効果的な研修のための処方箋
「ニーズ分析」「検証」で効果的な研修を。現場とのギャップをゼロに
2015.07.27

新卒研修を終えた新入社員はすでに現場に出て活動している時期だと思います。しかし、一方で、この時期に人事担当者がよく耳にする言葉があります。それは、「研修を受けているにもかかわらず、全く使えない!」や、最近の新卒者の風潮を反映して「ゆとり世代だから、主体性がなく全体的に甘い!」などです。なぜ、このような言葉が現場から発せられるのでしょうか?本稿では、これらの要因を探っていきたいと思います。
研修の意義
そもそも、研修とは何か?ということから考えてみます。
人事・総務のみなさんは、研修に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?講師が説明をして、受講者がそれを聞いている、というような従来の学校スタイルのイメージがあるのではないかと思います。知識の修得が目的であれば、学校スタイルの研修でも何ら問題はありません。
しかし、ビジネスにおける研修の目的は異なります。
それは「知るようになる」だけでなく「できるようになる」ことにあります。つまり、研修によって受講者の行動変容がおきなければ全く意味を成さないわけです。この考え方を習得主義といいます。
研修の現状
では、実際に行われている研修の現状はどうでしょうか?
多くの研修現場では、毎年のイベントのように研修を実施することが目的化しているようです。研修の成否も、修了時にアンケートを実施して、「よかった」「おもしろかった」「まずまず」などといった受講者の個人的主観だけで確認されています。このような研修スタイルを履修主義といいます。
つまり、結果よりもプロセスを重んじて、できるようになってもならなくても一定の研修時間が経過したら修了とする考え方です。この履修主義に立脚した研修スタイルが、現場から上がってくる不満要因の一つと考えられます。
効果的な研修とは
研修実施の目的は、端的に言うと、研修を受講することで受講者の行動変容が起こり、その行動変容が業務に活かされ売上や利益に貢献することにあります。この目的が果たされているかどうかを確認するためには、しっかりとしたニーズ分析と検証を行うことが必要になります。研修の検証手法の枠組としてカークパトリックの4段階評価モデルをご紹介していきます。
レベル | 評価項目 | データ収集ツール |
1.反応 [Reaction] |
受講者は教育に対してどのような反応を示したか? | 受講者アンケート |
2.学習 [Learning] |
どのような知識とスキルが身についたか? | 事後テスト パフォーマンステスト |
3.行動 [Behavior] |
参加者はどのように知識とスキルを仕事に生かしたか? | フォローアップ調査 上長アンケート |
4.結果 [Result] |
教育は組織と組織目標にどのような効果をもたらしたか? | 効果測定チェックリスト ROI指標(費用対効果) |
レベル1の「反応」は、受講者の研修に対する好感度を示します。よく行われている実施後のアンケートによる評価方法です。
レベル2の「学習」は、研修により身につけてもらいたい知識やスキルが習得されているかをテスト等により評価する方法です。
レベル3の「行動」は、研修の成果が職場での仕事に戻ったとき(新入社員であれば、仕事に取りかかったとき)に生かされ、職務行動の変化として現れるかどうかを評価します。
レベル4の「結果」は、研修が組織全体にもたらした価値(売上増・利益増・経費減)を評価する項目です。
研修を評価するには、最低でもレベル2までは用意してもらいたいものです。レベル2をしっかりするだけでも、研修の効果は大きく好転します。本来ならば、レベル3、4まで実施するのが理想ですが、カークパトリック自身も述べているように、3、4の評価は大変難しいものであります。
その理由として、企業や職場によって求められる行動基準が異なるからです。レベル4に至っては、さまざまな経営貢献要素があるなかで研修の貢献度を計測することはそう簡単にはいきません。ただ、研修と現場のギャップを少なくするためにはレベル3を実施することは大変有意義なものとなります。特に新入社員が対象の場合、きちんと計画されたOJTと組み合わせることでレベル3の測定が可能になります。
次項回以降では、新卒研修を例にとりながら、具体的な企画方法(ニーズ分析)や各部門との協力体制、研修会社とのつき合い方について書いていきたいと思います。
- OJTの質を驚くほど高める手法とは…?
- いかにしてOff-JTとOJTを結びつけるか
- 現場とのギャップをなくす研修とは(2)
- 現場とのギャップをなくす研修とは(1)
執筆者紹介

宮崎照行(みやざき・てるゆき)(Training Office 代表) 中央大学経済学部を卒業後、人材開発系ベンチャー企業の参画に携わる。その後、衆議院議員秘書を経て、研修事業・人事コンサルティング事業を主な業務内容としたTraining Officeを設立。
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