コラム

自然体で仕事する処世術


せっかく学んだスキルを活かせない理由。必要なのは「微量だが、瞬間的な怒り」のマネジメント

2017.03.15

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こんにちは!F太(@fta7@shh7)です。

最近、上司や先輩とのやりとりでストレスを感じたことを教えてください。

以前Twitterで実施したアンケートで、以下のような意見を多数頂きました。

・20~24歳/女性/蒼衣
自分とは関係のないことで上司がイライラしており、そのせいで自分が些細なことで怒られるのではないかと感じて緊張感を持った

・25~29歳/男性/ヨタカ
機嫌が悪い時に話し掛けると、答えが雑になったり正しくなかったりする

・25~29歳/男性/いわな
叱責の際私の人間性レベルで否定された

上司の感情的な態度が、部下にとって強いストレスであることは間違いないようです。

※このアンケート全体の結果に関しては、こちらの記事をご覧ください。
上司に感じるストレス第1位「指示が曖昧」への、上司/部下それぞれの対処法は?

一方で、このような質問にも回答をいただきました。

あなたが尊敬できる上司や先輩の特徴を教えてください。

・25~29歳/女性/ポプラ
たとえイライラしていても機嫌よく笑顔でいられること。業務を理解する姿勢があること。男女差別とか部落差別とか他様々な差別をしない

・20~24歳/女性/かなた
感情的でない。公私混同しない。理性的。男女平等で器の大きな人

・30~34歳/女性/とまと
理性的な人、ミスを激しく指摘して貶めるより、アドバイスをくれて次回にポジティブに繋げてくれる人。さりげなく感謝や褒め言葉をくれる人。気分屋じゃない人

感情的にならず、常に平等な態度で接せられる。このことが、部下から信頼されるためにはかなり重要な要素であることが伺えます。

目次
  1. やるべきことは分かっている。でも、それができないのはなぜか?
  2. せっかくの知識、技術を活かすための土台がぐらついている
  3. 「微量だが、瞬間的な怒り」に気づく技術を磨く
  4. 瞬間的な怒りをクールダウンさせる技術
  5. そもそも怒りが表出しやすい状況を避ける

やるべきことは分かっている。でも、それができないのはなぜか?

「説得する技術」「叱る技術」「的確に指示を伝える技術」など、リーダーシップに必要な技術を教えてくれるビジネス書や講師は多いですし、インターネットにも沢山そういう記事があります。多くの上司/リーダーは、「感情的な態度をとらず冷静に、そして平等に部下に接しなければならない」ということなど、十分すぎるほど理解しているはずです。

にも関わらず、感情的な態度で接してくる上司に悩まされる人が一向に減らないのはなぜなのでしょうか?
上司から感じるストレスの原因として「感情的な態度」が上位に挙がってしまうのはなぜなのでしょうか?

その理由は、折角の豊富な「効果的なリーダーシップ/コミュニケーションをとるための知識や技術」があっても、それを実践するための土台が構築できていない上司/リーダーが多いからではないでしょうか。

せっかくの知識、技術を活かすための土台がぐらついている

例えば、ミスをした部下の説明を聞いているときに、「最後まで話を聞き、相手の感情を汲み取った後、改善点について話し合う。話を途中で遮ってはいけない」という予備知識があったとします。

しかし、上司自身の感情マネジメント能力が未熟な場合、折角の予備知識を活用する間もなく、部下の発言が言い訳がましいからと、つい、攻撃的なことを言ってしまったり、つい、相手の言葉を遮ってしまったり、つい、語調が強まってしまったりしてしまいます。

こういった「つい」が積み重なり、結果として部下との信頼関係が揺らいでしまうわけです。

つまり大切なのは、こういった「微量だが、瞬間的な怒り」が生じたときに、攻撃的な態度をとってしまう前にその怒りに気づき、クールダウンすることができる技術なのです。

「微量だが、瞬間的な怒り」を上手にマネジメントできてようやく、豊富な「効果的なリーダーシップ/コミュニケーションをとるための知識や技術」を活かすことができるのです。

以下ではいよいよ、この「微量だが、瞬間的な怒り」を上手にマネジメントするための方法をご紹介していきたいと思います。

「微量だが、瞬間的な怒り」に気づく技術を磨く

そもそも自分が怒っていることに気づけなければ、マネジメントも何もありません。まずは自分が「今、この瞬間に抱いている感情」に、いち早く気づけるようになることが最も重要です。その「気づく技術」を磨くために、最も効果的な訓練法が「マインドフル瞑想」です。

マインドフルネス瞑想

今、脳の休息法として注目をあびているマインドフルネス瞑想ですが、私は習慣にし始めて4年、本格的に生活に根付いて1年程が経ちます。

毎日5分~30分のマインドフル瞑想を続けてきた私個人の感覚では、瞑想中「注意がそれている自分に気づき、呼吸に注意を戻す」という所作を何度も何度も繰り返すことで、普段の生活の中でも「自分が今、何を考えているか」に気づく能力が鍛えられたように思います。

つまり「今まさに怒っている自分」に気づく能力が、瞑想によって鍛えられるのです。

実際の瞑想法についてはインターネットで検索すれば様々なやり方が出てきますし、書籍も多く出版されているのでここでの詳述は割愛しますが、

  • マインドフルネス瞑想には他にどんな効果があるのか?
  • 具体的にマインドフルネス瞑想はどのように行うのか?

ということについてより詳しく学びたい方には、こちらの書籍がおすすめです。

『世界のエリートがやっている 最高の休息法』

世界のエリートがやっている 最高の休息法

瞑想だけではなく、「マインドフルネス」全般について深く理解したい方には以下の書籍をおすすめします。

  • 今この瞬間に集中出来ていない気がする
  • 過去や未来にとらわれすぎているような気がする

といった方には、生活全般を根底から変化させる程のインパクトがあるかもしれません。

『世界のエリートがやっている 最高の休息法』 スタンフォード大学 マインドフルネス教室

感情の記録

私は日々、つい怒ってしまったこと、つい嫉妬してしまったこと、つい愚痴ってしまったこと(仏教でいうところの「三毒」)を、Evernoteに記録しています。その記録を読み返すことで、自分が感情的になってしまうのはどんなときなのかがわかってきます。自分の怒りのトリガーがどんどん見つかるのです。

記録を見返せるようになるには、ある程度の時間と習慣付けの努力が必要でしたが、「三毒が出たら忘れないうちにそのことを記録しておこう」という意識づけをしはじめただけでも、「微量だが、瞬間的な怒り」に気付く能力が高まったように思います。

瞬間的な怒りをクールダウンさせる技術

「微量だが、瞬間的な怒り」が生じた瞬間に気づけるようになってきたならば、その怒りを瞬時にクールダウンさせることができる、これらの技術を実践していきましょう。

深く、鼻から息を吐く

その場でほとんど何も考えることなく即、実行できて、手軽ながら、しかしとてつもない効果を発揮するのが、怒りを感じた瞬間に「深く、鼻から息を吐く」という技術です。

心拍数は、息を吸う時に上がり、吐くときに下がります。怒りの感情で心拍数が上昇しているときには、深くゆっくりと息を吐くことで肉体レベルで落ち着くことができるのです。鼻から吐く理由は、瞑想時の呼吸も、鼻呼吸が推奨されていることに由来します。また、口で大きく息を吐くと、ため息のようで印象が良くない、という理由もあります。

そもそも怒りが表出しやすい状況を避ける

怒ってしまう事態を未然に防ぐ対策も重要です。

空腹時

オハイオ州立大学のプッシュマンらによる、興味深い実験があります。 夫婦107組に、21日間、寝る前にパートナーに見立てた呪い人形と51本の針を渡して、好きなように刺してもらうというものです。すると、血糖値が低いときほど、人形に刺す針の数が増える傾向が出たというのです。

引用元:科学的に元気になる方法集めました

空腹で血糖値が下がっているときは感情的になりやすいのですが、とはいえ自分が今、空腹かどうかを常にモニタリングするのは実は結構難しく、忙しかったり集中していたりして空腹を感じていないときでも、血糖値が低く、怒りやすい状況になっていることも多いのです。

そこで、

  • 11時以降は議論をしない、叱らない
  • 17時以降は残務処理のみとし、コミュニケーションが必要な仕事はできるだけやらない

といった風に、予め空腹になりがちな時間帯はコミニュケーションを制限する仕組みを整えておくのが良いでしょう。

忙しい時

忙しい時は、特に「微量だが、瞬間的な怒り」のマネジメントが困難になります。

忙しいとはつまり、「割込タスク」が多発する時間帯です。作業を中断したり、また元の作業に戻るという動作は、思っている以上にストレスがかかります。その為、何度も声をかけられるたびに「微量だが、瞬間的な怒り」が湧き上がり、それに負けてしまうリスクが高いのです。

そのような時間帯には、むしろ割込タスクに迅速に対応することを前提に、中断/再開にかかる負担が少ない、短時間で終わる作業や単純作業を割り当てることがおすすめです。

また、「割込タスクに集中する時間」をつくることでレスポンスが良くなれば、その分「割込を排除し、集中して大きめのタスクに取り組める時間」をつくることについて、周囲の理解も得やすくなるでしょう。

 

「瞬間的な怒り」に気づき、速やかにクールダウンさせるスキルを習得し、またそもそも怒りを生じさせにくい環境を構築することで、感情に左右されることのない安定した精神の土台を獲得し、これまで蓄積してきた、より高度なコミュニケーションスキル、ビジネススキルを存分に活用していきましょう。

執筆者紹介

F太 宮城県出身。公認会計士の勉強中に始めたTwitterで、心をふぅっと楽にする言葉や情報を発信し続け、なぜか「フォローしとくと運が良くなる」と話題に。現在メインアカウント「F太」のフォロワーが約10万人。厳選したツイートのみ発信するbotアカウント「ひらめきメモ」のフォロワーが約24万人。2015年5月に初の単行本『明日ちょっと運が良くなる、思考のメモ』を出版。

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