのかもしれない」や「今までできなかったことが、少しずつできるようになった。この調子で成長していけば、いつか今のポジションにふさわしいスキルを身に付けることができるだろう」と捉えることができます。

ネガティブ思考を上手く利用して自分らしく働く

このようにネガティブ思考に陥ってしまった時は、意識してポジティブな仮説も立てて、冷静になることを心掛けてみましょう。そうすることで、慎重さを維持し、トラブルを回避しながらも、前向きに対処できるようになります。

ネガティブ思考は時に非常に役立つものです。「ネガティブな自分が嫌いだ」などと自己否定せずに、ネガティブ思考を上手くコントロールして、注意深く繊細なあなたらしい働き方に生かしてください。

イラスト:さっこさん

【編集部より】

執筆者紹介

清水 あやこ(株式会社HIKARI Lab代表) 新卒で数年間外資系証券会社で勤めた後、退職し東京大学大学院臨床心理学コースにて臨床心理学を学ぶ。在学中に株式会社HIKARILabを設立。会社のモットーは「今までにない心理ケアを提供し、簡単に心理ケアを受けられる社会を実現する」。現在は、オンラインカウンセリング「ココロワークス」と心理ケアゲーム「SPARX日本語版」などの開発に携わる。著書に「ちょこっとポジティブ。」(大和出版)、「女子の心は、なぜ、しんどい?」(フォレスト出版)がある。

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