株式会社iCARE
コロナ前後の働き方と健康管理の意識調査を実施。勤務形態別に浮かび上がる健康課題のギャップが明らかに
2023.09.12
勤務形態ごとの健康課題にギャップ。オフィスワークは「生活習慣病リスク」、テレワークは「長時間労働」が上位
クラウド健康管理システム「Carely」を開発・提供するiCARE(東京・渋谷)は、企業の健康管理を担当する人事部門・専門職(産業保健師など)約200人を対象に「コロナ前後の働き方と健康管理の意識調査」を実施した。
調査結果によると、コロナ前後の勤務形態における健康課題とその評価にはギャップがあり、すべての勤務形態において「メンタルヘルス課題」が最も顕著で、オフィスワークでは「生活習慣病リスク」、テレワークでは「長時間労働」が主要な課題として浮上した。さらに、業種や企業規模に応じて異なる傾向が見られ、健康管理の重要性が再認識される結果となった。以下、リリースより。
関連記事:社内の健康課題を可視化。リスク防止と生産性向上に貢献【Carely】
調査結果サマリー
用語解説
主な調査結果
1.勤務形態の推移
コロナ前後の各期間で最も多くの従業員に適用された勤務形態を問う設問では、コロナ禍はハイブリッド(オフィス・テレワーク両方)、アフターコロナの勤務形態として「オフィスワーク」52%が最多。コロナ前からアフターコロナにかけて最も多い変化パターンは「テレワーク・ハイブリッド移行型」が最多の41.3%。テレワークが減り、オフィス回帰の動きが広がっている。
そのほか、業種別の特徴としては、IT・情報通信は「テレワーク・ハイブリッド移行型」、医療・福祉は「オフィス固定型」が最も多く、官公庁・教育・団体や小売・卸売では「テレワーク・ハイブリッド移行型」よりも「オフィス回帰型」の方が割合が高い結果を示した。従業員規模別では10,000名以上の企業で「テレワーク・ハイブリッド移行型」の割合が高い。
2.健康管理(従業員の健康課題への対応)の面からの働き方の評価
自社の現行の働き方(オフィス出社状況やフレックス勤務・時差勤務などの勤務制度の導入状況)に対する健康管理の面からの評価を問う設問では、オフィス優先型(固定型・オフィス回帰型)の約6割が「評価しない」「改善の余地あり」と回答し、オフィス固定型がさらに高い割合になっている。回答者の属性別にみると、現場に近い健康管理部門の担当者(人事労務、産業保健看護職)の「評価しない」「改善の余地がある」と回答する割合が高い。また、「評価しない」理由としては従業員の健康課題や人事労務の健康管理業務の観点からの記述が多く、部門管理者も含めた共通の回答として「効果分析ができていない」「評価の方法がわからない」という回答が見られた。
<部門担当者が現行の勤務形態を評価しない理由(業種 / 規模)>
オフィス優先(固定・回帰)型
- 在宅ワークや時差出勤等の支援がなく、多様な働き方の選択肢が少ない。(官公庁・教育 / 1,000名以上)
- 交代勤務の従業員は生活が不規則となり肥満やメタボ、生活習慣病にかかるリスクが高まるので別の勤務形態に変更する方が望ましい(製造 / 1,000名以上)
- 多様な働き方の導入ができていない(小売 / 300〜999名)
- メンタル部分について離職に繋がることがある(製造 / 1,000名以上)
テレワーク・ハイブリッド優先(固定・移行)型
- 長時間労働が改善されない(製造 / 300〜999名)
- アフターコロナで根拠もなくテレワークの回数を減らしたことでメンタルヘルス不調の原因にそれをあげる社員が増えた(建設・土木 / 1,000名以上)
- 在宅ワークを楽するためのように捉える思考がある。エンゲージメント、ワークライフバランスなど向上し生産性を高めてもらうという視点がない(製造 / 100〜299名)
- 運動不足・コミュニケーション不足(その他 / 100〜299名)
3.勤務形態ごとの従業員の健康課題
アフターコロナの従業員の健康課題についての設問では、全ての勤務形態で「メンタルヘルス・ストレス」課題の選択率が最も多い。勤務形態別にみるとオフィスワークでは「生活習慣病リスク」、ハイブリッドでは「メンタルヘルス」、テレワークでは「長時間労働」が最も回答割合が高く、いずれも従業員規模に比例して選択率が高い。勤務形態間のギャップが最も大きいのは「生活習慣病リスク」で45.3ポイント差、次に「長時間労働」で28ポイント差、3番目に「メンタルヘルス」「睡眠」が続く。
4.健康施策とその注力度合い
コロナ前後の各期間で実施した健康施策については「オンラインコミュニケーションツールの導入」「勤務制度・休暇制度の変更または新設」「在宅勤務時の手当支給」が大幅に増加。アフターコロナでは「従業員向け研修プログラム提供」「管理職向けの研修プログラム提供」の選択割合が増加傾向。
健康施策の注力度合いはハイブリッド型の企業が高く、平均で16.2ポイントの差がある。特に差が大きい施策は「オンラインコミュニケーションツールの導入」「手当の支給」「勤務制度の変更」、次に「健康管理システムの導入」「健康相談サービスの導入」となっている。
解説 iCARE 代表取締役CEO 産業医 山田洋太
今回の調査で、改めて働き方と健康が密接に関係していることが明らかになりました。勤務形態の差がはっきり示された健康課題は「生活習慣病リスク(食事・飲酒・運動)」、「長時間労働」、「メンタルヘルス」です。また、働き方の導入方針について、コロナ前後で勤務形態がどのように変化した(または変化していない)かによって、回答者の評価に違いが出ています。健康課題をより把握しており、健康管理業務の主である人事労務や産業保健看護職などの実務担当ほど課題感を示す結果になりました。
オフィス固定・回帰型企業の業種を見ると、製造業や小売業など、業種ならではの事情が伺えますが、“やむなく”コロナ前に回帰するのではなく、コロナ前後で変化するニーズや健康課題を見極めれば、見直すべきポイントはあるはずです。一方のハイブリッド移行型の場合も、大多数が一旦の折衷案として継続しています。経営者、その代行者である人事の責任において再考する時期がきているのではないでしょうか。
勤務形態を問わず、働き方が健康管理に与える影響を「分析できていない・分析するためのデータが集まっていない」という共通回答が多くあったことにも注目したいです。働き方や人事・健康施策は企業ごとに異なって当然ですが、その基礎となる従業員の健康課題の把握・分析を適切に行い、経営・人事部門が方針をきちんと共有するプロセスこそが健康経営の効果を左右するポイントです。
調査概要
調査時期:2023年7月18日(火)~7月28日(金)
調査対象:従業員規模50名〜10,000名以上の一般企業の人事労務部門
調査実施機関:株式会社iCARE
サンプル数:179名(経営層・部門責任者、部門担当者、産業看護職・専門職)
調査方法:インターネットによるアンケート調査
法人向け健康管理ソリューションサービス「Carely」
Carelyは企業が主体の「働くひとの健康」づくりを専門家とテクノロジーの力でサポートしています。
ツールによる人事労務の健康管理業務等、実作業への効率化支援だけでなく、課題抽出・分析・施策立案・運用など、一気通貫型で伴走し、経営戦略を後押しします。
サービス詳細:https://www.carely.jp/
株式会社 iCAREについて
「働くひとの健康を世界中に創る」というパーパスを掲げ、現役の産業医である代表:山田が2011年に創業。健康づくりのプロフェッショナルカンパニーとして、法人向けに産業保健・健康経営のソリューションサービス「Carely(ケアリィ)」を提供しています。クラウドシステム × 専門家による人的サービスにより、企業の健康課題の解決を一気通貫型で伴走し、経営戦略を後押しします。
会社概要
代表取締役:山田洋太
事業内容:産業保健・健康経営ソリューションサービスの開発・提供
設立:2011年6月
本社所在地:東京都渋谷区恵比寿1丁目23-23
企業URL:https://www.icare-carely.co.jp(URLを変更しました)
【プレスリース「コロナ前後の働き方と健康管理の意識調査を企業の健康管理部門(人事労務・専門職)向けに実施 〜勤務形態ごとの健康課題にギャップ。オフィスワークは「生活習慣病リスク」、テレワークは「長時間労働」が上位〜」より|2023年9月8日・株式会社iCARE】
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