労働政策研究・研修機構調べ
転勤実態調査:転勤が多い企業で、勤務地限定社員制度が活用される傾向あり
2016.12.01
転勤はライフプラン設計に困難をきたすと指摘されており、人口減少対策においてもテーマとして取り上げられているが、独立行政法人労働政策研究・研修機構は、厚生労働省の要請により企業の転勤に関する実態調査を行った。対象は、産業大分類10産業の1,000人以上社員が務める大企業15社である。
転勤を求める理由と転勤の特徴
転勤を求める理由には、人事ローテーションにより発生するもの、組織の活性化、人材育成などがあげられる。国内転勤の特徴には、ジョブ・ローテーションにより全年齢層で転勤がある企業がある一方で、若年育成の観点から入社後一定期間に転勤が少なく、30~40代を中心に転勤が多い企業、若年・中堅期までに転勤が多く、それ以降はホームタウンに定住化する企業、転勤頻度は低く中堅期以降にマネジメント職を中心に転勤がみられる企業などに分かれている。女性の転勤については、少ないという企業が多く、転勤対象は未婚者を中心にする、既婚者の場合は家庭の事情を考慮するなどの対応を行っている企業もある。また、海外転勤については、語学などの適性をもつものが選ばれ、マネジメント職が派遣される事が多いが、短期の若年研修としての派遣も行われている。海外派遣は現地法人での人材育成が進むにつれ減少していくが、企業の拠点数増加により全体でみると海外転勤はやや増えている状況だ。
転勤が多い企業は勤務地限定社員制度の活用が進む
転勤の有無や頻度は拠点の立地や範囲によって決まる。全国的拠点を持つ企業では転勤が発生しやすいため、ブロック別採用制度や地域限定社員制度も導入されている。全国転勤型の総合職では、転勤のリスク・プレミアムとして賃金が有利に設定されている。
また、ライフステージに合わせて雇用区分の転換ができる企業も多い。全国転勤型から地域限定型社員への転換については、完全に本人の希望のみで実現できる企業と、育児や介護などの理由を条件とする企業とがある。地域限定から全国型への転換が可能で条件を定めている場合には、一定の評価が必要とされることもある。
資料シリーズ No.179 企業における転勤の実態に関するヒアリング調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構、2016年11月30日)
第Ⅰ部 調査結果の概要(PDF)(独立行政法人労働政策研究・研修機構、2016年11月30日)
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