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@人事ニュース解説ぷらすvol.4


50歳以上ITエンジニアの市場ニーズの高まりから「2025年の崖」問題 を考える

2025.04.17

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リクルートが先日発表した、50歳以上のITエンジニアの転職動向によると、50 歳以上のITエンジニアの転職者数は2019年の4.3倍に増えている。理由の一つとして挙げられるのは「2025年の崖」と呼ばれる問題だ。「2025年の崖」について、人事担当者と経営者に向けた課題と解決方法についてまとめた。

目次

増える50歳以上のITエンジニアの転職。5年で4.3倍に

50 歳以上のITエンジニアの転職が加速している。『リクルートエージェント』における50歳以上のITエンジニア職(SE、インターネット専門職、組込・制御ソフトウエア開発エンジニア)の転職者数は2019年を1 とすると2024年は4.3倍に増えている。

50 歳以上のITエンジニアの転職者数は2019年の4.3倍 (。『リクルートエージェント』における50歳以上のITエンジニア職の推移|@人事ONLINE

50歳以上のITエンジニアで転職時に1割以上賃金が上昇した転職者の割合は20.8%

50歳以上のITエンジニアで、転職時に賃金が1割以上アップした転職者の割合は2019年には12.9%だったのに対し、2024年には20.8%まで増加。労働市場全体でIT人材が不足している中でIT人材の賃金は上昇傾向にあるが、50歳以上でも同様の傾向が見られることが分かった。

50歳以上のITエンジニアで転職時に1割以上賃金が上昇した転職者の割合は20.8%(『リクルートエージェント』における50歳以上のITエンジニア職の推移|@人事ONLINE

出所:プレスリリース「50歳以上のITエンジニアの転職が5年で4.3倍に 背景には『2025年の崖』問題 老朽化したシステムの維持・刷新に不可欠な人材の需要が高まる」(株式会社リクルート)より

50歳以上のITエンジニアの転職が増えている主な理由

「2025年の崖」問題とIT人材不足

経済産業省が2018年に指摘した「2025年の崖」問題が大きな要因です。日本企業の基幹システムの老朽化や複雑化によって、2025年までに最大43万人のIT人材不足が発生する可能性があり、システム刷新や維持のために経験豊富なエンジニアの需要が急増しています。特にCOBOLなどのレガシー技術や基幹系システムの知識を持つ50歳以上のエンジニアは、今なお不可欠な存在です。

少子高齢化と若手人材の減少

少子高齢化の進行により、若手IT人材の供給が減少しています。そのため、企業は即戦力となるミドル・シニア層の採用を積極的に進めています。

豊富な経験・専門性の評価

長年の現場経験やマネジメント能力、レガシーシステムの知見など、50歳以上のエンジニアが持つスキルやノウハウが高く評価されています。新卒や若手だけでは補えない専門性や現場対応力が求められているためです。

法改正による雇用確保の義務化

2025年4月から高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保が義務化されるため、企業の採用戦略もミドル・シニア層重視にシフトしています。

年収アップなど待遇面の改善

IT人材全体の需給が逼迫しているため、50歳以上でも転職時に賃金が1割以上アップするケースが増えています。2019年には12.9%だったのが2024年には20.8%まで上昇しており、待遇改善も転職増加の一因です。

リモートワーク普及による働きやすさ向上

リモートワークの普及により、体力面での不安が軽減され、年齢に関係なく働きやすい環境が整ってきたことも、転職増加を後押ししています。


50歳以上のITエンジニアの転職が増えているのは、「2025年の崖」問題による人材需要の高まり、少子高齢化による若手不足、経験・専門性の評価、法改正による雇用確保、待遇改善、リモートワーク普及など、複数の社会的・経済的要因が重なっているためです。今後もこの傾向は続くと予想されます。

参照:
50歳以上のITエンジニアの転職が5年で4.3倍に 背景には「2025年の崖」問題 老朽化したシステムの維持・刷新に不可欠な人材の需要が高まる|リクルート
50代エンジニアの需要が高まっていく理由|生涯必要とされ続けるキャリアの築き方のポイントとは|パーソルテクノロジー
増加中?50代のIT業界の転職とは 未経験や人数の推移、最近の傾向を解説|パーソル クロステクノロジー
【50代・60代】ミドル・シニア層エンジニアの転職市場における市場価値と求人動向について|IDH
50代エンジニアの現状とは。働き方や転職で求められること3選を紹介|DMM WEBCAMP

2025年の崖問題とは具体的に何が問題なのか

「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で指摘された、日本企業が直面するITシステムの老朽化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の遅れによって、2025年以降に大きな経済的損失が発生する危機を指します

問題1:レガシーシステムの老朽化・複雑化

多くの企業で基幹業務システム(レガシーシステム)が長年使われ続け、老朽化・複雑化・ブラックボックス化しています。これにより、システムの保守や改修が困難になり、全社横断的なデータ活用や新たなデジタル技術の導入が妨げられています

問題2:IT人材不足の深刻化

システムを維持・刷新できるIT人材が不足し、2025年までに約43万人のIT人材が不足すると予測されています。特にレガシーシステムを扱える人材は高齢化し、退職が進むことでノウハウの継承が困難になります。

問題3:DX(デジタル変革)の遅れ

DXが進まないことで、企業の業務効率や競争力が低下し、グローバル市場での競争に敗れるリスクが高まりま

問題4:経済損失の拡大

これらの問題が放置されると、2025年以降、年間で最大12兆円もの経済損失が発生すると試算されています。これは現在の約3倍にあたる損失規模です

問題5:システム維持管理費の高騰

老朽化したシステムを維持するためのコストが膨大になり、新規投資や成長戦略への資金が圧迫されます


「2025年の崖」問題は、レガシーシステムの老朽化とIT人材不足、DXの遅れが重なり、企業の競争力低下や巨額の経済損失を引き起こすリスクがある点が最大の懸念です。これを回避するためには、システム刷新やDX推進、人材育成・確保などの抜本的な対策が急務とされています。

参照:
2025年の崖とは?定義や問題点・必要な対策をわかりやすく解説|パーソルグループ
2025年の崖とは?経産省レポートが示す問題点や対策方法を解説|三井住友銀行
経済産業省の「2025年の崖」について分かりやすく解説|日立ソリューションズ・クリエイト
2025年の崖とは?現状の課題や対策を徹底解説|NTTドコモビジネス

経営者・人事担当者が直面する主な課題

1. 人材不足とノウハウの喪失

団塊世代の大量退職により、企業は貴重なノウハウを失うリスクに直面しています。特に、製造業や物流業などの現場作業を支えてきたベテラン層の離職によって、技術継承が困難になると指摘されています。 ​

2. IT人材の不足

レガシーシステムの維持・運用には特定のスキルを持つIT人材が必要ですが、その確保が難しくなっています。特に、COBOLなどの旧式言語を扱える技術者の確保が困難です。

3. 経営層の認識不足

経営陣がDXの重要性やレガシーシステムのリスクを十分に理解しておらず、システム刷新への投資が後回しにされるケースが多く見られます。

対応策と推奨される取り組み

1. 経営層の意識改革

DXの重要性を理解し、積極的な投資とリーダーシップを発揮することが求められます。​

2. DX推進体制の構築

専任のDX推進部門を設置し、全社的な取り組みを促進します。​

3. IT人材の育成と確保

最新技術に対応できる人材の育成や採用を強化します。​

4. システムの刷新と標準化

レガシーシステムの見直しを行い、クラウド化やモダナイゼーションを進めます。​

5. ベンダーとの関係見直し

契約内容や依存度を再評価し、柔軟なシステム運用を可能にします。

まとめ

「2025年の崖」は、単なるITの問題ではなく、企業の競争力や持続可能性に直結する重要な課題です。早急な対応と全社的な取り組みが求められます。

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