マイナビニューストークラウンジレポート
23歳の女性経営者・ハヤカワ五味が考える「やらなくていい7つのこと」
2018.09.03
「〇〇をやるべきだ」「××を習慣化しよう」。ビジネスパーソンの毎日はそのような言葉であふれており、セミナーやビジネス本でも「やるべきこと」が数多く語られています。しかし、「あれもこれもやらなければ」とプレッシャーに感じてしまったり、できなかった日はどこか罪悪感を覚えてしまったり、という経験をされた方は多いのではないでしょうか。
その現状に問題提起したのが、若手経営者として注目を集めるハヤカワ五味さん(23)。ランジェリーブランドやアパレルショップを運営する株式会社ウツワの代表取締役を務めています。
「やらないことを決めた方が気持ちも楽になり、実現しやすいと思うんです」。そう語る彼女が考える「実はやらなくていいこと」とは、一体何なのでしょうか。2018年7月30日に開催されたイベント「マイナビニューストークラウンジ」で語られた内容をレポートします。※情報は取材時点
「やらないことを決めると、逆にやるべきことが見えてくる」
株式会社ウツワ代表取締役 ハヤカワ五味さん
イベントには株式会社ウツワ代表取締役のハヤカワ五味さんが登壇。「やらなくていい7つのこと」を語りました。
経営者として日々ビジネスの課題に向き合っているハヤカワさんは、セミナーや書籍で語られる「やるべきこと」の多さに違和感を覚えていました。
「やるべきことはプレッシャーになってしまう。やらないことを決める方が気持ちも楽になり、逆にやるべきこともクリアに見えてくるのではないでしょうか」
そう語る彼女は、輝く女性のマイルールを紹介するテレビ番組『セブンルール』(制作:関西テレビ)を見ている時に、ビジネスや普段の生活で感じている「やらなくていい7つのこと」を考えました。その内容がこちらです。
1.人を否定しない
「私はそう思わない」と、人の意見を否定することは簡単です。否定することで、自分の意見を伝えなくても相手とは違う立場であるということを暗に示せるので、あたかも意見を述べたかのようにふるまうこともできてしまいます。しかし、自分の意見を自分の言葉で伝えるのは想像以上に難しいことです。
それに、世の中は白黒はっきりとつけられることばかりではありません。グレーの部分が大半を占めています。その中でも、自分は黒と白どちらに近いのかと考え、言葉にすることが大切なのです。
相手が反対意見を述べたときは、頭から否定するのではなく「どうしてそう思うのですか?」「どういう経験からそう考えるようになったのですか?」と質問する。このような自分が持っていない考えを知ろうとする姿勢が、自分を成長させる上で重要になります。
2.自分から会いに行かない
「会いたい人と初めて会う時は、相手に見合う力を持ったベストな状態にしたいんです」と語るハヤカワさん。そのため、自分からは会いたい人に会いに行かないというルールを決めています。
自己評価は往々にして高くなりがちなものです。自分を過信せず、人からの客観的な評価を軸に行動する。そうすることで、最も自分のバリューを提供できるタイミングで相手に接触することができるようになります。憧れの存在ではなく、対等な存在として関係を築くことで、より刺激的かつ発展的な未来が生まれます。
3.決めつけない
何事においても「こういうものだ」と決めつけてしまうことは簡単で、思考する手間を省けるため楽ではあります。しかし、先入観を持たず「なぜそうなっているのか?」と一歩引いた状態で疑ってみると、今まで目に見えてこなかった新しい世界が広がります。
浴衣の着方といった文化的なことから、名刺交換の仕方などのビジネスマナーまで、世の中にあふれる「べき論」は案外、理由も必然性もないものであったりします。世間的に当たり前だとされていることや、相手の考えや性格を「なぜ?」と考えることは一手間かかりますが、周囲の人と大きく差をつけるきっかけにもなります。
お金になることとは、「人ができないこと」と「人がやりたがらないこと」という考え方があるように、一歩引いて思考することで新たなビジネスの種を発見できるかもしれません。
4.ダサいと思ったらやらない
ハヤカワさんがここ1年ほど特に意識していることは、「ウソをつかない」ことだそうです。人に対してはもちろんですが、自分自身の気持ちにウソをつかないというのが何よりも重要。自分にウソをついてやりたくないことをやると、結果的に周囲から信用を失うことにつながります。ビジネス的においしい話であっても、「ダサいと思ったらやらない。ウソをついてまでやっている自分はダサいじゃないですか」。この軸での行動の積み重ねがハヤカワさんのブランドを作り上げていき、信用として蓄積されていきます。
これは企業のブランディングも同様です。ブランディングやマーケティングでは「あれもこれもやらなければ」と考えがちですが、それ以上に「何をしないか」という軸がブランドに磨きをかけていくのです。客観的に見て、商品やサービスにとって何がダサいことなのかを考えるのは、ビジネスパーソンにとっても重要な指標となります。
5.嫌だと思う時間を過ごさない
学校の勉強でも、気乗りのしない仕事でも、「嫌だな」と思いながらやったことは記憶に残らずスキルも定着しません。一方で、興味関心をもって能動的に取り組んだ経験は、いつまでも残る人生の財産となります。
楽しめないことは切り捨てる勇気を持ち、嫌だと思う時間を過ごさないことで、日々の生活やビジネス、果ては人生を豊かにすることができるのです。
6.同じ人とばかり会わない
学生時代からの友人や気が合う同僚は価値観や考え方が似ており、居心地がいいものです。しかし、同じ資質を持った人たちと常に一緒にいると、他のコミュニティに属している人の感覚や価値観を理解できなくなってしまう可能性があります。
ビジネスとは、あらゆる価値観を持つ人々をターゲットにします。自分の属するコミュニティーの価値観だけで判断していると、人の心に深く刺さる商品やサービスは生まれません。異業種交流会に参加してみたり、バーで他の客と会話してみたりと、普段接さないさまざまな価値観を吸収するために行動することが大切です。そうすることで、人の持つインサイトを理解できるようになります。
7.勝てない戦はしない
偉大な経営者や若くして活躍している人は、天から与えられた才能と強力な運で何事も順調にこなしているように見えてしまうものです。しかし、彼・彼女らもどこかで必ず失敗を経験しています。「失敗したことを早めに切り上げる」というスタンスが、成功者のきらびやかな経歴を作っているとも考えられます。
「勝てない戦はしない。もし負けてしまっても、ダメージを最小限に抑えるための工夫をする。私自身、新規事業を撤退させた経験はありますが、失敗して深手を負う前に切り上げる勇気を持つようにしています」
ハヤカワさんがそう語るように、失敗という経験を引きずってしまったり、ずるずると取り返しのつかない状況になるまで放置してしまったりせず、潔く切り捨てる勇気を持つことがビジネスでは重要になるのでしょう。
考えるべきことはしっかり考えて、考えなくていいことは習慣化するまで徹底的にやる
ハヤカワさんへの質疑応答コーナーでは、「時間の使い方」についての質問が上がりました。
「最近は個人的にハミガキブームで、ていねいに磨く方法を色々と試しているのですが、おそらく1カ月で飽きてしまうと思います。でも、それが習慣化することが大切だと思っていて。日々の生活で考えなくてもいい部分は、思考をカットすることで時間を有効に使えると考えています」
生活上に欠かせないことをはじめ、ルーティン的に行っていることに時間を割くのはもったいないと考えるハヤカワさん。思考すべきことにじっくりと時間を使い、考える必要のないことは習慣化するまで徹底的にやり込むことで、限られた時間を有効に使えるようになるとのことでした。
次に、「人を見た目で決めつけてしまいそうになった時の解決法」についての質問がありました。
「人は見た目や第一印象でさまざまなことを決めつけてしまいがちですが、“そういう人なのかもしれない”と、心に遊びの部分を残しておき、できるだけニュートラルに接することが重要なのではないでしょうか。その印象は当たっていることも多いですが、“かもしれない”と思うことで思わぬ相手の考えを引き出すことができるかもしれません」
どうしてそう思うのか? と一歩引いて疑問を持つのと同じように、相手の事も一歩引いて捉えることで決めつけを回避できるとのことでした。
仕事に生活に、私たちのまわりには「やるべきこと」があふれかえっています。そのような現代だからこそ、「やらなくていいこと」を自分の中で明確にしておくことが大事なのかもしれません。そうすることで、今自分がすべきことが明瞭になってくるのでしょう。ビジネスだけでなく、人間関係や人生のスタンスの参考にもなるハヤカワさんの考えが詰まったイベントでした。
DATA
マイナビニューストークラウンジ「経営者・ハヤカワ五味が考える“やらなくていい7つのこと”」
■日時:2018年7月30日(月)19:00〜20:00
■場所:新宿ミライナタワー12階 マイナビルームB
■登壇者:
・経営者・ハヤカワ五味が考える「やらなくていい7つのこと」
ハヤカワ 五味氏(株式会社ウツワ)
■主催:株式会社マイナビ
執筆者紹介
山岡ソースケ・リホ(ライター) 人材会社出身のフリーライター夫婦。インタビュー取材からコンテンツ執筆、コピーライティングまで幅広く活動する。得意ジャンルは採用関連、ビジネス、IT、グルメなど。旅行が趣味で、毎月1回国内外問わず飛び立つ。阿佐ヶ谷在住で、街のグルメや面白スポットを開拓中。
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