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レポート「ジョブウェブ会長佐藤孝治氏講演録」


トヨタ、DeNAら上場企業の新卒採用から学ぶ、ミスマッチを防ぐ採用方法

2017.09.22

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株式会社ジョブウェブの代表取締役会長を務める佐藤孝治氏。ジョブウェブは元々、佐藤会長が大学4年生のときに設立した学生団体で、佐藤会長は一般企業へ就職したのち、ジョブウェブで学生の支援と企業の採用に関する支援活動をしている。佐藤会長のモットーは「心の財閥をつくる」。実際に出資をしているわけではないが、自身のネットワークを生かしてチームをつくり、日々仕事をしている。ジョブウェブは若手が独立傾向にあり、元社員がジョブウェブの一部門を子会社化させるということもある。

佐藤会長は3年ほど前から企業の採用支援の具体的な事案に携わっていて、その中にはトヨタ自動車の採用変革のプロジェクトもある。今シーズンは既に21回、トヨタ自動車内で開催したセミナーのファシリテーターを務めている。

今回、7月19日にジョブウェブで行われた「成長を目指す企業のための、人財活用セミナー」で登壇した佐藤会長の講演録をまとめた。学生と企業のミスマッチを防ぐために人事がとるべき具体的な方法や、トップへの働きかけなど、聴講者の関心が高かった佐藤会長の知見をぜひ参考にしていただきたい。

目次
  1. 採用は学生と接点を持ち、社長自らコミットすることが必要
  2. 「企業の力」「自社の魅力」「学生の見極め」の原則
  3. ミスマッチを防ぐ3つのソリューションとは

採用は学生と接点を持ち、社長自らコミットすることが必要

学生と企業のミスマッチを防ぐためには具体的にはどうすればよいのか。企業はまず学生と接点を持つことが必要だ。そしてその上で佐藤会長は採用に社長自らコミットすることを掲げる。

DeNAが新卒一期生を募集する際に採用に関わった佐藤会長は、社長自らが登壇する「元マッキンゼー南場智子が教えるロジカルシンキング講座」を提案。当時はまだ奔りだったロジカルシンキングという言葉に反応した優秀な学生がぞくぞくと押し寄せ、最終的には社長が直接口説いて優秀な学生を採用できたのだそうだ。「口説いた学生が実際に入社したら期待して任せることもミスマッチを防ぐには重要」と佐藤会長は付け加える。

「DeNAだけでなく新卒一期生の存在は重要で、新卒一期生の圧倒的活躍によって次の採用のレベルが決まる。サイバーエージェントはよく内定者時代に社長に企画を提言・遂行して、入社と同時に子会社社長にするということをしている。実態として優秀な人に任せているとは思うが、実際には強力な宣伝になる。採用に社長がコミットしているかが大事」

「企業の力」「自社の魅力」「学生の見極め」の原則

実際の採用にはまず原則として、〈企業そのものの力〉〈自社の魅力を伝える力〉〈学生を見極める力〉の3つが必要だと佐藤会長は語る。

1.企業そのものの力

その企業にビジョンがあるか、社長に魅力があるかは基本中の基本。加えてビジネスモデルや戦略があるかどうかも重要で、戦略がない会社は根性論になってしまう。また社員がチャレンジし続けている環境があるか。チャレンジしている企業にはポストが生まれ、新入社員にとっても魅力となる。

2.自社の魅力を伝える力

自社の魅力を知らない企業も意外と多い。実際に自社の魅力を知っていて、かつ学生に伝える努力をしているかがポイントになってくる。学生とコミュニケーションできているか、口コミで学生に伝わるようなリーチ力があるかどうかも関わってくる。実際に佐藤会長はコンサルとして企業に入っていくとき、内定者と新入社員にヒアリングする。何が意志決定に結びついたのか知り、制度をつくるなどして魅力を磨く。

3.学生を見極める力

ジョブウェブ代表取締役会長の佐藤孝治氏①

優秀な人がどんな人か知っているかどうかが重要。新卒は優秀な人材が一時に輩出される貴重な機会だが、新卒で優秀な人を採用できた成功体験がないとその魅力に気づけず損をしてしまっている。また、そもそも欲しい人材が明確になっていない場合もある。インターンシップから採用にかけて時間をかけて学生を見ることで、学生の伸びしろを判断している会社は強い。

「採用につながるアクションはこの3つ。学生を見極めることにだけ力を注ぐのでなく、採用したいと思える学生と接点を持つこと。そして学生が入りたいという気持ちになることが大事」(佐藤会長)

佐藤会長によれば、トヨタ自動車のような大きな企業でも、自社の魅力が学生に伝わっていなかったという。「商社のような学生にもわかりやすい派手な魅力がなく、会社の歯車のひとつになってしまうような印象を持たれていた。しかし、メーカーの持つダイナミズムや、自分の仕事が影響力を持っていく面白さを体感してもらう『トヨタグローバルインパクト』というワークショップを開設したところ、魅力が伝わった」と佐藤会長は明かした。

ミスマッチを防ぐ3つのソリューションとは

ジョブウェブ代表取締役会長の佐藤孝治氏②

佐藤会長は3つの大原則を踏まえた上で、ミスマッチを防ぐソリューションを3つ掲げる。

①感謝される人事

「これが一番重要」と佐藤会長は強調する。「その人事と接点を持った人全員が感謝するような関係性をつくっていただきたい。新卒採用では100人会えば採れるのは1人か2人。しかし落とした99人の学生にはなぜ落としたのかというフィードバックはしない。そうではなく、落としてしまった学生のことも全力でフォローする。関わった学生全員にフィードバックをして、どこが足りなかったかや、他の企業の方が向いているのではないかというアドバイスをする。第1志望の会社が他にあれば、そちらの選考を全力で応援する」という。トヨタ自動車は既にそれを実践している。

「そうすると合同企業説明会でプレゼンテーションをして立って話している段階から、学生の反応が変わります。ここにいる学生をふるいにかけて、いいやつだけピックアップしていこうという採用担当と、『今日ここに来ている学生は全員応援するよ!』というスタンスで来ている採用担当では発しているオーラがちがうわけです。実際にブースに来る学生の人数が変わり、採用で採れる人数も変わってくる」

「名古屋のあるIT企業の人事担当者は『感謝される人事』を愚直に実行していって、毎年8人採れる会社だったのが50人採れる会社に変わった。そうなると学生の間、先輩後輩の間で口コミが広がって、募集にコストをかけなくても、勝手に応募が集まる状況になってきた。加えて東海エリアの大学のキャリアセンターがその人事担当者の存在と活動に気づき、講演のオファーが来るようにもなってくる。そうしてまた、良い評判が広まっている」

②採用方法のやり方を変える

佐藤会長は株式会社エイ・アイ・シーの人事部顧問に就任。AICキャリアアカデミーという学びの場をつくった。この場には大学生、内定者、社員に加え外部の社会人が自由に参加できる。「大学生と社会人がつながれるオープンな場をつくっていきたい」と佐藤会長は熱意を燃やしている。大学1年生から50歳まで参加予定で、「新卒採用と中途採用の垣根も越えられるかもしれない」と佐藤会長は見ている。

③選考中インターンシップ

選考中インターンシップは、実際にジョブウェブの新卒採用で実践している。ジョブウェブはコンサルティングをする会社なので、選考中に実際にコンサルタントになってもらって、ジョブウェブの新卒担当をコンサルしてもらう。ジョブウェブのコンサルティングのソリューションのやり方をレクチャーしたうえで、社員や社長にヒアリングをしてもらったりする。「実際に仕事をしてもらうので、文章力やアウトプットする力、締切に対する姿勢も見えてくる。面接では見えない能力も把握できるし、同時に自社の魅力を伝えることができる」と佐藤会長は最後のマッチングとして選考中インターンシップを勧める。「1週間ほど、バイト代を支給しながらやれば学生にも社風がわかったりしますし、それは開示した方がお互いにとっていい」

ミスマッチを防ぐには「情報の非対称性をなくすこと」だと佐藤会長は総括した。「感謝される人事を心がけて実践すると、学生は悩みを全部言ってくれるようになります。『○○と××で悩んでいて、御社は第3志望です!』というようなことも平気で言ってくるが、そこまで振りきって親身になってコミットすると第1志望よりこっちの方がいいと思って入社するなど、ありえない意思決定が起きる。辞退率も変化しますよ」

佐藤会長の「若者を応援したい!」という情熱は人を動かし、実際の利益につながっている。本講演でも佐藤会長の熱が会場に伝わっており、同日開催のパネルディスカッションでも、佐藤会長を中心に会場を巻き込んだ議論が活発に行われた。

執筆者紹介

住本麻子(すみもと・あさこ)(株式会社スキマタイズ) 1989年福岡県生まれ。早稲田大学院文学研究科修士課程修了。フリーランスライター。文学や演劇などの文化系の記事やジェンダー関連の記事を中心に取材記事やコラム・エッセイなどを執筆している。小劇場系の演劇と女子漫画が好き。

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