失業経験あり人事コンサルによる直球コラム
転職回数の多い応募者を採用する? 見極めるポイントと定着化のコツ
2015.07.08
戦力となる応募者を見極めるポイントとは…?
転職回数が多い応募者は、従来では無条件で敬遠すべきとされてきました。なぜかというと、日本企業は新卒からのたたき上げの人材を好み、その価値観は長く勤めることこそ企業にとってありがたい人材であるとの固定観念からです。
それに対して転職回数の多い人材は、自社でも定着せず、戦力になる前に辞めてしまうのではないかと考えられてきました。
つまり仕事について、明確なキャリアビジョンをもたず、少し嫌なことがあるとあきらめてしまう人物であると推測されていたのです。
しかし、昨今の雇用情勢の変化から、転職回数の多い応募者でも自社に定着し、貴重な戦力となる例も多く見られるようになりました。それでは、戦力となる応募者を見極めるポイントはどこにあるのでしょうか。また、自社の社風に馴染んで定着してもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。
面接時に厳しく追求すべき
まず、最大の不安である早く辞めてしまうのではないかという点について、面接の質問で厳しく追及しましょう。
「なぜ前職(前前職)を辞めたのですか?」という質問から始めて、退職理由が採用する企業側でも納得がいくものであるか。そして会社は違えど、やってきた職務内容に一貫性があるものであるかを、しっかり確認しましょう。
納得できる理由なく、職を転々と変える人は、やはり自社では続きませんし、職務に一貫性が無い人は、採用しても戦力にならないケースが非常に多くなります。
また上司や同僚との人間関係がうまくいかなかった人も要注意です。場合によってはストレス耐性が低い、キレやすい人物と判断できることもあります。転職に至ったストーリーが明確で、社会人経験の中でキャリア蓄積に関するビジョンが納得できる場合のみ、採用するべきです。
採用後は研修などでフォロー
では採用後はどのように「転職回数の多い中途採用者(以下中途採用者)」に接するべきなのでしょうか。中途採用者は多くの会社を見てきており、一番嫌うことは、ろくに会社のことを教えもせずに現場に投入されて、孤独感を味わうという点です。
特にキャリアビジョンが明確になっている人物ほど、会社を見る目も厳しく、すぐに自分のキャリアビジョンにあった会社に転職してしまう可能性も否定できません。入社後すぐに教育研修を行い、しっかりと自社の社風について研修で教えられる部分は教えるべきなのです。
「面談」を実施し中途者への配慮を
しかし研修だけではどうしても社風に「慣れる」というまでには至りません。そこで有効なのが、面談です。社風に完全に溶け込むまで、継続的に経営者や人事が面談し、「困っていることや戸惑っていることがないか」について質問し、相談を受け付け、中途採用者が「会社から配慮されている」と感じれば、面談は成功といえるでしょう。
潜在戦力を「顕在戦力」にするために
このように、転職回数が多い人は面接でも採用後に特別の配慮が必要になるのです。なぜ新参者に配慮しなければならないのかと考える方もいらっしゃると思いますが、潜在戦力を顕在戦力として成り立たせるためには会社側の努力が必要なのです。
執筆者紹介
田中 顕(たなか・けん)(人事コンサルタント) 大学を卒業後、医療系人材派遣会社・広告代理店で人事を担当したのち、密着型人事コンサルティング団体「人事総合研究所」を設立。代表兼主任研究員として、労務相談受付・課題解決に取り組む。得意分野は採用・法務・労務・人事全般の問題解決等、多岐にわたる。
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