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人事のキャリアパスNAVI


独立後の人事コンサルは「ポートフォリオのバランス」を重視すべき

2015.12.16

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人事コンサルとして独立すれば、さまざまな収入源を持つことができる。それは必ずしも会社員時代に経験してきたことに関わらず、新たな仕事の領域を自ら広げていくことにもつながる。では実際に人事コンサルとして独立すると、どのような収入源が手に入るのだろうか?

1.コンサルティング業

「人事コンサルタント」という肩書きで最も一般的な収入源としては、コンサルティング業がある。これは企業の人事部門に対し「人事のプロ」として人事領域の課題に対して客観的なアドバイスやコンサルティングを行うものである。また中小企業の多くは人事部すらないことが多い。その場合は「社外の人事担当者」として直接人事制度の設計をしたり、採用業務などを代行したりすることもある。報酬については業務単位で発生することもあれば、長期契約を結び毎月定額で請求することもある。

2.執筆業

自分自身が持つ知識や経験を書籍や雑誌、ウェブサイトの記事の執筆を通じて世の中に発信することで収入につなげる。多くは出版社やウェブサイト運営会社からその分野の「ライター」として執筆依頼を受ける。記事の内容については基本テーマに沿っていれば自由に書くことができるが、当然書籍であれば販売部数、ウェブサイトであればサイトのPV数が成果として求められるため、多くの人の関心を惹く文章を書く必要がある。

3.セミナー・研修講師業

会社員時代にも社内研修の講師を経験したこともある人事担当者は多いかもしれないが、当然独立後も人事コンサルとして研修の講師を依頼される機会はある。依頼元は研修を実施したい企業から直接依頼されることもあるが、多くは研修会社に講師として登録し、研修会社の中で案件が上がってきた時点で個別に依頼が来る場合が多い。特に毎年4月上旬の新入社員研修シーズンは、どの研修会社も研修講師を探すのに苦労するため登壇するチャンスは多い。

人事コンサルとしての「仕事のポートフォリオ術」

筆者自身も上記の3つの業務は収入源の中でも大きな割合を持っている。コンサルティング業については個別企業と「採用コンサルティング」の契約を結び、年間を通じて新卒の採用と入社後の教育をサポートしている。執筆業ではこの記事もそうだが、人事やキャリアに関わる記事をサイト運営会社から依頼され執筆している。そしてセミナー・研修講師業については大学や企業で授業や研修の講師を行っている。

どの仕事もコンサルタントとして生きていくには重要な業務であるが、特性が異なるそれぞれの仕事やプロジェクトを同時進行に進めていくのは簡単なことではない。やはり人事コンサルとしての「仕事のポートフォリオ術」が必要になる。

最重要は「ポートフォリオのバランス」

最も重要なのは「ポートフォリオのバランス」である。これはすべての仕事を均等にするという意味ではない。どの仕事が自分にとっての「本業」で、どれが「副業」なのかを明確にしなければならない。「副業」と聞くと「片手間でやる仕事」のように思われるが、そういう意味ではない。「本業」はやはり収入面でも業務量の面でもメインの柱であり、「副業」は現在そこまで大きな収入源ではないが将来の仕事の幅を広げるための可能性の発掘と考えると良い。

筆者の場合は「コンサルティング業:執筆業:研修講師業」が、ちょうど「3:1:6」となっている。研修講師業とコンサルティング業が本業で、執筆業は副業となる。仕事内容に幅があっても、それぞれの仕事に強弱をつけることが重要だ。

仕事のパートナーも重要

もう1つは「仕事のパートナーを持つこと」。これはアライアンスと言ってもいいかもしれないが、さまざまな業務を自分1人でやろうとすると必ずミスが発生する。できるだけ仕事をサポートしてくれるパートナーを持った方が良い。それは決してスタッフを直接雇用することだけではない。

筆者は多くの研修案件を同時に受けているが、先方との調整などは各研修会社の担当者がやってくれるため、研修当日に会場に行って研修をするだけに集中できる。現在はフリーランスで働くにしても、どれだけ多くの「アライアンス企業」を持てるかが重要な「仕事術」となっている。

1人で集中して仕事をする日を確保する

3つ目は「内仕事の日を作ること」。研修やコンサルティングはどうしてもクライアント先に出て仕事をすることが多い。「外仕事」が多くなると、必然的に執筆や研修プログラムの開発などの1人で集中して作業する「内仕事」が進まなくなる。できれば定期的に「内仕事の日」を作って、1人で集中して進める必要がある業務はその日に進めたい。

上記のような「ポートフォリオ仕事術」は人事コンサルに限らず、さまざまな業務を抱えるビジネスパーソンにとっては重要なこと。しかし独立をすれば自分自身が1つの商品となり、さまざまな案件を同時進行で依頼されるようになる。そんな時に自分の仕事のポートフォリオをうまくコントロールし、仕事で高いパフォーマンスを発揮していくことは「人事コンサル」として継続して収入を得ていく上で大切なことである。

執筆者紹介

小寺良二(こでら・りょうじ)(キャリアインストラクター) アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。2009年に人事・採用領域のコンサルタントとして独立後は企業の採用と若年求職者の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェ クトに携わる。

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