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2024年版日本における「働きがいのある会社」ランキングベスト100 記者発表会レポートvol.2


働きがいが「静かな退職」を防ぐ|荒川氏✕タイミー緒方氏トークセッション

2024.02.13

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株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan、以下GPTW Japan)(東京・港)は2月8日、「2024年版日本における『働きがいのある会社』ランキング」を発表した。
同日に開催された記者発表会では、同社代表取締役社長の荒川陽子氏が今回のランキングの傾向と、トレンドとなっている「静かな退職」について解説。
企業規模別の傾向や、前年からスコアが変動した設問から推察される企業の動きなどについて見解を述べたほか、「静かな退職」の概要や、日本の若手の間で広がりつつある背景や働きがいとの関連性などについて言及した。

>>>vol.1 2024年の働きがいはやや低下傾向。新たなトレンド「静かな退職」の関連性と対策とは?

Vol.2では、株式会社タイミー(東京・港)執行役員緒方仁暁氏【写真左】と荒川氏によるトークセッションの様子を紹介する。「静かな退職」の具体的な対策を考えるうえで、働きがいのある会社が普段行っている取り組みからヒントを探った。

目次
  1. 働き方の多様化がもたらした「静かな退職」
  2. タイミーの働きがいをつくるもの
    ・ミッション・ビジョン・バリューの重視
    ・従業員とのコミュニケーションのあり方
    ・制度としての取り組み
  3. チャレンジの機会づくりも重要
  4. 「静かな退職」が減った場合の影響
  5. タイミーの今後の取り組み

働き方の多様化がもたらした「静かな退職」

2024年版日本における「働きがいのある会社」 ランキングベスト100記者発表会講演資料(株式会社働きがいのある会社研究所)

「静かな退職」は、なぜ起きるのか。

荒川氏は、その要因を「働き方の多様化」と説明した。
これまで、日本の企業や社会では、新卒一括採用からの終身雇用、年功的な賃金制度などの慣行が続いたほか、特に男性の正社員が一生懸命働き、女性は専業主婦、といった画一的な働き方が普通だった。
そこから時代が変わり、さまざまな働き方が生まれていく中で、「プライベートを重視する。仕事以外の時間こそ人生において大事であり、仕事はある意味生きていくためのものであると考える人が増えている。そのように働き方における価値観が多様化している」(荒川氏)

緒方氏もこれに同意し、入社時や転職時には期待しているもの、熱狂したいと思っているものがあったのに、それが少しずつ失われて、違うものを求めるようになっている可能性を指摘。企業としてはそういった前提も踏まえ、一方で当初の熱狂の渦を作り続けた方が良いのではないかと述べた。

2024年版日本における「働きがいのある会社」 ランキングベスト100記者発表会講演資料(株式会社働きがいのある会社研究所)

タイミーの働きがいをつくるもの

2024年版日本における「働きがいのある会社」 ランキングベスト100記者発表会講演資料(株式会社働きがいのある会社研究所)

次に、荒川氏から今回ランクインしたタイミーの結果が紹介された。

「働きがい」について認定企業の平均が76%のところ、タイミーは91%と、従業員のほとんどが「働きがいがある」と感じていることを指摘。
この点を「静かな退職」に絡め、貢献意欲の高さに注目する。「静かな退職」を選ぶ人は貢献意欲が少ない働き方をしており、積極的、主体的に仕事にコミットしない傾向があるが、タイミーの結果はそれと対局にある。ではその貢献意欲の高い人材をどのように作っているのか。

ミッション・ビジョン・バリューの重視

緒方氏によると、タイミーはミッション・ピジョン・バリューの共感を非常に大事にしているのが特徴であり、入社時からそこを最も重要視しているという。また、タイミーというサービスの可能性や、サービスが広がった時に自分がどんなことをやりたいのかという点を従業員にヒアリングして入社してもらっていることが大きいと語る。

採用時にどのように共感度合いを確認しているかという荒川氏の質問に対しては、新卒の採用や転職時の理由に、「ゆくゆくはこんな思いでこんなことをやっていきたい」「社会的に実はこんな課題を解決したい」といった思いを深くヒアリングすることが多いという。

一方、入社後のコミュニケーションについては、まずオープンなコミュニケーションを非常に大事にしているとする。Slackを導入し、組織ごとにチャンネルはあるものの、基本的にはほぼ全てをオープン化しているという。また、役員とのコミュニケーションが多くあること、スタンプコミュニケーションも重要視しているポイントの一つと語った。

2024年版日本における「働きがいのある会社」 ランキングベスト100記者発表会講演資料(株式会社働きがいのある会社研究所)

従業員とのコミュニケーションのあり方

次に、従業員とのコミュニケーションにおいて企業はどのようなことに気をつけていく必要があるかが議題となった。

荒川氏は、上司部下の信頼関係をどう作っていくかということが非常に重要と考える。
「静かな退職」も、自分が働いて頑張ったがメリットを得られないことが動機となる。つまりなかなか上司が認めてくれない、見てくれないという思いも見え隠れしているという。上司が部下の仕事ぶりを見て、その人の強みや今後のキャリアを踏まえた上で仕事をアサインする、なぜその仕事をアサインするかを丁寧に説明する、そのプロセスにおいてのフィードバックをするということを、部下の期待を超えてやっていくことが信頼関係をつくると指摘した。

緒方氏もこれに同意し、タイミーでも年に2回の評価において、目標を一緒になって設定すること、その目標の間のコミュニケーションを大事にすること、最後にフィードバックをするというサイクルを非常に重要視しており、今後最も強化したいサイクルの一つと考えている。

制度としての取り組み

社内での風土以外に制度として取り組んでいることについて、緒方氏はタイミーではバリューを中心とした制度が多く、評価もいわゆる成果、職能だけではなく、4つのバリューを軸としてそれがしっかりと体現できているかも評価に入れていると紹介。普段のコミュニケーションやフィードバックにおいても、バリューを軸に議論しているところが特徴的であるという。

また、表彰制度に力を入れており、四半期に1回、バリュー賞としてエピソードを集めて表彰し、共有しているところも大きな特徴である。さらに、バリューミープロジェクトという、バリューが浸透して体現することを目的としたプロジェクトも立ち上がっているという。

チャレンジの機会づくりも重要

株式会社働きがいのある会社研究所代表取締役社長の荒川陽子氏

GPTWの他の参加企業の事例についても、荒川氏から、ミッション・ビジョン・バリューにこだわっているランクイン企業が多いことが紹介された。また、制度的にはチャレンジする機会を意図的に埋め込んでいる企業が多いという。

日頃の上司との信頼関係や会社との信頼関係で背中を押してもらえるかどうかがチャレンジには重要であるが、いくつかの会社では若いうちから積極的に責任ある仕事をどんどん任せ、失敗に対しても非常に寛容で、再チャレンジの制度も持たせて社員の成長速度を高めている企業が増えてきている。

緒方氏も、チャンスを与えていって、そこからどれだけフォローができるかが重要であると同意する。また、役職を狙うだけではなく、日頃何にどれだけ貢献できるか、工夫したのかということを集計し、表彰することも重要と考える。

「静かな退職」が減った場合の影響

2024年版日本における「働きがいのある会社」 ランキングベスト100記者発表会

次に、前向きな取り組みの広がりによって「静かな退職」を選択する人が減った場合の影響が話題となった。

荒川氏は次のような考えを説明した。
「静かな退職」を選んでいる人は期待を超える働き方をしない、すなわち貢献欲も低く、自分がこの会社で成長するということを必要としていない。
したがって、働きがいのある職場を作っていけば貢献意欲のない人は減っていき、貢献意欲や期待を超える働き方、「ギフトワーク」と呼んでいるものが増え、お互いの信頼関係が豊かになっていく。
静かな退職を選んでいる人はそういう会社からは出ていくし、ギフトワークにあふれたお互いの期待を超え合うような会社が増えていくと、積極的な行動が起きた結果、それが組織のパフォーマンスに跳ね返って業績につながっていく。
よって、「静かな退職」を減らし、これ以上増やさないためにも、働きがいのある会社を作っていくことが非常に理にかなっており、企業としても業績が上がる。

緒方氏も、「静かな退職」を選ぶ人が減った結果、本来の本質的な仕事を意識の高い熱狂を持った人たちだけででき、自然とそういった職場自体売り上げも上がり、積極的な貢献度も上がるのではないかと同意した。

タイミーの今後の取り組み

株式会社タイミー執行役員緒方仁暁氏

緒方氏は、今回初参加となったランキングを体験して、さらに上位を目指していきたいと語った。

今後取り組みたいこととして、1つ目には、会社の規模が急激に拡大しているため、これから制度などを整えていきたいという。平均年齢が30歳、29歳前後のため、ライフステージが変わる人が非常に多く、整っていない制度などについても大胆な施策を打ちながら、長期で働きやすい環境を作っていきたい。
2つ目として、最近ではやりがいとともに成長も求めている傾向が強いと感じており、若い会社ながらここはしっかりとキープしていきたい、最大限に力を発揮できる環境を作りたいと考え、成長機会を充実させていきたいとする。
最後に、タイミーらしさを忘れてはいけない、カルチャーをさらに深くしていきたいという。

荒川氏はこれを受け、各社とも働きやすさに投資をして柔軟な多様な働き方を受け入れる土台を作っているものの、やりがいを高めていくことが難しい。ランクインしている企業とそうでない企業の違いとして、やりがいに非常に大きく差が出ているのが現状だとする。
働きがいは企業規模の上昇とともに下がる傾向があるため、バリューやカルチャーを大事にし、求心力を持ちながら中間の管理職を巻き込み、上下の信頼関係をつくっていく難しさに対し、ぜひチャレンジし、そのエピソードを成功事例として教えてほしいと述べた。【おわり】


vol.1 2024年の働きがいはやや低下傾向。新たなトレンド「静かな退職」の関連性と対策とは?
2024年版「働きがいのある会社」ランキング 1位にシスコシステムズ(大規模)、コンカー(中規模)、あつまる(小規模)

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