残業ゼロを目指して
「朝飯前」に仕事を進めよう!~意志力をコントロールする方法
2018.01.27
どのように「意志力」をコントロールするか
1990年代にアメリカで流行した「ウィルパワー(意志力)」という考えが、最近になって日本で広まりつつあります。
心理学な専門用語としては「自我消耗」という単語が、この「意志力」にあたりますが、その意味を要約すれば、「意思の力にも一種の量的限界があって、使えば使うほど減っていく」ということです。
意志力にまつわる実験については、最近になって異説も出てきており、トロント大学の心理学教授であるマイケル・インズリットは「意志力は、そのときに起きていることや感じ方に応じて満ち引きする」といった見方をしています。
意志力にも、感情と同じような「満ち引き」があるとすれば、そのコントロールを身に付ければ、より長い間、意志を保つことができます。そこで今回は、意志力をコントロールしながら仕事をする方法について考えます。
当たり前だけど軽視できない「仕事をする時間」の話
多くの方に経験があるかと思いますが、人は似たような刺激にはだんだんと慣れていきます。心理学用には「心的飽和」と言われる現象です。
同じ刺激、同じ状態が長引けば、それだけ刺激が薄れていき、同時に意志力もすり減っていきます。仕事に置き換えれば、朝のうちなら「今日はどんな仕事もやれそうだ!」と思えても、長い時間ルーティンワークをこなすうちに、お昼を食べる頃には自分の仕事に慣れ、夜にはすっかり飽きてしまうわけです。
「朝飯前」にやるから、仕事が効率的に進む
「意志力」「心的飽和」という観点から考えれば、仕事はなるべく「起きてから時間が経たないうち」に終わらせてしまうことが有効です。
東大生や京大生に絶大な人気を誇る著書『思考の整理学』(ちくま文庫)で有名な外山滋比古さんも、同書の中で、「朝飯前」に仕事をすることの効率の良さについて語っています。
「朝飯前」という言葉は、今では「簡単な仕事」という意味で用いられていますが、外山さんは、「朝飯前」という言葉の成り立ち自体についても、面白い考えを持たれています。
簡単なことだから、朝飯前なのではなく、朝の食事の前にするために、本来は、決して簡単でもなんでもないことが、さっさとできてしまい、いかにも簡単そうに見える。知らない人間が、それを朝飯前と呼んだというのではあるまいか。どんなことでも、朝飯前にすれば、さっさと片付く。朝の頭はそれだけ能率がいい。
外山滋比古著「思考の整理学」より
外山さんによれば、「朝飯前にできるのは簡単な仕事だけ」なのではなく、「朝飯前にやるから、仕事が簡単にできる」というわけです。
外山さんは、この考え方を発展させて、「昼に睡眠を長く取ることで『朝食前』を2度作る」というアイディアも紹介されています。同著は受験生や大学生に支持されている傾向がありますが、ビジネスパーソンにとってもたくさんの学びがある内容ですので、気になった方はぜひ手に取ってみてください。
「意志力が高い状態」を無駄にしないことが大切
外山さんは、ご自身の経験から上記のような仕事術を生み出していますが、「意志力」や「心的飽和」という考えからも、「朝飯前」に仕事をすることは効率的です。
しかし現実的には、さまざまな要因がこれを妨害します。
例えば、日本企業では朝礼の文化があるところが少なくありませんが、長めの朝礼や会議などが午前中にあった場合、それだけで「意志力が高い状態」の30分~1時間を無駄にしてしまいます。せっかく意志力が万全で生産性高く仕事ができる時間帯を、集中力をさほど必要としない業務に使うのは、非常に非効率です。
以前の記事でもご紹介したように、意志力は、ささいなことでどんどん消耗してしまいます。今週は歴史的寒波の到来で、都心の最低気温が0度を下回っていますが、着るものを決めたり、寒さに耐え忍んでいても意思力を消耗してしまうのです。できれば、天気予報を夜のうちにチェックして、着るものは寝る前に決めてしまって、朝からよけいな意思力、体力を消耗しないようにしましょう。
そうすれば、午後や夕方でも、意志力を保って戦える可能性が増すのです。
執筆者紹介
佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
コラムニュース・トレンド
イベントレポート
海外人材のリモート雇用をワンストップで提供。グローバルHRソリューション「Remote」が日本向けサービスを開始
グローバルHRソリューション「Remote( https://remote.com/ja-jp )」を展開する、米カリフォルニアに本社を置くRemote社が、日本向けサービスを本格...
2024.12.13
-
コラムニュース・トレンド
企業とシニア求職者のミスマッチをひもとく 第3回
シニア人材の活躍事例――これまでの人生経験を生かす
シニア層の活躍: 未経験業界への挑戦第1回は、シニア層の就業実態および意識をシニア個人と企業双方の視点からお伝えし、第2回では、積み重ねたキャリアで得たスキルや専門性を生かして生き...
2023.08.25
-
コラムニュース・トレンド
企業とシニア求職者のミスマッチをひもとく 第2回
シニア人材の活躍事例――これまでのキャリア・専門性を生かす
シニア人材の採用と活躍:スキルと経験を生かす方法第1回では、リクルートの調査研究機関『ジョブズリサーチセンター』が実施した「シニア層の就業実態・意識調査(個人編・企業編)」をもとに...
2023.08.18
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
人事のキャリア【第25回】
皆がうらやむような会社づくりに取り組む(アイロボットジャパン・太田浩さん)
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
「副業」新時代-企業の向き合い方 特集TOP
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION特集
「令和時代に必須! ハラスメント対策最前線」
パワハラと指導の違いは? 6種類のパワハラを佐々木亮弁護士が徹底解説(中)