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LGBTに関する取り組み評価指標「PRIDE指標」2019


LGBT理解の推進企業を表彰。ベストプラクティス受賞のTOTO、日本航空など4社の取り組みは?

2019.11.13

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企業におけるLGBTに関するダイバーシティとマネジメントの促進を支援する「work with Pride」は10月11日、都内で「work with Pride 2019」を開催。企業のLGBTに関する取組みの評価指標「PRIDE指標2019」の結果発表を行った。応募総数は昨年から40社増の194社にのぼり、そのうち最も先進的な取り組みを行った企業としてTOTO、日本航空、東日本旅客鉄道、LIXILの4社がベストプラクティスに選ばれた。意欲的な4社の事例を報告者の声とともに紹介する。

「PRIDE指標」とは

2016年に任意団体「work with Pride」によって日本で初めて設けられたLGBTに関する企業の取り組みの評価指標。企業がLGBTに対して共通して実施できるような取り組みを①行動宣言(差別禁止規定等)、②当事者コミュニティ、③啓発活動(研修等)、④人事制度・プログラム(福利厚生等)、⑤社会貢献・渉外活動の5つに分類している。

目次

  1. 性的マイノリティの公共トイレに関する調査を公開(TOTO)
  2. 国内初の「LGBT ALLYチャーター便」を運航(JAL)
  3. 当事者社員対象の「LGBTネットワーク交流会」(JR東日本)
  4. オフィストイレのオールジェンダー利用についての調査を公表(LIXIL)

性的マイノリティの公共トイレに関する調査を公開(TOTO)

TOTO(福岡県・北九州市)

長年パブリックトイレ(公共トイレ)の提案を行ってきたTOTO(福岡県・北九州市)は、「ユニバーサルデザイン」の視点から性的マイノリティのトイレ問題に向き合ってきた。

2015年より当事者調査やその結果を踏まえたセミナー、パンフレットの発行などを行い、2019年には全国の個人1136人が対象となった「性的マイノリティのトイレ利用に関するアンケート調査」の結果を発表・公開した。アンケート調査では、性別に関わりなく利用できる広めの個室トイレについて、「利用する意向がある」と示したのはトランスジェンダーで約7割、シスジェンダーでも過半数にのぼり、性的マイノリティ以外でも需要が高いことが分かった。

同社のUD・プレゼンテーション推進部の佐藤敬子さんの報告では、「多様な方々が安心して外出できるようになるには、必ず安心して使えるトイレ環境というものが必要になってきます」と、パブリックトイレの社会における重要性を語った。TOTOは自社だけでなく、施工会社をはじめとする他社にも役立ててもらえるよう、調査データをサイト上に掲載し、周知を進めている。

国内初の「LGBT ALLYチャーター便」を運航(JAL)

当日の様子

日本航空(東京・品川)は、国内初の「LGBT ALLYチャーター便」の運航を行い、社内外に対して理解促進に取り組んだ。このフライトは、LGBTを理解し、支援する人々を指す「アライ」を拡大するための取り組みとして、当事者やアライ、家族連れなど約100人の乗客を乗せて実施した。

LGBTを理解する企業風土をつくる目的で、社外向けのアクションに留まらず、日々不特定多数の利用者と接する社員向けのものとしても実施された。「LGBT ALLYチャーター便」実施後にはSNSを中心に反響があり、「次回は是非参加したい」という声が多く集まったという。

スピーチをする日本航空の社員

機内でのLGBTに関連する催しの様子や、性的マイノリティの象徴である「虹」のモチーフが随所に散りばめられた旅の様子が紹介されると、会場からは笑いや感嘆の声が上がった。人財戦略グループの東原祥匡さんは報告で「こんなに笑いあり涙あり、笑顔ありのフライトってあったかな?と、すごく特別感を感じた」と語った。しかし同時に、「そういったものを特別と感じること自体が、理解促進が追いついていないことの表れでもあると感じられる」「一日でも一年でも早く、これを特別と思わないような世の中が訪れるよう、今回の受賞も励みにしながら、できることを頑張っていきたい」と話した。

当事者社員対象の「LGBTネットワーク交流会」(JR東日本 )

東日本旅客鉄道LGBTネットワーク交流会のスライド

東日本旅客鉄道(東京・千代田)は、それぞれの社員が能力を存分に発揮できるよう、ダイバーシティの推進に取り組んでいる。その一環としてLGBT社員に向き合い、性的マイノリティについて「知る」、制度を「変える」、理解の輪を「広げる」といった三本柱で対応を進めてきた。同性パートナー制度の導入や、福利厚生をはじめとする制度を「変えていく」一方で、当事者である社員が主体的に連携の場を持てるよう、ネットワーク交流会を実施。20人弱の社員が参加し、悩みを伝え合うなど、積極的な交流を行った。

同社は、交流会の情報の周知を徹底して行い、興味本位で参加する人が出ないよう配慮した上で開催に臨んだことで、当初の予想を遥かに上回る参加者を集めることができたという。当日登壇した人財戦略部の尾上さやかさんは、「当事者が不安にならないよう、企業としてカミングアウトや周囲の目線に対して徹底した配慮を行っています」と、性的マイノリティについて深く学ぶ姿勢の重要性を真摯に語った。

JR東日本戦略部の尾上さやかさん

尾上さんは、受賞について光栄としながらも、「当社の取り組みは、まだ社員に対してもあるいはお客さまに対しても、まだまだ道半ばというところもあります」と語り、交流会で知り得た課題点を手がかりに、今後これまで以上に取り組みを進めていく希望を語った。

オフィストイレのオールジェンダー利用についての調査を公表(LIXIL)

LIXIL、オフィストイレのオールジェンダー利用に関する調査結果を報告

LIXIL(東京・江東)はオフィストイレに注目し、性自認に関わらず誰もが安心して利用できるトイレ環境を明らかにするために3万人を対象にした調査を行った。その結果、①トランスジェンダーの約4割がオフィスで利用したいトイレを利用できていない②性的マイノリティにとってはパブリックトイレよりもオフィスのトイレの方が、使用を気兼ねする傾向がある、ということが分かった。

調査は性的マイノリティ当事者、マジョリティーであるシスジェンダー側の意識についても注目。勉強会を行っている企業の方がこの問題について理解が深いということを示した。報告では「日々顔を合わせる特定の人々が利用する空間であるオフィストイレの利用問題については、設備の問題よりも周囲の理解に根深い原因がある」と踏み込んで分析している。

登壇した同社の日野晶子さんは、「トイレ利用は、人間の尊厳にも関わる人権の一つです」とこの問題の重要性を強調した。その上で、「施設の整備に加え、当事者以外の意識を変える工夫を行うことが最も大切です」と語った。

【編集部より】ダイバーシティに関する記事はこちら。

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