【2024年版】正社員のワークライフ・インテグレーション調査(株式会社マイナビ)
働く上での本音が導きだした課題。20-50代正社員の約5割が「静かな退職をしている」と実感。
2024.02.13
マイナビ(東京・千代田)は2月8日、20~59歳の正社員を対象に実施した「正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績) 」の結果を発表した。「ワークライフ・インテグレーション」とは、「仕事」と「私生活」を、人生の構成要素として統合的にとらえて両方とも充実させ、人生を相乗的に豊かにしていくという考え方。
同調査では、やりがいやキャリアアップは求めずに、決められた仕事を淡々とこなす「静かな退職(Quiet Quitting)」に着目。調査結果によると、「静かな退職をしている」と感じている人は約5割。「私生活」と「仕事」の充実度が関係していると感じる人は7割だった。また、仕事と私生活どちらも充実している人は職場の柔軟性が高い傾向があり、特に「仕事での裁量権」や「服装」「時間」の項目で差が出る結果になった。以下、リリースより
関連記事:働きがいが「静かな退職」を防ぐ|荒川氏✕タイミー緒方氏トークセッション
「静かな退職(Quiet Quitting)をしている」と感じている人は約5割。「私生活」と「仕事」の充実度が関係していると感じる人は7割【図1、2、3】
20-50代の正社員に対し、働くホンネについて聞くと「できることなら働きたくない」と感じている合計が56.9%となった。次に「静かな退職※をしている」と感じるか聞いたところ、計48.2%がそう感じると回答した。「仕事と私生活の充実の関係性」について聞いたところ、「私生活の充実」が「仕事の充実」につながっている」が20.4%、「仕事の充実」が「私生活の充実」につながっている」が12.4%、「相互に影響しあっている」が37.2%となり、合計70.0%が「私生活と仕事の充実」に関係性があると回答した。【図1、2】
※静かな退職(Quiet Quitting)とは、やりがいやキャリアアップは求めずに、決められた仕事を淡々とこなすことを指す。近年のワークライフバランスを重視する動きが加速化したことによって、この働き方が増え、注目されている。
【図1】
【図2】
仕事と私生活の関係性について、具体的なエピソードを聞くと、関係があると感じる人は「ライブなど何かプライベートで楽しみにしていることがあると仕事のモチベーションも上がるから(20代男性)」など、私生活と仕事のどちらも充実させるために、積極的に行動している回答が多く見受けられた。一方、関係がないと感じる人は「仕事は仕事、プライベートはプライベートとしか今まで考えてこなかった(50代女性)」など、仕事と私生活の線引きをしている回答が目立った。【図3】
【図3】
仕事と私生活どちらも充実している人は職場の柔軟性が高い傾向。特に「仕事での裁量権」や「服装」「時間」の項目で差が出る結果に【図4、5、6】
仕事と私生活、両方の充実を追求できているかを聞くと、「できていると感じる」は26.6%、「できていないと感じる」は39.0%となり、仕事と私生活について両方の充実を追求できていない人が多数派となった。【図4】
【図4】
現在の職場の柔軟性について、場所、時間、仕事の裁量権、服装、髪型の5つの項目で聞くと、「仕事」と「私生活」両方の充実を追求できている人は、できていない人と比べ、職場の柔軟性が全ての項目で20pt以上高い結果となった。なかでも、「職場で仕事の裁量権がある(27.9pt差)」、「職場での服装の柔軟性がある(26.1pt差)」、「職場に時間の柔軟性がある(24.8pt差)」の項目で、差が大きかった。「仕事」と「私生活」両方の充実を追求できていると感じる人は、仕事の柔軟性が高く私生活の時間を確保しやすいため、両方の充実を追求できていると感じる人が多いのではないだろうか。【図5】
【図5】
現在働く職場で導入されている「従業員向けの制度」について聞くと、「仕事」と「私生活」両方の充実を追求できていると感じる人と、追求できていないと感じる人でもっとも導入割合に差があった制度は「在宅ワーク・リモートワーク制度」で9.4pt差となった。次いで「有給取得率向上施策」で9.1pt差、「女性向けの産育休制度」で9.1pt差だった。「仕事」と「私生活」両方の充実を追求できていると感じる人は在宅ワーク・リモートワーク制度や有給取得、産育休制度が利用できる職場に勤めている傾向にあり、働く場所や時間の柔軟性に影響がある制度で導入率の差が大きいことがわかった。【図6】
【図6】
調査担当者コメント
「仕事と私生活の充実は関係している」と実感している人が7割と多数派なことがわかりました。この、切っても切り離せない関係である「仕事」と「私生活」を、人生の構成要素として統合的にとらえて両方とも充実させ、人生を相乗的に豊かにしていくという考え方を、「ワークライフ・インテグレーション」と言い、昨今注目されつつあります。
従来よく取り上げられている「ワーク・ライフ・バランス」は、仕事(ワーク)と私生活(ライフ)のバランスを考えるもので、どちらかに偏重が起きないように調整をする必要がありました。一方、ワークライフ・インテグレーションは、仕事と私生活の相乗効果を追及する考え方です。【図7】
【図7】
ワークライフ・インテグレーションの考え方が注目されつつある背景には、仕事と私生活の統合が進んでいることが挙げられます。新型コロナウイルスを経て、テレワークや在宅ワーク制度が定着し、「働く場所」と「私生活の場所」は統合されている傾向にあります。また副業の認可が進んだことで、私生活の中に複雑に仕事が入り込んでおり、仕事と私生活を切り離すことが以前より難しくなってきています。
現在、健康経営や人的資本への投資が注目されていますが、このような私生活の充実につながる企業施策は、働く人の「仕事の充実」にもつながると考えられます。その結果、企業もメリットを感じられるようになるのではないでしょうか。今後企業は、様々な従業員向け施策を検討していく中で、ワーク・ライフ・バランスからワークライフ・インテグレーションの考え方を持つよう、進化が求められていくと考えられます。
マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 朝比奈 あかり
調査概要
○調査期間/2023年11月17日(金)~11月20日(月)
○調査方法/インターネット調査
○調査対象/20~59歳の正社員の男女
○有効回答数/3,000件
※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
※調査結果の詳細はこちら(https://career-research.mynavi.jp/?post_type=reserch&p=69291)からご確認いただけます。
【ニュースリリース|「『正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)』を発表」より|2024年2月8日・株式会社マイナビ】
編集部おすすめ関連記事
■2024年の働きがいはやや低下傾向。新たなトレンド「静かな退職」
株式会社働きがいのある会社研究所は2月8日、「2024年版日本における[『働きがいのある会社』ランキング」を発表した。同日に開催された記者発表会では、同社代表取締役社長の荒川陽子氏が今回のランキングの傾向と、トレンドとなっている「静かな退職」について解説した。
【おすすめポイント】
・ランキング結果の解説
・新しいトレンド「静かな退職」とは
・「静かな退職」が増える前に
【【@人事編集部】】
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
ニュース・トレンド
2024年版日本における「働きがいのある会社」ランキングベスト100 記者発表会レポートvol.2
働きがいが「静かな退職」を防ぐ|荒川氏✕タイミー緒方氏トークセッション
株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan、以下GPTW Japan)(東京・港)は2月8日、「2024年版日本にお...
2024.02.13
-
ニュース・トレンド
2024年版日本における「働きがいのある会社」 ランキングベスト100 記者発表会レポートvol.1
2024年の働きがいはやや低下傾向。新たなトレンド「静かな退職」の関連性と対策とは?
株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan、以下GPTW Japan)(東京・港)は2月8日、「2024年版日本にお...
2024.02.09
-
プレスリリース国内・海外ヘッドライン
名古屋鉄道株式会社
グループ内での公募による副業・異動を促進へ「キャリアチャレンジ制度」を新設
名古屋鉄道は11月13日、グループ内での公募による副業・異動を実現できる「キャリアチャレンジ制度」を新設したと発表した。従業員の自律的なキャリア形成による成長の促進や、適材適所の人...
2024.11.14
-
プレスリリース国内・海外ヘッドライン
株式会社岡三証券グループ
初任給30万円への引き上げ、雇用上限年齢の撤廃、社内FA制度など人材確保へ向け人事制度を刷新
岡三証券グループおよび中核子会社の岡三証券は10月30日、働き方に対する価値観が多様化するなど人材市場が大きく変容していることを受けて、新たな人事制度を2025年4月に導入すると発...
2024.11.01
-
プレスリリース国内・海外ヘッドライン
株式会社日立コンサルティング
「配偶者」に関わる記載項目を変更。性的マイノリティに配慮した人事規則へ改定
日立コンサルティング(東京・千代田)は10月29日、多様な人材の活躍支援を目的に、規則に記載されている「配偶者」に関わる記載項目を「配偶者または同性パートナー」とすることなどダイバ...
2024.11.01
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?