「今日からできる優秀人材の採り方・活かし方~」イベントレポート
サイバーエージェント&ビースタイルに学ぶ、優秀な人材の採用方法
2018.03.19
2018年2月28日、サイバーエージェントとビースタイルが合同で人事担当役員、採用責任者、ベンチャー経営者限定イベント「優秀な人材を採る~今日からできる優秀人材の採り方・活かし方~」を開催した。今回は、採用の最先端を行くサイバーエージェントとビースタイル両企業の取り組みをもとに、会社の成長につながる優秀人材の採用術をレポートする。優秀人材の確保と定着に悩む人事必見だ。
入社後活躍する「優秀な人材」の見分け方
有効求人倍率が1.5倍とも言われ、働き方改革の波も迎える今、どんな人材が会社に欠かせない優秀な社員になるのだろうか。株式会社ビースタイル代表取締役会長・三原邦彦氏は“高いセルフイメージを持つ人”こそ優秀な人材だと述べた。
「料理なら“家庭料理ではなく三ツ星レストランのフルコースが提供できる自分”をイメージするなど、高いセルフイメージを抱ける人は伸びしろがあり、成長します。各人が役割分担して動く分業制の働き方が主流になりつつある現代では、明確なセルフイメージを持ち主体的に動ける人材が必要です」(三原氏)
新卒採用時にもセルフイメージを確認するため、「入社したら、10年後にどんな自分になりたいか」を質問している。学生が答えに詰まったら「かっこいい自分ってどんな自分?」と質問すると、具体的な回答が返ってきやすい。全くビジョンがなければセルフイメージが作れないので、十分な回答ができないままだ。株式会社サイバーエージェントの取締役で人事統括を務める曽山哲人氏も、面接時に「10年後に雑誌で取材されたら、どんな言葉を伝えたい?」と質問するとのこと。
さらに、曽山氏は優秀さの基準として“会社とのマッチ度”も挙げた。
「サイバーエージェントでは、会社に合う人=優秀だと考えています。これは失敗経験をもとに学んだことです。1999年から新卒採用に力を入れて、当時から会社に合う人を選んでいました。その結果、会社はどんどん成長して上場したものの、上場する際に能力重視の中途採用を行い、退職率が30%に跳ね上がってしまった。中途の幹部社員が新卒社員の上司になり、ネットの知識が足りないまま部下を指導したため、若手が次々に退職してしまったんです。結局、その時に採用した中途社員も会社に合わず退職したのですが、それによって新卒社員がまた高いパフォーマンスを発揮できるようになり、V字回復しました。会社の成長のためには、能力よりもマッチ度が重要だったのです」
それでは、会社に合う人材とはどんな人材なのか。曽山氏は「社員が一緒に働きたくなる人材は会社に合う人材」だとして、面接官に対して「二人で一緒に働きたいか」を重視するように伝えている。会社とのマッチ度は定量的に測りにくい項目なので、定性的な精査も必要だ。
優秀な人材が魅力を感じる会社とは
優秀な人材は、どんな会社に魅力を感じるのだろうか。毎年300~400人と面接する曽山氏は、「活躍環境」と「成長」がパワーワードだと述べる。続けて曽山氏は「裁量」「配置」「決断経験」の3本軸で会社を選定する若手人材が増えていることを指摘した。
「入社3年内に裁量を持てるかどうか、異動できるかどうか、若手でも自分で仕事をコントロールできるか。このあたりを重視する若手が多いですね。サイバーエージェントには社内ヘッドハンターという部署があり、面談で随時ヒアリングを行って異動提案しています。完璧な配置は存在しないので、人事は常に『社員がもっとパフォーマンスを発揮できる配置があるのではないか』と疑う姿勢が必要です」
また、中小企業の採用は、大企業との差別化も欠かせない。福利厚生や研修制度は大企業の方が充実しているため、それ以外に優位性を持たせる必要がある。そこで、サイバーエージェントでは「決断経験の多さ」を強みとして打ち出した。新卒面接でも「決断経験がこれほどある会社はほとんどないから、自分でも調べてごらん」と伝えている。
曽山氏は、求職者に言葉で魅力を伝える重要性も強調した。サイバーエージェントでは新卒社員がグループ会社の代表になるケースもあるため「新卒社長」というワードで訴求したところ、求職者から大きな反響が得られたと言う。「新卒社長」というワードは取材や採用サイトに記載しただけだったが、学生から「新卒社長制度ってありますよね」と確認されるほどのインパクトがあった。これは、会社ならではの特徴的な言葉を開発すると、オリジナルの魅力が伝わり、差別化しやすくなるという分かりやすい事例だろう。
優秀人材が、辞めることなく会社に定着するためには
優秀な人材を採用できたら、次は定着が課題だ。優秀な人材はセルフイメージが高いため、活躍できる環境を用意しなければ退職してしまう。ビースタイルでは優秀層を定着させるため、年功序列ではなく実力重視の待遇・制度を導入。抜擢報酬と抜擢役割を活用し、“飛び級”できる環境を整えている。自分から手を挙げた社員にはできる限り役割と給与を与え、達成した場合は引き上げた条件のままにし、達成できなかった場合は条件を戻す。新しい業務を始める前に条件を上げる点が画期的で、これによりスピーディーに挑戦できる環境を実現した。
また、ビースタイルとサイバーエージェントでは、新卒社員の待遇も見直している。
「ビースタイルでは来年から新卒の初任給を一律にせず、学生時代の経験や能力に応じて差をつけます。面接担当者の意見を踏まえ、人事部長が給与を決めます」(三原氏)
サイバーエージェントでもエンジニアの初任給制度を廃止し、それぞれで異なる給与を設定するように変えたばかりだと言う。能力の高い若手を確保するために、常に競合他社の年俸や福利厚生をチェックし、相対的に付加価値が高い好環境を作っている。
【参考】サイバーエージェント、2019卒エンジニアを対象に能力給制度を導入|@人事ONLINE
さらに、曽山氏は「優秀層についてだけ話し合う機会を設ける」ことも重要だと述べた。退職希望者やモチベーションが下がっている社員について話し合うネガティブな会議はあっても、伸びている社員やトップ層について話し合うポジティブな会議を開く機会はあまりない。会社の成長を促すためには、ポジティブサイドにもさらに時間を使う必要があるという視点からの提案だ。
サイバーエージェントでは年2回、役員が「人財覚醒会議」を行っている。執行役員から管理職までの名簿を作り、顔写真とこれまでの評価・査定の数値、本人にコンディションなどを聞いたアンケートを添付。事前に各人の成長や停滞をチェックし、気になった社員に丸をつけた名簿を会議に持ち寄り、情報共有する。異動が目的ではなく社員のフル活用が目的だが、その後異動が決まる社員も多い。
優秀な人材は変化を求め、成長を目指す。その分競争率も離職率も高いため、優秀な人材を採用するには、自社ならではの強みを明確に打ち出し、かつ成長を続けられる環境を整える努力が必要不可欠だろう。
執筆者紹介
萩原かおり(はぎわら・かおり) フリーランスのライター・編集者。美容と心理が専門で、婚活パーティーの取材人数は200人を超える。三度の飯と執筆が同じくらい好き。求人・化粧品・社史制作を経て独立。現在は執筆業を中心に、取材記事から広告・LP・メルマガ作成まで幅広く活動中。休日はエステとジムに通い詰める美容オタク。 https://note.mu/hagitaro1010
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