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コラム

失業経験アリ人事コンサルによる直球コラム


にわかに広がる「退職代行サービス」。人事がとるべき対策とは?

2018.11.19

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「○月○日付けで貴社を退職いたします」といった連絡が退職代行サービス会社からきて、人事としてどうしたらよいか、途方に暮れるケースが近年増加しています。

突然現れた、この退職代行サービス。具体的にはどのようなサービスなのでしょうか。また代理人から退職の意思を伝えられることは、法的に問題は無いのでしょうか。

参考記事:本人の代わりに退職を交渉 利用者増加中の「退職代行サービス」とは?

目次
  1. ある日突然「退職代行サービス会社」から連絡が…
  2. いまなぜ退職代行サービスが必要とされているのか
  3. 普段から社員に相談してもらえる人事でいること
  4. 社員が退職を考えた原因と向き合う
  5. 退職代行サービスを利用されない組織を作る

ある日突然「退職代行サービス会社」から連絡が…

退職代行サービスを行っている会社は、Webサイトでターゲットに向けてこう呼びかけています。

「もう明日から会社に行く必要はありません。」

「自分から退職を言い出せない方の退職業務を代行します」

「退職の意思表示をしても会社が辞めさせてくれない場合、代わりに交渉をします」

このサービスは、退職者と退職代行会社との間で行われる面談から始まります。その場では、「すぐに退職対応してほしい」、「上司ともう連絡をとりたくない」、「離職票は送ってほしい」、「退職金の金額交渉をしてほしい」など退職者の要望を業者がヒアリングします。

そして、退職者に正式に依頼されると、会社に退職代行会社から直接連絡がいきます。ここで人事担当者は面食らって、「退職の代行? なんだそれは?」とパニックになるのです。「本人以外からの退職の意思表示は無効だ!」、「弁護士以外が法的代理行為を行っている非弁行為ではないか?」と突っぱねても、業者の中には弁護士がバックについていたり、弁護士自身がサービスを展開しているケースもあり、決して侮れません。

いまなぜ退職代行サービスが必要とされているのか

このようなサービスが流行りはじめた背景には、人手不足により近年増加したと思われる、企業の強引な引き止めがあります。社員が退職を希望しているにもかかわらす、会社が法的根拠もなく退職願の受領を拒否するケースも見受けられます。

会社が例え強引な引き止めをしなくても、社員の中にはすでに転職が決定していたり、会社を辞めたいのにそれを言い出すことができない退職希望者が多くいるのが現実なのです。

本音を言えば、例え退職することになってもできるだけ円満に去ってほしいと多くの会社は考えているでしょう。そのためにも、社員がこのようなサービスを使って退職を考える前に、いろいろと社内整備をする必要があります。人事としてどのような対策が必要になるのでしょうか。

 

普段から社員に相談してもらえる人事でいること

まずは、社員が退職を考えるに至った原因の解決に努めることが大切です。

注意したいのは、退職の意思表示をする場合は代表者や直属の上司に直接申し出ることが規定されていたり、慣例化している場合です。特に、仕事や会社に不満があって退職を考えているケースは、上長に相談することなく早々に決断して、退職代行サービスを利用するケースが多いです。

こうして貴重な人材を失う前に、人事担当者はまずは親身に相談にのり、会社に関するネガティブな気持ちや不安を受け止めてあげることが重要です。その上で、社員に会社としてどうやって退職を引き止めるつもりなのかを具体的に伝えることも欠かせません。

そのために普段から人事担当者が心がけることは、「気軽に何でも相談にのる」、「公平公正である」、「秘密は厳守する」、「的確な回答で解決に導く」といった地道なことの積み重ねでしょう。それがやがて、会社のことはすべて人事部門に相談すれば、解決するという信頼につながるのです。

退職代行サービスを求める人の根底に流れているのは、上司も信頼できない、人事も信頼できないという会社への不信感であることを忘れてはいけません。

社員が退職を考えた原因と向き合う

退職に関するプロセスを明確にすることも重要です。よく入社手続きには力を入れて取り組むのに、円満な退職に導く仕組み作りを軽視している企業があります。

「退職代行サービス」の利用を就業規則で禁止しても、何の解決にもなりません。例え規定を「退職するときはかならず労働者本人が申し出なければならない」としても、労働契約の解消における法的根拠が、民法規定の2週間前に通告という条文しか無い以上、就業規則で縛っても法的効果はありません。退職代行サービスもそのあたりを熟知しており、会社が何を言っても、法的にその縛りは無効であると突っぱねられるのが関の山です。

退職代行サービスを最後の砦として利用されないためには、制約を設けて退職を防止したりせずに、退職を考えた背景と向き合いことが大切で、会社の体制作りにこそ目を向けるべきなのではないでしょうか。

退職代行サービスを利用されない組織を作る

乱暴な言い方をすれば、退職代行サービスの餌食になるのは、会社の風土が「退職者が出ると上司の評価を下げる」、「そのためには強引な引き止めもやむを得ない」という風潮にあるといっても過言ではありません。

退職の原因が「上司」にあるのなら、別の部署への異動なども検討できたはずですし、収入にあるなら、給与水準が果たして適切だったのかを見直す事ができるはずです。社員は、一人ひとり個性があります。「性格的に退職が言い出しづらい」、「申し出るのさえ面倒」という人にも、かならず会社が相談にのって社員を守るという姿勢を示すことが必要なのです。

自社の社員が退職代行サービスを利用することがないような組織づくりことこそが、重要なのではないでしょうか。

【編集部より】
社員の離職率対策に関する記事はこちら

執筆者紹介

田中 顕(たなか・けん)(人事コンサルタント) 大学を卒業後、医療系人材派遣会社・広告代理店で人事を担当したのち、密着型人事コンサルティング団体「人事総合研究所」を設立。代表兼主任研究員として、労務相談受付・課題解決に取り組む。得意分野は採用・法務・労務・人事全般の問題解決等、多岐にわたる。

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