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特集「人手不足業界の逆襲」


ファミリーマートが店舗従業員20万人のモチベーションを上げた秘策

2019.09.17

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飲食、ホテル、コンビニ、運輸、建設。いずれも人手不足に苦しむ業界ばかりだ。東京商工リサーチの調査では、2018年に人手不足の関連で倒産した企業は387件。業界別ではサービス業が最も多く(27.4%)、建設業(18.3%)が続いている(※1)。

特集「人手不足業界の逆襲」では、人手不足や定着の課題を打開するための各社の秘策を取材。今回はファミリーマート(東京・港)が全国20万人のストアスタッフ(店舗従業員)のモチベーションを変えた人事制度を掘り下げる。コンビニ業界全体で人手不足の議論がある中、ファミリーマートはストアスタッフとどう向き合っているのか。【取材:2019年7月24日 @人事編集部 大西里奈】
※1:日本経済新聞「人手不足倒産、22%増 18年、サービス業が最多

目次
  1. 「お店」ではなく、「お店にいるストアスタッフ」に直接働きかける
  2. 細かなチェック項目で成り立つ「5段階の資格制度」を導入
  3. 疑問①:各店の立地条件によって評価すべきスキルが違うのでは?
  4. 疑問②:評価はどのように賃金アップに反映するのか?
  5. 疑問③:全国約1万6,500店に制度を理解してもらうのは難しいのでは?
  6. 優秀なスタッフを表彰する「スタッフアワード」はエントリーが3倍に
  7. コンビニ業界の複合的な課題は「一つの魔法」だけでは解決できない

「お店」ではなく、「お店にいるストアスタッフ」に直接働きかける

コンビニ業界は人手不足の解決策として外国人やシニア雇用にも取り組んでいるが、まだまだ現状は厳しい。もちろん今働いているストアスタッフのモチベーションアップも重要だ。ファミリーマートは約20年前から対策に乗り出し、改善を続けている。

ファミリーマートは全国に約1万6,500店舗を展開し、ストアスタッフ20万人強が勤務する(2019年7月末時点)。
最も重要なのは品揃え(Quality)、接客(Service)、店の清潔さ(Cleanness)の「QSC」の質を高めて、顧客満足度を上げること。2003年からは店単位で優秀な店舗を表彰する「QSCアワード」も開いてモチベーションアップにも取り組んだ。しかし、この方法ではもちろん一時的には店舗の状況が改善されるものの、しばらくすると再度改善の必要が出てくる店もあった。そこで、モチベーションアップのために働きかける「対象」を変えてみることにした。

営業本部店舗人材サポート部の永井雄一部長は「これまでは『お店』に働きかけてきましたが、実際にお客様と接するのはお店の『ストアスタッフ』です。彼らに直接行動を起こしてモチベーションを上げてもらい、その結果、お客様の満足度も高める方法がないかと考えました」と振り返る。

細かなチェック項目で成り立つ「5段階の資格制度」を導入

ファミリーマートは2000年、ストアスタッフのスキルアップ制度「ストアスタッフトータルシステム(SST)」を導入した。資格が5段階で設定され、基本的な店舗運営ができる「ファミマスタッフ」から、店長の右腕となってスタッフを教育する「ファミママスター」までの階級がある。試験に合格すると階級が上がり、賃金アップの評価基準にもなりうる。

ファミリーマートストアスタッフのスキルアップ制度「ストアスタッフトータルシステム(SST)」

SSTの導入以前は評価の明確な指標は特になく、店長やオーナーの個人的な判断に頼る部分もあった。「ストアスタッフがせっかくスキルを身に付けても、評価されないとモチベーションは下がってしまいますよね。ストアスタッフを公平に評価することで働きがいを感じてもらい、人材の定着につなげたいと思いました」(永井さん)

SSTでは試験や面接のチェック項目を全国統一で設定。永井さんは「評価用のチェック項目はかなり細かく決めて、評価者によってズレが起きないようにしている」と説明する。評価者は階級に応じて店長→SV(各エリアを統括するスーパーバイザー)→地区責任者と変わる。

疑問①:各店の立地条件によって評価すべきスキルが違うのでは?

とはいえ、コンビニ業界は立地条件や地域によって求められるスキルが大きく異なる。その店ならではのスキルはどう審査、評価するのか。

永井さんによると、上から3番目の資格「ファミマサブトレーナー」以上から地域特性に応じたスキルも審査するという。試験を受ける際には実技試験や論文の提出が必要で、そこで各店独自に求められるスキルがあるか確認するそうだ。

疑問②:評価はどのように賃金アップに反映するのか?

SSTではストアスタッフの階級が上がると、賃金もアップする可能性がある。アップする分の人件費の用意や賃金への反映方法はどうしているのか。

永井さんによると、階級アップ時にストアスタッフに報いる方法は、全て各店の判断に任せられているという。各店は、階級アップによって毎月の給料を上げる、一時的に給料をアップする、賃金には反映せず他の方法で評価するなど柔軟に運用しているそうだ。

ファミリーマート営業本部店舗人材サポート部の永井雄一部長①

疑問③:全国約1万6,500店に制度を理解してもらうのは難しいのでは?

人事制度は現場に浸透させ、運用されないと意味がない。全国のオーナーや店長に制度を理解を促すにはかなりの労力が必要なはずだ。

永井さんは「店によって業務の優先順位は違いますし、制度への意識には差があります」とした上で、「資格制度でストアスタッフのモチベーションが上がれば、接客や売り場のクオリティーが高まり、売上アップにもつながる。QSC向上の手段の一つとして制度を活用してみませんかと、繰り返しSVが説明しました」と語った。オーナーや店長と膝を突き合わせて「顧客満足度を上げる一つの手段」と説明し、柔軟な運用も可能にしたことで理解が進んできた。

優秀なスタッフを表彰する「スタッフアワード」はエントリーが3倍に

SSTの他にも、年1回優秀なストアスタッフを表彰する「スタッフアワード」を2011年に開始。各店の優秀なストアスタッフがエントリーし、審査の上で各地区の代表となった240人が澤田貴司社長から直接、表彰を受ける。2019年度からは外国籍や勤務1年未満のストアスタッフを表彰する賞も作った。

アワードのエントリー数は当初から約3倍に増加。永井さんも「ストアスタッフを評価し、褒めるためのさまざまな制度が浸透してきた」と感じているという。

ファミリーマート営業本部店舗人材サポート部の永井雄一部長②

現場の店舗にも変化が出てきた。スタッフはオリジナルで商品のPOPを作り、売場づくりを工夫。SVはそんなスタッフを褒めて社内ツールで全国のSVに共有している。

ファミリーマートのモチベーションアップ術は、複数の施策で「ストアスタッフを評価し、褒めて伸ばす」雰囲気を実現させること。それが人材の定着にもつながる。

コンビニ業界の複合的な課題は「一つの魔法」だけでは解決できない

ファミリーマートはモチベーションアップ以外にも課題解決を進めている。

特に「人手不足」についてはSVが各店にヒアリングし、そもそも応募が来ないのか、面接を設定しても直前にキャンセルされるのか、課題を細分化。店内ポスターではなくネット上に求人広告を出す、応募者に迅速に対応し採用までスピード勝負するなど、店ごとに課題解決を考えるため「今まで以上にSVとオーナーが密に連携している」(永井さん)。

外国人雇用では、コンビニで働きたくても日本語が不安な外国人も多い。同じ店の先輩の外国人スタッフを教育担当にするなど、サポート体制の整備を進める。

コンビニ業界の複合的な課題を乗り越えて人材を確保、定着させて顧客満足度を上げるには、モチベーションアップ術だけでは難しい。しかし、ストアスタッフがやりがいを持って働く姿を見た人が「このお店で働きたい」と思ってくれるかもしれない。ストアスタッフの活躍が売上につながれば、新たに人件費やその他の打ち手に充てる予算も生まれる。

永井さんは「複数の取り組みを組み合わせてさまざまな課題を改善しないと『顧客満足度の向上』は実現できません。決して近道はないと思っています」と力強く語った。

企業情報

株式会社ファミリーマート
・設立:1981年9月
・事業内容:フランチャイズシステムによるコンビニエンスストア事業
・従業員数:6,045人(2019年2月時点)
・本社所在地:東京都港区芝浦三丁目1番21号

【編集部より】
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