自然体で仕事する処世術
そろそろ部下や後輩を持つ方も必見!慕われるリーダーに必要な「あきらめる勇気」とは?
2017.02.20

以前、Twitterで「尊敬できる上司や先輩」についてアンケートをとらせていただきました。その中で多かったのが下記のような回答です。
・言動に一貫性がある
・仕事に熱心
・感情で物事を言わない
・話をしっかり聞いてくれる
・いざというときに守ってくれる
一方で、上司や先輩に対しストレスを感じる点についての回答としては
1位:指示方法に問題がある(17件)
2位:業務態度に問題がある(15件)
3位:感情的な態度をとられる(14件)
4位:こちらの話を聞いてくれない(13件)
5位:自衛的態度が目立つ(虚勢をはる、自慢が多い、自己保身)(10件)
という結果となりました。
このランキングについては、以前寄稿させて頂いたこちらの記事で詳しく扱っています(上司に感じるストレス第1位「指示が曖昧」への、上司/部下それぞれの対処法は?)。
「理想のリーダー」としてやるべきことは、痛いほどわかっているんだけど…
記事を読み進めてくださっている方のほとんどは、仕事に対し真面目で熱心で、「こんな上司になるつもりはない!」「部下の前で感情的になってはいけないとか、部下の話をしっかりと聞く必要があるなんてことは、もう十分すぎるほど理解している!」という方ばかりではないかと思います。
その上で、「しかし正直なところ、実際に自分が上に立ったら、そのようなリーダーとして振る舞えるか不安だ」と感じている方や、「理想のリーダーとしてあるべき姿は理解していても、現実問題、実践するのは難しい」と悩んでおられる現リーダー、管理職の方、そしてそういった理想のリーダーを育成するためにはどうしたら良いだろうかと悩む人事担当の方も多いのではないでしょうか。
なぜ、知っていることをいざ実践するのが、こんなにも難しいのでしょうか?
余裕を確保する、究極の方法
その原因は、実は至ってシンプル。「実践する余裕をもてない」からです。
「理想の上司として振る舞おう!」と意気込んでも、それを業務時間中、常に意識し続けるためには相当な注意力が必要です。まして、やるべきことが多すぎて把握しきれていないという不安、時間に追われる焦燥感、成果に対するプレッシャーなど、様々な理由で「心の余裕」が持てない中、自分を変えるための「意気込み」に注意を向け続けるのは、ほぼ不可能です。
そもそも心に余裕があるリーダーは、それだけで振る舞いが自然体で、部下に対して無用なプレッシャーを与えることがなく、親しみやすい、信頼できる、といった評価が得られることも多いはず。余裕があるから部下の話にしっかり耳を傾けられるし、細かい配慮が出来るし、多少のミスに動じることなく冷静に対処して、それが一層部下からの信頼獲得につながる、という好循環の中にいます。
とはいえ、役職についたばかりでまだ仕事に慣れるのに精一杯だったり、時間的にも精神的にも余裕が持てない状況だったりする場合に、どうやってその「心の余裕」を確保したらいいのでしょうか?
あきらめる勇気
時間的、精神的余裕がない中で、それでも何とか、心の余裕を確保するための究極の方法は、「多くの大切な心掛けをあきらめる」ことです。
逆説的ですが、部下に評価される上司になるためには、まず「部下(他人)からの評価を気にする」ことを一旦辞める必要があるのです。
「自分は一体、部下や後輩にどう思われているのだろう」という思いは、誰しも多かれ少なかれ持っている興味関心です。しかし同時にこれは、最も役に立たない雑念でもあります。
あなたが従業員ならば、会社とは「求められる成果を生み、対価を得る」ための場所。成果こそが最も重要で、社内での評価はあくまで副次的なもの。決して「周りによく思われるため」に仕事をしているのではないということは覚えておく必要があります。
しかしリーダー的なポジションになると、メインの仕事以外にも、他チーム、他部署との調整、そして部下とのコミュニケーションなど、気にかけるべき要素が多すぎて、どうしても注意が分散しがちです。結果、大して「成果」に結びつかないような社内調整に時間と労力を奪われ、思うように成果が伸びずに余裕を失っていく……ということが起きやすいのです。
リーダーとして求められる「成果」とは何なのかを明確にする
全てが無駄だとは言わないまでも、リーダーとして注意を向けるべき点が多すぎる、と感じているならば、「そもそも自分がリーダーとして求められている成果とは何なのか」を一度考え直してみるのがオススメです。
それがわかったら、少なくとも1カ月間、その成果を最大化することにのみ、集中してみてください。様々なタスクや会議、人間関係に対して「これは成果に直結するかどうか」という視点で優先順位をつけていきます。
そして成果に直結しない雑務や会議、人間関係は、勇気をもって無視するか、人に任せるか、とにかく思い切り優先度を下げます。ここで勇気を出して「やらない」と決められなくても、今までほど力を入れず、むしろ力を温存するくらいの心持ちで臨むことがポイントです。
ちなみに優先順位を多少間違っていたとしても、それはさほど問題ではありません。なぜなら、ここで大切なのは「最優先すると決めたこと以外をあきらめること」だからです。
このように、大きなテーマをひとつ設定し、そこに注意を向け続けることによって、効率的に「無駄な努力」を削ぎ落としていくことができるわけです。
管理職として細やかな配慮が必要であることは重々承知しています。しかし、どれも重要だからこそ、敢えて捨てないと逆に注意散漫になってしまいます。定期的に注意を向けるべき対象を「デトックス」することが必要なのです。そんなデトックスが自然に行えるこの方法は、真面目で何でも大切にしてしまう、やさしいリーダーにこそ、是非使って頂きたいスキルです。
なぜ頑張らないほうがうまくいくのか。
最近のいわゆる自己啓発本には、「頑張るのをやめよう」「自然体でいこう」といった内容のものが多いように思います。
これは努力するなという意味ではなく、「必要のない努力や頑張りをやめられなくて苦しんでいるなら、それを一旦やめる勇気を持とう」「そして身軽になった上で、今のあなたが本当に大切だと思うことを、もう一度選び直そう」という意味だと、私は解釈しています。
定期的に「今の自分が求められていることは何か」を見直し、無駄な努力を削ぎ落とすことで、頑張らず、自然体で成果を出せる環境を整えていきましょう。
執筆者紹介

F太 宮城県出身。公認会計士の勉強中に始めたTwitterで、心をふぅっと楽にする言葉や情報を発信し続け、なぜか「フォローしとくと運が良くなる」と話題に。現在メインアカウント「F太」のフォロワーが約10万人。厳選したツイートのみ発信するbotアカウント「ひらめきメモ」のフォロワーが約24万人。2015年5月に初の単行本『明日ちょっと運が良くなる、思考のメモ』を出版。
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