企業力を強くする「福利厚生」
福利厚生でビジョンを浸透 ウィルゲートが重視する社内交流文化
2015.06.12

社員の意欲向上や離職率の低下などの効果が期待できる福利厚生。前回は、オレンジアーチの事例を紹介した。今回も、ユニークな福利厚生を導入している『ウィルゲート』の取り組みを取り上げる。
「社長宅オフ会」も…コミュニケーション重視の文化
ウィルゲートには社歴や役職に関係なく、飲み会やランチを通してコミュニケーションを図る文化が根付いている。
新卒と役員のランチの様子
社員118人中(2015年4月現在)リーダー以上の社員が現在約20人いるが、彼らにはメンバーとのコミュニケーションを目的とした接待交際費が与えられる。じっくり話したいメンバーと1対1で飲みに行くこともあれば、部署全体の営業目標達成会などに使われることもあり、その時々によりリーダー(主任クラスの役職)が活用している。また、定期的に小島梨揮(こじまりき)社長が毎回10人ほどの社員を自宅に招く、「社長宅オフ会」まで開催されているという。 「どこの会社の社員でも、会社に対する不平・不満はあると思います。それを直接聞いてみようという文化が当社の特性だと思います」と人事担当の佐久間健太さんは話す。
きっかけは「会社の倒産の危機」
ウィルゲートがコミュニケーションを大事にするきっかけとなったのが、2008年に倒産のピンチに見舞われたことだ。他社との合併に失敗したことを発端に約1億円の負債を抱えた。社員からの信頼をなくし、30人いた社員は10人に減った。原因はコミュニケーション不足。このとき社内にあったコミュニケーションといえば、緊張感のない雑談か、緊張感漂う議論だった。これではお互い思っていることが言えないと考え、それ以降同社が大事にしているのが「リラックスして真剣な話ができる対話の場」だという。
「仲が良いだけの組織をつくることが目的ではない」と話す佐久間さん。飲み会は社員たちが上司に自分の意見を言う場であり、同時に役員やマネージャーがビジョンを社員に伝える場としても機能している。社長宅オフ会を開催するのも、周囲の目を気にせずリラックスした雰囲気で真剣な話ができるからだ。
結果として社内にビジョンが浸透
入社以来人事を務める佐久間さん(写真左)と入社2年目の大森和博さん
社員同士や役員と社員とのコミュニケーションの場を増やしたことで、会社の方針が社員1人ひとりに浸透するようになり、社長から新卒社員まで、自分の意見を言い合える組織に生まれ変わった。今後さらにウィルゲートは事業の多角化を図る予定だ。その上で最も大事にするのが「人」だと佐久間さんは断言する。「ヒト・モノ・カネのうち、IT業界で圧倒的な差異化を図れるのは、人のモチベーションです。いくら能力があっても、意欲がないと良いサービスは生まれません。当社は今後も徹底的に人に投資をしていきます」
社員の声
「社長宅オフ会はピザを食べながらの楽しい会食ですが、みんな真剣に仕事の話をします。社員が営業戦略や組閣に対する疑問をぶつけると、社長や専務がわかりやすく説明してくれ、それに対してまた疑問をぶつけて、の繰り返し。普段の会議よりも自分の意見がより言いやすいですね。私は入社2年目になりますが、後輩や内定者とのランチの誘いを受ける立場になったので、今度は自分が先輩からもらったものを後輩たちに伝えていきたいです」(大森和博さん)
総括:福利厚生導入には「目的を明確にすること」が必要
今回紹介した2社のように、福利厚生はうまく機能すれば社員の一体感醸成や意欲向上など大きな効果を発揮する。しかし、やみくもに導入しても望んだ効果は得られない。貴重な資源を投資するのだから、目的を明確にして継続的に意味のある制度を導入したい。また、導入後に定期的に利用率をモニタリングし、内容をチューニングしていくことも大切だ。福利厚生にはその会社や経営者が大事にすることが如実に表れるもの。自社の福利厚生の内容や利用率を見直し、ぜひ充実したものにしてほしい。
会社プロフィール
- 会社名
- 株式会社ウィルゲート
- 所在地
- 東京・渋谷
- 業務内容
- コンテンツマーケティング事業、メディア事業
- 設立
- 2006年6月
- URL
- http://www.willgate.co.jp/
執筆者紹介

尾越まり恵(おごし・まりえ) フリーランスライター。福岡県北九州市生まれ。結婚情報誌ゼクシィの制作に携わり、2011年に独立。「女性の生き方」をテーマに取材・執筆を続けている。福山雅治、ホークスが好き。
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