レポートThinkings「2025年卒採用トレンド予測」発表会・前編
新たなトレンドは「採用3.0」。AI活用が欠かせない時代に
2023.12.12
Thinkings(東京・中央)は11月29日、テクノロジーの進化による採用環境の変化や「sonar AI」の活用実態、採用担当者と就活生への「採用でのAI活用」に関するアンケート結果を基に、「2025年卒採用トレンド予測」を発表した。
調査対象は採用活動でAIを活用したことがある採用担当者と2024年卒業予定で1社以上の内定を取得した就活生それぞれ200名。2023年10月にオンラインアンケートが実施された。同日に開催されたメディア向けの発表会では、Thinkings代表取締役社長の吉田崇氏とCHRO佐藤邦彦氏が登壇。
前編では、佐藤氏が発表した採用環境の変遷と2025年卒採用のトレンドキーワードである「採用3.0」の内容について紹介する。
関連記事:AIとのシナジーが生む新たな採用の在り方「採用3.0」とは? 「2025年卒採用トレンド予測」を発表
採用環境の変遷
佐藤氏は、採用トレンド予測を発表するに至った経緯について、同社がさまざまな企業の採用をサポートしていること、その過程で多様な意見や実情を知る機会があったため、それらを多くの企業に役立ててほしかったと説明した。
また、前提としてこれまでの採用環境の変遷について解説。自身も1990年代後半に就職活動をしたという佐藤氏は、情報発信が紙媒体からインターネットへと移り変わり始めたこの頃、自社のホームページを持っている企業と持っていない企業が混在し、求職者側も求人誌と口コミサイトの両方を使いながら就職活動に励んでいたと振り返った。
その後、約10年ごとに採用環境が大きく変化していく。2010年頃からスマートフォンが急速に普及し、採用活動・就職活動のチャネルや情報量が増加。スピードも向上した。そして現在、2023年から2024年にかけて、もう一度大きな変革が起こるのではないかというのがThinkingsの見立てだ。要因はAIの台頭である。佐藤氏は、この変化を「採用1.0」「採用2.0」「採用3.0」に区分し、より具体的に説明した。
採用のデジタル化:採用1.0
求人誌や新聞広告など、紙が主流だった就職活動がインターネットに移行。自社のホームページを作成し、他社に先駆けて情報発信する企業があらわれ始める。以降、採用環境が大きく変化していくきっかけとなった。
新しい手法への転換:採用2.0
スマートフォンの普及というハードの側面だけでなく、SNSの広がりによって情報収集が用意になり、求職者自身も個人PRにつながる情報発信を始める。これに伴い、企業が求職者へ直接アプローチする「スカウト」のような手法も生まれた。
AI活用の広がり:採用3.0
新型コロナウイルスによって一気にオンライン化が進んだことが後押しとなり、同時にOpenAIの「ChatGPT」をはじめとしてテクノロジーの進化も相まって、社会のさまざまな場面でAIが活用されるように。
採用活動・就職活動においても同様で、すでにAI活用の先進事例も集まっている。この流れは今後も加速することは間違いなく、再び採用環境に大きな変革が起こることが予見される。Thinkingsはこれを「採用3.0」と位置付け、2025年卒採用のトレンドキーワードとして掲げた。
先進事例から見る「採用のAI活用」
続いて佐藤氏は、採用活動でAIを活用したことがある採用担当者と2024年卒業予定で1社以上の内定を取得した就活生それぞれ200名を対象に行ったアンケートの結果を用いながら「採用3.0」についてさらに詳しく解説した。
「AIを活用したことで採用活動の質は高まりましたか」という質問に対して、8割以上の企業が「高まった」と回答している。【上画像】また、実際にどの採用業務にAIを活用したかを聞くと、「求人票の作成」「採用の企画」「スカウト」の順に多く【下画像】、いずれもクオリティと生産性が高まったとの感想も寄せられたそうだ。
一方、「採用プロセスにおいて企業がAIでの判定を活用することをどう思いますか?」という質問では、86.5%の学生が許容の姿勢を示していることが分かった。【下画像】
「採用のAI活用」が持つ可能性
佐藤氏は最後に、Thinkingsが提供する採用DXソリューション「sonar AI」に触れながら、「採用のAI活用」が持つ可能性について言及した。
「sonar AI」は同社が開発した「採用管理システムsonar ATS」の一機能で、AIを活用して候補者とのマッチング精度向上と選考業務の効率化を支援するもの。個々のエントリーシートや適性検査の結果、履修履歴を基に合格可能性が高い候補者を予測できる。
佐藤氏は「例えば、AIを活用すれば書類選考にかけるリソースを大きく削減でき、担当者の体力的・精神的負担軽減にもつながるためトータルの生産性が向上する」と強調した。
その上で、「弊社が提供しているソリューションに限らず、今後さまざまなテクノロジーが2024〜2025年にかけて急速に広がっていくはずだ」と期待をのぞかせた。
>>>後編「重要なのは人的リソースとのかけ合わせ。AIを活用した採用DXの取り組み事例」はこちら
※記事内の人物画像、スライド資料画像はThinkings社より提供を使用
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