話題の「炎上防災訓練」のお話です
有名人来店をツイートしたら、ウチの社員がSNS炎上で会社をクビに
2019.07.05
従業員の不適切なSNS投稿による“炎上事件”が後を絶ちません。「またか」とあきれて見ていられるのも今のうち。たとえ名だたる大企業であっても、たった一人のSNS炎上がきっかけで社会的信用を失い、業績に大ダメージを与えることも少なくないのです。
そんな悲劇を起こさないためにも、従業員への教育はしっかりしておきたいもの。今回は、そのネーミングでも話題になったリリーフサイン(東京・港)の研修プログラムの一つ、e-learning「働くひとのための炎上防災訓練」を@人事の営業メンバー3人が体験してみました。炎上当事者、いわゆる“バカッター”の末路をご覧ください。押さえるべき炎上予防策をしていない会社は、タイヘンなことになりますよ!
【取材日:2019年6月19日、編集:@人事編集部 飯塚陽子】
お店にメダリストが来店! その時あなたは?
大手寿司チェーン店のバイト店員がゴミ箱に入れた魚を拾う動画がSNSで拡散、大手コンビニで店員がおでんを口に入れて吐き出す動画を投稿して炎上……。「バイトテロ」とも言われるこれらのSNS被害に対して、企業も対策を打ち出さなければいけない時代になりました。
昨年8月にリリースされ、受講者数が2万人を突破したe-learning「働くひとのための炎上防災訓練」は、どのような“訓練”なのでしょうか。今回、体験したのは、バイトを含めて接客経験の豊富な@人事営業チームの3人です。
20代男性
居酒屋でのバイト4年、大手家具メーカーで接客経験1年
小林さん
20代女性
飲食店でのバイト7年、アパレルでの接客経験3年
石原さん
30代男性
飲食チェーン店の厨房・接客、携帯会社での接客経験合わせて10年以上
それぞれ個人のスマホで体験したのは、こんなシチュエーションでした。
①勤務する店に、有名人が来店
「あなたの勤務するスポーツウェア店に、有名メダリストが来店。閉店まであと10分という時間帯に、あわただしく店内の商品をチェックしたが、何も買わないで出て行った。」
②こっそり撮影してついこんな投稿をしてしまう
途中には「こんな時どうするか?」などの設問が表示され、選択した回答によってシナリオが分岐します。
さあ、ここからどうなるのか。柴田さんの展開をみてみましょう。
恐ろしいスピードで名前が特定されてしまう
スマホには心の声や行動が次々と表示され、SNSの投稿を模した画面が展開されます。
③「また来店したら実況中継しよう。フォロワーが増えるかも」と思ってしまい、次の来店時には動画投稿をしてしまう
④数分後から続々とリツイート通知、フォロワー数が拡大する
SNS通知が止まらず、このあたりから不穏な空気が流れ出します。
⑤ついにSNS上で名前が特定されてしまう。友人からは「名前出ているよ」と連絡が
体験者からは「ヤバッ」「こわい!」と声が上がります。
「お店と本社に通報しました」
「人生オワタな」
「本人特定したので、晒しときます。柴田大輔です!」
「消したって無駄」
「訴えられるね」
自身の名前が上がり、中傷するコメントが並びます。
部長からの通告、そして失職
そしていよいよ、恐れていた事態に発展します。
⑥部長から連絡が入る
小林さんにも部長から連絡が届いたようです。
小林さんは「あ~……」と固まっていました。最終的に、3人とも職を失うという結果に。
=有名人来店をツイートした結果=
★失職する
★ネット上には自分の名前を検索するとこの件が上位に出てくるようになる
★街を歩いていても、「社会に迷惑をかけた人間」として見られているようで、頭を上げて歩けなくなる
やっちゃった感がハンパないですね……。
本当にこわいのは、ネットに一生残ること
訓練を終えてしばらく放心状態だった3人に感想を聞きました。
石原さん「実害が出てきたときに、ずしりときました。部長から連絡きて辞めないといけないとか」
柴田さん「自分の名前が特定された瞬間が一番こわかった」
小林さん「会社を辞めることより、ネットにずっと『炎上した人間』として自分の名前が残ると思うとつらいです」
4人の子どもがいる石原さんは、家族の姿が浮かんだのか、やはり「失職」がダメージに。一方で20代の2人は「ダメージは仕事よりもネットに残ること」と、自分の身に置き換えて語りました。柴田さんは「もし学生の立場なら、一生つきまとって人生に影響が出るのではないか、という怖さがありそう」と言います。
想像力が欠けているから投稿してしまう?
SNSでの炎上では、個人が何気なく投稿した内容であることが多いと言われています。なぜ、これほど報道されても、“バカッター”が減らないのでしょうか。
石原さん「お客さんには見せられない裏側ってどこの飲食店にもある。勤務が長ければ長いほど、感覚がマヒしてしまうんでしょうね」
小林さん「友人の知り合いには、離婚調停の話や、反社会的とも思える行為を平気でSNSで上げている人がいます。そういうタイプの人は、こういったプログラム体験で初めて想像ができるのかもしれない」
柴田さん「大きなチェーン店だと自分一人の行動がそこまで会社の不利益になると考えられる人は少ない。また、僕らより若い人はSNSに対する感覚がもっと違うんだろうなと思います。You Tuberという派手な行動で注目を集める存在が身近になっていることもあるかもしれません」
ビジネスで活動しているYou Tuberは、基本的に施設に許可をとって撮影している(と信じている)のに対して、それを若者は個人の「遊び」と捉えてしまいがち。You Tuberのように注目を浴びたい!という承認欲求が、若い世代を駆り立てるのでしょうか。
若者だけの問題と思っている中年も危ない!
株式会社リリーフサインは、この他にも企業向けのワークショップ型の炎上対応研修「炎上防災訓練」や、SNS投稿を収集・チェックするソーシャルモニタリングツール「e-mining」、SNS上の風評被害や炎上を察知して知らせる「炎上アラート」など、SNS全盛時代ならではの多くの「炎上対策」サービスを提供しています。
今回体験した従業員向けの研修について、考案者でリリーフサイン代表の四家章裕さんは「不用意な行動によって不幸な未来をもたらさぬよう、いかに『自分ゴト』化していただくかを念頭に作りました。この訓練でできるだけ嫌な思いをしていただくことで、その行動の結果、仕事を辞めるだけではなく自分がどのような末路を迎えるのかをしっかりとご理解いただきたい」と解説します。
同社によると、飲食業界だけではなく意外にも大手商社や派遣会社からの需要が高いとのこと。また、炎上は若者だけではなく、ネットリテラシーの低い中年層の例も少なくないと言います。
中年層の場合は、炎上の性質は若者層とは少し異なります。自身が当然だと思っている持論を何気なくつぶやいたところ、一般的な認識との乖離が激しく炎上してしまうケースも。政治家たちが不用意な発言をして炎上するのも理由は同じ。自分の感覚が世の中からズレていることに気付かない発言が、往々にして火種になるのです。
どの世代にも共通しているのが、「投稿後の影響を想像できない」ということ。この記事を読んでも「まさか自分が」「10代だけでしょ」と、まだ「自分ゴト化」できていない人は、まずは疑似体験で炎上を。縮み上がるがよい。
企業情報
株式会社リリーフサイン
・事業内容:SNSリスク対策の総合サービスの提供
・所在地:〒106-0031 東京都港区西麻布1-8-12 MPG西麻布ビル
・設立:2018年12月(マザーズ上場「株式会社ホットリンク」より分社化・独立)
・HP:http://www.enjoubousai.com/
【編集部より】
SNS炎上対策に関する記事はこちら
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
企画
Z世代の社員マネジメントの未来を探る 後編
Z世代が組織に長期的に貢献するためのアプローチ
現代の職場では、Z世代の社員をいかにマネジメントし、彼らのモチベーションを維持し続けるかが重要な課題の1つとなった。Z世代は、個人の価値観や成長を強く意識する傾向があり、組織の中で...
2024.11.19
-
企画
Z世代の社員マネジメントの未来を探る 前編
個人人格と組織人格のバランスと尊重
1990年代半ばから2010年代前半に生まれたZ世代は、従来の世代とは異なる価値観や働き方を持つことから、職場において新たなマネジメント課題を生み出している。特に、彼らは個人の価値...
2024.11.19
-
企画
中小企業の働き方改革実践
「早上がり制度」で1,000時間削減・生産性向上を実現。ハタメタルワークスの働き方改革とは?
働き方改革の一環として、長時間労働の改善と生産性向上を両立させることは、中小企業にとって大きな課題である。今回、株式会社ハタメタルワークス(東大阪市)が導入した「早上がり制度」によ...
2024.10.04
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?