AnyMind Group 近藤聖氏インタビュー
SNSを分析して個性を数値化。TalentMindが描く採用活動の未来。
2018.04.26
2017年以降、AIを活用してエントリーシートの選考を行う企業が相次いで登場した。書類選考を効率化できる点は画期的だが、「会社との相性は面接をしてみないと分からない」と考えている人事担当者も多いだろう。
そんな中、SNSのデータを分析することで、企業との相性を可視化するサービス「TalentMind」が日本へ進出する。AnyMind Groupで事業統括責任者を務める近藤聖氏の来日を機に、サービスの魅力と今後の展望を聞いた。
SNSを活用することで、採用に新しい切り口をつくる
―TalentMindについて教えてください。
TalentMindは、AIを活用した人材のスクリーニングと、採用管理の機能を持ったソフトウェアです。このサービスの特長は、適性テストや履歴書のデータだけでなく、SNSの情報をもとに候補者を解析できることです。SNSに投稿されたコンテンツの内容、ポストの回数、フォロワーの数、ライクの数などを解析。ソーシャルに落ちているすべてのデータをもとに統括的な分析を行います。
履歴書が要らないと考えているわけではありませんが、「履歴書では魅力的でないのにソーシャルでは素敵な人」は絶対にいます。こうした人を見逃さないため、切り口を増やすことに価値があると思っています。
今後、取り扱うデータが増えていけば、「どんな企業にどんな人材が向いているか」を分析する精度がさらに上がっていきます。採用担当者が変わっても、データは溜まり続け、アルゴリズムは残る。新しい採用担当者が着任したときにも、すぐに「この人はトップパフォーマーと類似している」ということが分かります。社会的にも価値のあるサービスだと思うので、これからスクリーニングのアルゴリズムをどんどんアップデートしていく予定です。
―現在はタイを拠点にビジネスを展開しています。海外から見た日本のHRマーケットの現状を教えてください。
タイは買い手市場で、企業が求人を出すと大変な数の応募が来ます。多くの人がレジュメに良いことばかり書くので、SNSなどでスクリーニングするサービスの需要が大きいマーケットでした。
日本の場合、HRテックが流行ってはいますが、アメリカなどと比べるとまだ盛り上がりは小さいです。人材のスクリーニング機能をサービスとして提供している会社は少ないですし、そこにSNSを使うサービスはまだありません。とくにITリテラシーの高い人材を採用したい企業にとって、このサービスは非常に価値があると思っています。
AIを活用し、感覚的な人材要件を数値化
―企業がHRテクノロジーを導入し、成果を上げるには、どんなことが重要と考えますか。
目的に応じて、適切なソリューションを用いることです。AIを活用したサービスは多くありますが、あくまで目的に対する手段としてAIを使うことが前提になります。
AI以前にテクノロジーがどのように物事を判定していたかと言うと、「ルール」を使っていたんです。「東大生しか採用しない」と決めた会社であれば、レジュメの学歴を見れば良いのであって、AIは必要ありません。「ルール」さえ決めてしまえば、100%の精度でターゲットを見つけられるようになります。採用の目的に応じて、AIを使うべきか考え、適した方法を選ぶことが重要だと思います。
私たちのプロダクトでは、「東大生か否か」という判断の次元を超えて、「社交的な人」「探究心の強い人」といったこれまでにないルールを設けることができます。AIの機械学習を利用することで、感覚的なニーズをより明確に把握できるのです。
TalentMindのダッシュボード
―最先端のテクノロジーが発展していくことで、今後、世の中にどのような変化があると予測しますか。
この10年を振り返ってみると、アップルのような莫大な資産を保有する民間企業が現れたように、財力が国から民間企業に流れ出ていることが分かります。しかし今の時代では時価総額が1兆円を超えるイーサリアム(仮想通貨)を作った主体が個人だったように、これからは企業から個人へと力の分散が始まっていくと思います。
「会社で働く」「組織に属する」という概念は、今後ますます薄れていくでしょう。そう言った意味で、私たちが提供するプロダクトが「個人」を分析する手段としてSNSを活用しているのは、必然の流れなのです。
【取材:2018年3月2日、聞き手・撮影:編集部】
企業プロフィール
AnyMind Group
AIを活用したSaaSソリューションを提供するテクノロジーカンパニー。2016年4月にAdAsia Holdingsとしてシンガポールで創業。2018年1月にAnyMind Groupを親会社とする組織改編を実施。2018年4月現在、10カ国12拠点で290名以上の従業員が勤務する。
AnyMind Groupに関する記事はこちら
【編集部おすすめの「ホワイトペーパー」】
体系的にまとめられた情報の中から必要な部分をパッケージングした業務に役立つ資料です。
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
プレスリリース国内・海外ヘッドライン
AnyMind Group
AIリクルーティングソフトウェア「TalentMind」の提供を開始
目次 AIを活⽤してベストな候補者を探し出し、採⽤活動の効果を最⼤化 TalentMindの事業は今後、4つの段階に分けて提供AIを活⽤してベストな候補者を探し出し、採⽤活動の効果...
2018.01.25
-
ニュース・トレンド
ビズリーチ WorkTech研究所
直近1年での退職者が増加傾向。大企業では7割超が「退職者が増えている」と回答
ビズリーチ(東京・渋谷)が運営する、働く人の活躍を支えるテクノロジー“WorkTech”に関する研究機関「ビズリーチ WorkTech研究所」は10月22日、ビズリーチまたはHRM...
2024.10.24
-
ニュース・トレンド
KDDI株式会社
社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的に「ジョブ図鑑」を公開
KDDI(東京・千代田)は10月21日、社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的として、社員向けに「ジョブ図鑑」を公開した。【TOP写真はジョブ図鑑のイメージ(リリースよ...
2024.10.22
-
ニュース・トレンド
【就活生が望む企業の適切な連絡(頻度・内容・方法)調査】株式会社No Company調べ
Z世代就活生の約3割が “連絡を理由” に選考を辞退
企業の人事部門向けに採用広報(採用マーケティング)支援を行うNo Company(東京・港)は10月7日、「就活生が望む企業の適切な連絡(頻度・内容・方法)調査」の結果を発表した。...
2024.10.16
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?